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第十三話 燃える森 爆ぜる翼

広がる砂埃。視界が茶色に濁る中、セレナが咳き込みながら顔を上げた。

「ゲホッゲホ。……何が起こったの?」


ユージが焼ける空気の匂いに眉をしかめ、即座に状況を判断する。

「魔族だ。魔族が攻めてきた!! にしてもこの火力……」


森の一帯が焼き爛れ、あちこちから炎が噴き上がっていた。

ノイスが震える指で空を指す。

「あ、あそこ! あれはバード型だ! 炎を纏っているから、ファイヤーバード? 森の中心にあんなのがくるなんて……!」


ファイヤーバードの群れが、火の粉を撒き散らしながら森を焼き払っていく。

ユージが短く叫んだ。

「このままじゃ森が全焼する! 応戦するぞ!」


三人は一斉に武器を抜いた。


爆炎の向こうで、アレスが歯を食いしばりながら立ち上がる。

「うぐっ……っくそ。こんなタイミングでくるなんてな。大丈夫か? セレナ!」


セレナが駆け寄り、息をのむ。

「私は大丈夫だけど、お、お父さん……背中が……!」


アレスは娘を爆撃から庇い、背中を焼かれていた。木の破片が刺さり、服は焦げ落ちている。

「心配いらん……私は大丈夫だ!」

アレスは痛みを押し殺し、再び立ち上がった。


セレナの瞳が揺れる。

「ぅうう。私のせいだ……決闘なんて持ちかけるから。なんで私なんかの身代わりに……魔族から森の部族を守れるのはお父さんだけなのに……!」


アレスが怒声を上げた。

「セレナ!! しっかりと敵を見ろ!!! 私の娘だろ!」


セレナは涙を拭い、しっかりと棍棒を握りしめる。

「はい!」


ライトが歯を食いしばり、剣を構えた。

「許せねぇ。真剣勝負の決闘に水刺すなんて! うおおぉー!! 《光の剣》!! 《光の斬撃》!!」


光の斬撃が放たれ、飛翔するファイヤーバードを貫く。ジュウッ――炎が霧散した。


ユージが影を操りながら声を張る。

「結構数多い!手分けして撃退するぞ! 《影斬り》!」


黒い影が空に上がり、複数のファイヤーバードを切り裂いた。ジュウッ!


ノイスは後方で詠唱する。

「水魔法は苦手でも森の鎮火くらいは! 降り注げ! 水流の針!――《アクアニードル》!!」


針状の水がシャワーのように降り注ぎ、火を鎮めていく。

だが、ノイスの表情に焦りが浮かぶ。

「でも、おかしいよ! さっきの爆風。ファイヤーバードがいくら集まってもこんな火力ありえない」


ノイスは森の焼け跡を見つめながら叫んだ。

「ユージ!!! ファイヤーバードの他にも魔物がいるはずなんだ! 見当たらない?」


ユージが頷き、影に沈む。

「了解! 探してみる! ライト! ここは頼んだぞ! ……《影渡り》!」


ユージの姿が森の影へと消えた。


その間もアレスは手負いのまま戦い続けていた。

「うぉおおお!!」

背中の痛みに耐えながらも、ファイヤーバードを次々と薙ぎ払う。


セレナが叫ぶ。

「あんま無理しないで!」


彼女は木々を蹴り、枝の上を滑るように飛びながら炎の鳥を撃ち落としていく。ジュウッ。

森の戦士たちも戦いに加わり、森は戦場と化した。


ユージは《影渡り》の中で、森の奥に巨大な影を見つけた。

「デカいのがいるぞ! なんだこいつは!」


それは――上位魔族、グリフォン型だった。

グリフォン型は翼を大きくばたつかせている。

「……グクゥウワアァアア!」


ユージが咄嗟に叫ぶ。

「なんかやばいぞ!!!! みんな伏せろ!!!」

ユージの呼び掛けと同時に森は光に包まれる。

――ドゥォオンッ!! ドガガアァーン!!!

爆音と衝撃。大地が裂け、木々が吹き飛ぶ。


ユージは影に潜むも、爆風に巻き込まれて、体に刺さった木の破片を抜きながら後ろを確認した。

「ゲッゲホ……み、みんな無事か?」


煙の中、ライトが前に立ち、森の部族達を庇っていた。

「へへっ、ユージのおかげでなるべく爆撃を受け止める事が出来たぜ……」


光の剣を体の前で構え、爆撃の直撃を受け止めていた。

セレナが声を震わせる。

「ライト!!!」


ライトは笑って答えた。

「大丈夫さ。俺はじきにスキルで回復する。心配すんな」


そう言い残してライトは崩れ落ちる。


ノイスが声を上げる。

「こ、こんな事って……爆撃で攻撃してくるグリフォン型。……ニトログリフォン。ただでさえやばい魔族なのに、森のど真ん中に現れるなんて! しかも、ファイヤーバードを引き連れて……」


アレスが再び立ち上がり、棍棒を握りしめ、ニトログリフォンに一直線に突っ込んだ。

「ファイヤーバードはお前達に任せる! 私はあのデカいのを討つ!」

森の部族達はアレスの掛け声で森を燃やすファイヤーバードに突っ込んでいく。

アレスはニトログリフォンに接近し、棍棒を叩き込む。

「うぉおおおお!!」

ニトログリフォンの胴体に一発入れるが、アレスは背中の傷が深く、踏み込みが甘い。

「っく、浅い!」


だが、その隙を逃さず、ユージが影を放つ。

「《影斬り》!」

ノイスが続けて詠唱する。

「貫け!氷の槍よ!……《アイスランス》!」


「グフェエエエイ!!」

しかしどちらも、グリフォンの大きく立派な翼に阻まれる。


セレナは木をつたって、ニトログリフォンの死角から接近する。

「私だってぇえええ!」

――ッバジン!

棍棒が炸裂音を上げ、グリフォンの首に一撃入れる。

「グェウェイ!!」


怒り狂ったグリフォンが翼を撒き散らし、爆発を起こす。

――ッバァン!


セレナは爆風に吹き飛ばされるが、木の幹を蹴って衝撃を分散させる。

「いてて……でも最初の二発程の威力はないみたいね。二発が限界なのかな?」


ユージが分析する。

「いや、こいつはさっき隠れて翼をばたつかせてやがった。大きい爆撃には貯めみたいなのが必要なんだろう」


アレスが低く唸る。

「隙を与えずに倒すしかない! さっさとかたをつけるぞ」


アレス、セレナ、ユージが一斉に飛びかかる。

しかし、グリフォンは回転しながら羽を撒き散らした。


セレナが声を上げる。

「なんなんだ! こいつ!」


周囲にバチバチと音が鳴り響き、小爆発が広がる。

「キャアアアアアーーッ!」

ユージが舌打ちする。

「くっそ! これじゃ全然近づけねーぞ!」


細かい火花の中を、アレスが突き進んだ。

「ぐぁああっ!」


ユージが叫ぶ。

「おっさん! この爆発の中に入っていくのは無理だ!」


セレナが悲鳴を上げる。

「お父さんっ!!!」


ユージは息を荒げながら考える。

(アレスは限界が近い。ライトはまだ動けない。どうにかしねぇと……)


ノイスが叫んだ。

「ニトログリフォンはきっと自身の羽を撒き散らし、そこになんらかの衝撃を加えた際に舞っている羽が全て爆発しているんだ。だから貯めがあると爆発も大きいんだ。でも体から抜けてない羽は爆発してない!あの羽が落ちないように出来ないかな?」


ユージがノイスに提案する。

「……ノイスの魔法で翼全体を凍らす事は出来るか?」


ノイスが顔をしかめた。

「氷で形作って飛ばす魔法は出来るけど、物体を凍らすなんてやった事ないよ!」


「俺の状態異常の足止めじゃその位置に留めておく事が精一杯で、羽を撒き散らされちまう! ノイスの魔法だけが頼りだ。少しだけでも翼から羽が落ちない様に凍らせて欲しい。」

「そんな無茶だよ!」


ユージは叫ぶ。

「俺も状態異常でカバーする。ノイス! お前なら出来る!! 足止めして、翼を凍らせて爆撃を封じたら、おっさんとセレナで思い切りぶち込んでくれ!」


アレスが確認する。

「本当に爆撃は封じられるのか?」


ユージが短く答えた。

「可能性の話? なら100%ではないとだけ」


セレナが頷く。

「私は信じるよ!! 他に方法も思いつかない!」


アレスが息を整え、頷いた。

「いいだろう、どのみちこのままじゃやられるのは私たちだ……」


ユージの掛け声で全員が動き出す。

「いくぞ!」


セレナは木々を蹴り、アレスも上空へ。ユージは小型クロスボウを構えて引き金を引く。

「《影縫い》!」


ニトログリフォンの影に矢が刺さり、巨体が一瞬止まるが、すぐに動き出す。

「流石にこの大きさと力では、少しも抑えてられていられないな」


それでもその一瞬でユージはニトログリフォンの影に乗っかった。

「やるしかない! 《影縫い:絶封》!」


ニトログリフォンの影の端に矢を撃ち込み、影の中央でユージのダガーが地を刺す。

「グゥアファアグアァー!」

ニトログリフォンは地面に釘付けにされる。

「ノイス! 頼む!!」


ノイスが水を放つ。

「もう!出来るって僕は言ってないからね! 打ち出せ!水流の弾よ!――《アクアボール》!!」

ゆっくりと水球が飛びニトログリフォンの上で弾ける。

――ピシャ!!

「突き刺され! 氷の針よ!――《アイスニードル》!」


無数の氷針が飛び交うが、ニトログリフォンに当たり、すぐ砕け散る。

――シャワシャワシャワシャワ。

「ノイス、そんなので凍るの!?」

セレナが尋ねる。

「話しかけないで! なんとかするから!」

ノイスは叫び、魔力を集中させた。

「アイスニーーードルゥ!!!」


氷が水滴から広がり、翼が凍り始める。

「ぐはっ! こんな巨体を影縫いしてたら体が持たない!」

ニトログリフォンが暴れる度に、ユージの体が軋む。

「ユージ頑張って! もう少しっ!」ノイスが励ます。

――カチカチカチカチッ。

翼全体が薄く凍りついてきた。

「頼む!今だ!!!」

ユージが二人に声をかける。

セレナとアレスが一気に上から急降下する。

「くらええええぇーー!」

「うおおおおおぉ!」


――ミチミチミチミチ。

ユージの体から血が吹き出す。

「まずいっ! 抑えていられない!!」

ユージの拘束を解き、ニトログリフォンが脱出しようとする。

「あああ! これじゃ、二人の攻撃がズレちゃう!!」

ノイスが慌てる。

グリフォンが身を翻そうとしたその時――

「《光の斬撃》!!!」


ライトの光刃が直撃する。

「へへっ、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ……」


《光の斬撃》を放った直後、ライトは再び力尽き膝をついた。

「いっけーー!!!!」ノイスが叫ぶ。


よろけたニトログリフォンに急降下してきたセレナとアレスが同時に技を放つ。

「「《ガーディアンクロスインパクト》!!!!!!」」


振り下ろされた棍棒からなる渾身の一撃がグリフォンの頭を砕き、巨体が地面へ沈んだ。


ニトログリフォンが崩れ落ちると、戦場に静寂が戻った。

ユージが肩で息をしながら呟く。

「な、なんとかなったな……」


ノイスが駆け寄り、仲間たちに笑みを向けた。

「みんな、お疲れ様!」


セレナはすぐにアレスのもとへ駆け寄り、涙声で叫ぶ。

「もう!! お父さん! いつも無茶して!」


アレスは虚ろな瞳で娘を見つめ、どこか遠いものを見るように言った。

「ああ、セレナか……」

アレスの瞳がかすかに揺れる。

「一瞬、母さんに見えたぞ。」

「私が……死んだお母さんに……?」


「ああ、お前は死んだ母さんによく似ている。勇敢なのに泣き虫で優しくて……段々と母さんに似てくるお前に戸惑っていた。同じ様に急にいなくなってしまうのではないかと。それが怖くて、戦いから遠ざけていたんだ……」


セレナの目に涙が溜まる。

「そんな、お父さん……」


アレスは苦しげに息を吐きながらも、穏やかに続けた。

「でもわかったよ。母さんと同じで黙って見てはいられないのだろう。それは誰が何と言おうと止められない」


セレナは嗚咽をこらえながら微笑む。

「私の事を思って……」


アレスは次に、ライトたちへ視線を向けた。

「君達にもすまなかった。弱者などと言って。本当の弱者は私だったのだな」


ノイスがすぐに首を振る。

「そんな事ないですよ! 森の部族を守る為、今まで一人で戦っていたのでしょう! そんな事言わないでください!」


アレスはわずかに口元を緩めた。

「結局は君達に助けられる結果となった。ありがとう。そしてすまなかった……」


ノイスが柔らかく笑う。

「これからはセレナさんもいますから大丈夫ですよ! 僕達こそ一緒に戦闘出来て光栄です。いい経験になりました」


ユージがボロボロの体で苦笑しながら言った。

「そ、そうだな。あんたはもう少し自分の娘を信じてもいいんじゃねーか? ゔうっ……」


セレナが、彼らの前でしっかりと顔を上げた。

「……ノイス、ユージ、そしてライト、ありがと。お父さん。私もっと強くなってお父さんの支えになるから、今は足手まといでも一緒に森の部族を守っていくから!」


アレスは少し笑い、優しく答えた。

「ならば明日から稽古だな」


セレナが呆れ顔で笑う。

「もう! その怪我じゃお父さんのが無理でしょ……」


地面に倒れたライトが、かすかに笑いながら呟いた。

「へへっ、やっぱ面白え親子だ……」



夜になり、森には宴の灯りがともった。

ライトの傷は《自動回復》で治りかけ、焚き火の上ではファイヤーバードの肉がこんがりと焼けている。


森の戦士たちが次々と集まり、歓声を上げた。

「しかし、君は不死身だなー」

「痛ぇのは痛ぇんだよ。腹も減るしな」

「まさか身体を張って俺らを守ってくれるとは。今夜は遠慮せずじゃんじゃんいってくれ!」


木の実ジュースをガンガン飲むライトの隣で、セレナが俯きながら、ぼそっと言った。

「三人がいなかったら、きっとみんな死んじゃってた」


ユージが一部焦げた木を見上げながらつぶやく。

「こんな森の真ん中に、あんな奴らが来るなんてな……」


セレナがふと、ライトとユージに向き直った。

「ねえ?……三人は今後どうするの?」


ライトが火を見つめながら答える。

「俺たちは黒い龍、あいつを追ってるんだ。あいつが現れる場所に行く」


ユージが腕を組み、少し考え込む。

「まあ、今回の事もあるし、数日は魔族に異変がないか。黒い龍や魔素の塊がないか数日は滞在して様子を見るかな」


セレナは静かに言葉を継ぐ。

「……あのさ、三人はこのまま森の部族と一緒に住む気はない? 資源も豊富で空気も美味しいし、森を救った英雄として大歓迎するよ!」


ライトが微笑むが、首を横に振った。

「すまねぇ。ここは居心地が良い。でも、俺たちは行かなきゃなんねぇんだ。他の場所であいつの被害にあっている人達がいるかもしれねぇからな」


セレナは眉を下げる。

「今度は黒い龍が直接集落にくるかもしれないよ!」


ライトはゆっくりと首を振った。

「おそらく来ねぇ。そんな気がする」


「そっか……急に変なこと言ってごめんね」

セレナは露骨に落ち込んだ。

「こんな森の奥なんて嫌だよね……」

涙目になるセレナ。


ユージが夜空を見上げて言う。

「あーあ、空気が澄んでいて癒されるなー」


ライトが突っ込む。

「今更何言ってん……いでっ。何すんだ!ユージ」


ユージが脇腹を突き、小声でつぶやく。

「話合わせろ!」


そして明るく笑って言った。

「旅が落ち着いたら、また来ような! ライト!」


ライトが頷く。

「お、おうよ!」


二人はこっそりセレナの顔を覗き込む。


涙目のセレナは耐え切れず、吹き出した。

「アハハ……アッハハハ。二人共演技下手すぎ……『また会いに来るよ、それまで待ってて』ってキメ顔で言われたら、私惚れちゃってたかもよ? 二人は今世紀最大のチャンス逃したね!」


ライトが目を丸くする。

「おいおい! 何でそれが今世紀最大のチャンスなんだ?」


セレナが胸を張ってウィンクをした。

「こんな美女、もうどこに行っても会えないんだから! だから、きっとまた会いに来て……」


ユージが少し照れたように笑う。

「……ああ、きっとな」



その頃、ノイスは怪我の手当てを受けているアレスのもとを訪れていた。

「アレスさん、怪我は大丈夫ですか?」

「戦士に傷は付きものだ。それより今回の件は助けられた。ありがとう。私達に出来る事があれば出来る限り協力させてもらう。娘だけはやれんがな!」


「あはは、ありがとうございます。しかし、森に炎の魔族が現れるなんて……」

「急な魔族の襲撃は今までもあったが、火の魔族は初めてだ」

「近くに火山とかあるんですかね?」

「周辺地図を見ても見当たらないが」

「え!! 地図あるんですか?」

「ああ、森の周辺だけだがな」

「それ映させて貰ってもいいですか?」

「勿論いいぞ。しかし魔族の動きが読めんな。ニトログリフォンのただの気まぐれなら良いのだが」



三日後。

森の警戒は続いたが、魔族の姿はぱったりと消えていた。


ライトが肩を回しながら呟く。

「やっぱりあいつは、ここにはこねぇ」


ユージが苦笑する。

「お前のその勘、なんなんだよ」

「わかんねぇ」


ノイスが周囲の魔素を探りながら言う。

「うーん、魔素の塊も見つかりそうにないね」


ユージが息を吐く。

「あんまりここの集落にお世話になるわけにもいかないしな」


ライトが決意を込めて言った。

「さらに進むぞ! あいつが向かった方へ」


ノイスも頷く。

「今回の件もあの黒い龍が引き起こした事かもしれないし、この先にもまた同じ様な事が起きてるかも」


――翌朝、出発の時が来た。

森の部族全員が三人を見送りに集まった。


セレナが駆け寄り、寂しげに笑う。

「……やっぱり行っちゃうんだね」


ライトが笑顔で手を挙げる。

「おう!」


「別に止めないよ! みんな、やりたい事あるんだもんね。私はこの森をお父さんと一緒に守っていくよ! みんなが戻って来てくれた時に笑顔でお迎えしたいもの!」

「うゔう、お父さんと仲良くね」

ノイスが泣きながら言った。

「お前が泣くんかよ」

ユージがツッコミを入れる。


アレスが堂々と立ち、三人に向かって言った。

「三人の勇姿は今後も語り継がれるだろう。何かあれば私も協力は惜しまない」


ライトが拳を掲げて笑う。

「おっさんがそう言ってくれると、心強いぜ!」


その時、セレナが三人に駆け寄り――頬に軽くキスをした。

「なっ!!」

アレスが目を見開く。

「この森を救ってくれたお礼ね!」

恥ずかしそうにセレナが囁く。

「やはり協力などしてたまるか!さっさと出ていけ!」

声を荒げるアレス。


三人は顔を赤くしながらも、笑って森を後にした。

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