第四話 おじじは涸れてもエロじいと思うよ。えっ、違うの?
なんかあたしの住んでいた部屋よりも、少し広いくらいのクローゼットにいた。
なんなのよ、この部屋。壁は学校の校舎の壁みたいにコンクリみたい。
天井は高いし、良い匂いがする。すると明かりが勝手に点く。あれ、なんかふわふわしてない?
(ごたくはよいから急いで鎧を着るのじゃ)
エラじいが偉そうに何かいう。鎧って何よ。
{かぁ〜っ、鎧も知らぬとはなんてお馬鹿さんな娘なのじゃ。いいから早う脱げ}
すっくごいムカつくんですけど。ハゲじいに言われたくないわよ。てか、みんなハゲじゃん。
それにエロい。エロハゲおじじとか終わってるし。
{なにおぅ、小娘が! わしだって小娘の着替えなどみとうないわい}
ハゲのクサじいのくせに、ムカつく〜。あとエロじいたち、みたくないなら目をつぶってよ。変態っ。
(喧嘩をしてる場合か。本の魔力にゴブリンどもが気づくぞ)
さっきのキモいのゴブリンって言うの? 人間じゃないんだよね。
キモいからゾンビ? あたしを食べようとしてるのかな。
[ゴブリンは食べものと、雌にしか興味を示さないというが本当なのだな]
あっ、ムカつく。あたしが女に見えない言い方だよ、ヘンじいめ。
あたしを女扱いしただけ、まだゴブ達の方が見る目あるじゃん。
あれもキモいけどさ。てか、この鎧とか重いんですけど。エラじいが奨める槍や剣も、あたしには重すぎだっての。
それにこの本の中にいれば無敵じゃん。キモいのと戦うとか意味わかんないし。
(こら、小娘。本が壊されれば、お前さんはその恰好のまま外に放り出されるのだぞ)
えっ、この本って、魔法とかいうので守られてるんでしょ。
{かぁ〜っ、じゃから急かしとるというのに。魔本にも、お前さんのような生命があるのじゃよ。お前さん自身の魔力というやつがのぅ}
なんか、ヤバいじゃん。本が壊されても死なないけど、放り出されればキモゴブ達にやられる。
なんかないの? あたしだって男子達が盛り上がる俺ツエ〜ってやつくらい知ってるから。
[うむ。異界の勇者達は確かに能力が優れているな]
さっきからヘンじいだけ冷めているくせに一番役に立たない。
あの女、使えないおじじよりも、最強の魔法とかいうのをくれれば良かったのに。
{落ち込んでる暇はないぞい。ゴブリン達が魔本に気づいたわい}
マジでヤバいやつじゃん。こんな何もない荒野ってやつで生きて行けるわけないよ。
本が壊れたら、あたし一人でどうやって生きていくのさ。
(えぇぃ癪じゃが、その魔銃を取れ。お前さんの世界の拳銃とやらと違って、引き金の錠を外すだけで撃てる)
エラじいが言う銃が見つかった。良かった、これならあたしでも持てる。
銃を撃つだけなら使える、はず。でも錠って何?
{弾丸を込める必要はないからの、二丁持ってゆけぃ}
ベルトみたいに腰にまけるんだ。母さんがハマっていたアクションヒーローみたいじゃん。
弾が必要ないって、ビーム? なんかよくわからない世界だよね。
おじじ達にせっつかれて、あたしは二丁の銃を手にして、本の中から飛び出した。
バカだから使い方わからないままだったのに。




