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第十八話 出来レースも気づかない天然女子高生

「待て、やめろ、撃つな!」


 あたしはひとまずクサじいに言われたように、全員にダメージを与えて反撃の意志を鈍らせた。


 叫んでいたけど、元気アピールされると余計に撃っておこうとなるよね。


 女の人達、めっちゃ泣いてるんだけど······噛みつくのかな?


 泣き真似はキモゴブで凝りたし、仕留めておいた方がいいかな。


(先に目の届く範囲にまとめるのだ。そして全員の視線の動きを見よ)


 嘘をついたり、背後に援軍が来たりするのがわかるみたい。


 便利だけどエラじい、どんな人生を送ってきたのか気になったよ。


 あたしが指示すると冒険者は弱ったふりをして、移動し目潰しを投げつけて来た。


{毒も混じっとる。風上に避け、風の弾丸で奴らの方へ流すのじゃ}


 目潰しはあたしの近くの地面で爆発して、もうもうと立ち込める煙に毒が混じっていた。


「バァカ、こちとら銀級冒険者だぜ。いい気になるなよ頭の悪い小娘が!」


 騙したんだ、ムカつく。二度もバカにされて凄く悔しい。


(ガハハッ、目を見ろと言ったであろう。銀級ともなると、しぶとい。お主の目を引くために、女が泣いたのだよ)


 むぅ、エラじいが先に目の届く所に移動させろって言ったのに。


 あの時に、銀級冒険者達は薬で傷を回復させていたみたいね。


[事象に対して、何を拾い、どれを捨てるかは自由である証だな]


 ヘンじいが意味のない説明をもっともらしく話していた。


 銀級冒険者がなんだかわからない。ただモブ男達みたいな連中に騙されたのが悔しい。


 頭はおかしいけれど、あの(ひと)の言うことは正しかったね。


 躊躇ったら駄目だ。バカにされて逃げられたし。


{うぅむ、想像以上に手強いのう}


 あ〜っ、なんかまたあたしに内緒でおじじ達が企んでる。


 冒険者達に逃げられたので、町が近いのかどうかもわからなかったよ。


 今日はもう探索止めて、ご飯食べてふて寝してやる。


 あたしはいつものように、魔本を開くのに適した場所を探した。





「話しが違うじゃないか」


 魔銃で撃たれたはずの冒険者達が口々に文句を言う。


「人が姿を見せれば騙されるかもしれないから、注意してあげてね、そう伝えたはずよ」


 冒険者は追加の薬を受け取ると、傷口を洗い、回復薬を振りまく。


 冒険者達はとある錬生術師の少女に絡み、返り討ちにあった。


 目を覚ますと、知らない床に眠り、叩き起こされたのだ。


 とある少女に冒険者や人族の恐さを教えて欲しいと依頼された。


「約束は果たした。俺達をロブルタへ戻せよ。それと子供は解放してもらう」


 本当に怖いのはここだぁ〜、と叫びたい冒険者達であった。


 人質を取られ止むなく言う事を聞いていただけだったのだ。


 死なない限りは、錬生術師の良く効く薬で治る。痛いけど。


 報酬は赤ん坊のためのかみの御召物(おしめ)だ。繰り返し使えて、清潔さを保つ。


 色が変わったら新しいものと取り替えてもらえるのだ。


 彼女の独自開発の品なので、ヴィロノーラ商会でも取り扱いのない逸品なのだ。


 かつての街の冒険者達(チンピラ共)も、いまや子持ちのお父さんお母さん。


 子を思う気持ちがわかるので、一役買って出てくれたのだ。


 咲夜は何も知らない。自分がこの世界を安全に生きていく為の訓練を、今受けていることを。


 そして冒険者達も、かみの御召物(おしめ)が何故か黒なのかが謎だった。


 ······人質という名の入院で預けられた母子共は、無事に解放された。

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