表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/37

第十三話 さあ、殴りに行こうか

 朝ご飯を食べたあと歯を磨き、外へ出るための服装を考える事にした。


 制服は寝室に掛けておいた。だって、あれはあたしがただの女子高生唯一の証明書みたいなものだから。


 普段着はおじじ達の方が知っていたので、別にしてわかるようにした。


 下着以外もサーファーや競泳の人が着そうな水着みたいなものや、蛇の皮みたいなキモい服まであった。


{その皮は希少な魔物の素材じゃな。見た目は好みによるが、普段着でも安心は安心じゃのぅ}


 滑々していて軽く柔らかいのに、刃を通さないんだって。


(この地は冷えるようじゃ。下着の上にその竜の鱗衣を着て、さらに重ねて着ればよかろう)


 エロじいがエラじいに戻って、良い着方を教えてくれた。人がいるような町ってなさそうだけど。


(あとは武器だな。拳銃嚢(ホルスター)には拳銃をしまっておくとして、近接用のものを持つのがよかろう)


 重いので、剣や槍は止めておいた。持てる重さもあるけどさ、体力が持たないかもしれないじゃん。


{ならばその拳闘用の強殴打拳具(パワーグローブ)を嵌めると良いぞい}


 クサじいが得意気に言うので、黒皮っぽい手袋みたいなものを着けてみた。


 あれ、なんか力が湧くみたいだよ。


[ふむ。浄化により封印解除が働き、本来の力を取り戻したのか]


 待って、何それ。あたし、キモゴブみたいに悪い魔物かなんかだったの?


 鏡を見た限りは普通にあたしだったはずなのに。


(おそらくじゃが、お主の世界ではさほど力が必要なかったのだろうな)

 

 なんか、おじじ達が隠してる気がする。


 だいたいさ、いつの間にか戦う流れになっているけど、嫌なものは嫌なのよ。


{かぁ〜面倒なおなごじゃのう。勘だけ良いのも考えものじゃな}


 あっ、クサじいが開き直った。絶対にあの頭のおかしい(ひと)の指示だよ。


[違うな。これは双炎の魔女がそなたに選択の機会と、自らの手で運命を変える機会をくれたのだよ]


 ヘンじいが、難しいことを言い出した。どういう事か訳してほしい。


(わかりやすく言うなら、隠さず誤魔化さず躊躇わず、ぶつかれと言うことだな)


 あたしの頭に、この世界にやって来る前の情景が浮かぶ。もっと早く聖奈とぶつかっていれば、こんな事にはならなかったかもしれない。


{ふぉふぉふぉっ、お主の事じゃから、両親のためにいい子ちゃんぶって我慢していたんじゃないかぇ}


 確かに大好きなお父さんとお母さんに、迷惑をかけたくなかった。


 でも、違うな。あたしはただ、嫌われたくなかっただけだ。


 ああ、そうか。あたしが、勝手に聖奈がいないと駄目だって思って、あの娘に押し付けちゃったんだ······。


(答えが出たのなら殴りにいくぞ)

 

 うぅ~、エラじいが妙に張り切ってうざい。うるさいしうざいしエロいし最悪おじじだよ。


 答えが出たのと、キモゴブ殴りに行くのと何の関係あるのっての。


 なんかコッソリあたしに教えようとして、おじじ達がみんな下手くそ役者だから失敗してる。


 今時、もやもやの解決がぶん殴るって、炎上ものよ。


 あっ······だから異世界なのか!?


 何がしたいのか良くわからないままだけど、何かさせたいのはようやく理解出来たよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ