第一の怪談:魔の13階段
【第一の怪談:魔の13階段】
学校での肝試しといえば、やはり『学校の七不思議』である。5人が通う高校にも例外なく存在する。彼らが肝試しをする理由として、それらを確かめたい気持ちもあった。
そして第一に確かめる怪談として、5人は『魔の13階段』を選んだ。
———『魔の13階段』、その内容は、本来12段までのはずの学校の階段が夜になると13段に増えるというもの。13段目を登り切ると、異界へと連れ去られていくという。
「・・・・・・もし怪談が本当だとしたら、13段目を登り切ると同時に異界に連れていかれちまうってわけか。ちょっと肝試しの初めにしては命をかけすぎじゃないか?」
「恐れることはねぇよ善、異界がなんだってんだ。———俺達は今全裸だぜ?例え異界に連れていかれたとしても、その時は異界の連中に堂々と見せつけてやればいいのさ、俺達の肉体美と、股間にぶら下がってる立派な愚息達をさ」
成志は、そう言いながら真っ先に階段を登っていった。その後ろ姿からは、成志の自信の強さがひしひしと伝わってくる。
「・・・・・・へへっ、成志の言う通りだぜ。———俺たちゃ全裸だ!異界なんて恐れることはねぇ!むしろ異界の歴史に刻み込んでやろうぜ、俺達の一身纏わぬ姿をよぉ!」
成志に続いて他の4人も階段を登っていく。
10段、11段、12段、そして13段目!
階段は実際に増えていた!だが!
「・・・・・・おかしい。13段目まで登ったってのに、異界の入り口らしきものがちっとも見当たらねぇ!」
「何でだよ!何で入り口がねぇんだよ!頼むから異界の歴史に刻ませてくれよ、俺達の裸体を!」
しかし、どれだけ叫ぼうと入り口はない。
13段目まで登ったのに異界も何もなかったことに心底ガッカリした5人は、渋々と階段を降りていった。
「・・・・・・正直、ちょっと悔しいな。俺楽しみにしてたんだぜ、異界の住民達に俺の、いや俺達の裸体を愚息ごと目に焼き付けてもらうのをさ」
「元気出せよ成志。お前程の男なら、いつかきっと異世界転生ぐらいできるさ」
そうして、一行は次の怪談の元へと向かうことにした。