悪友は悪友たり、悪乗りする者である
我がシャンタルは私の為に私を助けるどころか侯爵に付き従い、ついでに私のシャペロン役まで勝ち取って見せた。
もちろん、元軍人という世間知らずな新侯爵様は、シャンタルに無礼にも帰れと、本気で野良犬にするみたいに手をひらひらさせた。
しかし残念ながら、我が親友は貴族院で恐怖の王と崇められているミレイ伯爵様を結婚相手に墜としたという強者だ。
「未婚の妙齢のプリンと、結婚適齢期な男盛りの未婚の侯爵様。世間の噂にどう対処されるおつもり?」
バスティアンは私を結婚させる野望はあっても自分は結婚したくはないようで、シャンタルのその一言で彼女を自宅に逗留させることを決めた。
いいのか?
そして、私そっちのけで二人は作戦会議とやらを私の目の前でし始めたのだ。
「パーティでお披露目?あなたは社交界シーズンというものをご存じないの?戦場こそ攻め時というものがあるのだとお聞きしましたけれど?」
「パーティなんか開けば誰かがやってくるものだろうが!君は事情通と名乗るぐらいだ。適当な独身男性ぐらいリストにあげれるだろう。」
シャンタルはバスティアンを汚れ物を見る目で見下げると、これまた偉そうな仕草でバスティアンに手を差し出した。
「よろしくてよ。あなたがプリンの為に呼ぶべき方々をリストにして差し上げます。そうそう、今夜は我が夫もこちらに呼んでいいかしら。夫の大叔母も寂しいと死んでしまうから彼女も一緒にね。」
バスティアンは大きく舌打ちをすると、大きく手を叩いて執事を呼び寄せた。
「フォルマン!ミレイ伯爵家とやらのこのご婦人の家族たちに、我が家によくぞいらっしゃいませと伝令を!追伸に、このご婦人を連れて帰っても全くかまいませんから首縄も忘れずにってな!」
「まああ、おほほ。そんな物言いで我が夫、ルーファス・ミレイを怒らせでもしましたら、あなた、社交界で生きていけるとお思い?」
「君こそ。ハハ!俺は侯爵様だよ。」
「まあ、おほほ。ルーファスのお父様も侯爵様ですの。奇遇ですわね。」
シャンタルはバスティアンに小馬鹿にするような高笑いをして見せたが、遠目で眺めている私の方が背筋がぞわっとした。
シャンタル、あなた、私と仲良く侯爵夫人ごっこなんて考えていらっしゃいません事よね!
私は、いくら美男子でもバスティアンは嫌よ?
「お嬢様。動かないでくださいまし。」
怒り声と一緒に、私は背中をぴしっと定規で叩かれた。




