埋めたい身内と案件
侯爵として一年前に家に呼び戻されるまでは、俺は軍隊でそれなりな地位につき、日々軍隊運営に頭を悩ませていたという苦労人だ。
そして、真面目な苦労人ほど報われる事は無い。
ワンマンでろくでなしだった父親の喪が明けて、ようやく領地その他の運営を見直して見れば、飽きっぽく忘れっぽい彼によって後手後手に残されていた案件ばかりを知る羽目になったのだ。
我が家に金だけはあって良かった。
弁護士やら銀行家やら動かせるものは何でも動かして、親父が何年も放り投げていた案件をたった三か月で処理する事が出来たのである。
しかし、弁護士と言う者は仕事がなくなると仕事を見つけてくる天才だ。
彼は俺が親父の真似をして全て放り出したくなる案件、「孤児を寄宿舎にいれたまま忘れていました案件」を掘りだして来たのである。
俺はあの時こそ弁護士こそどこかに埋めたくなった。
さて、問題は山済みだ。
少女の両親の遺産も親父が管財している筈だが、親父には小遣い程度の額だったからか、彼は彼女の遺産を散在してしまっていた。
畜生、愛人に買ってやったという宝石代の出所はそれか!
あれは家の金じゃ無かったからと、鬼婆にも変化できる母の怒りを親父が初めてやり過ごす事が出来たという事件だった。
執事の話では、親父は母に対し、愛人に宝石をくれてやったなど噂話だ、と誤魔化しきったのだという。
俺が軍隊になどいなければ、あいつの嘘を暴いてその場で銃殺してやっていただろうに!
さて、間違いは正さなければいけない。
俺は彼女の為に彼女の失った財産の同額金を銀行に信託した。
しかし、ここで問題が持ち上がった。
この世の法として女性が自分の金を使うには、一人前という22歳になるか、結婚するしか無いのである。
不幸な少女、プリンシア・ルルという名前からして不幸な少女は、結婚市場に並べるには少し遅すぎた20歳という年齢だが、22歳になるまでには、あと二年もあるのである。




