7話 ある日森の中
始まりの町をぐるりと囲む広大な平原、『風の岐路』と呼ばれるその地を、北東に進むと見えてくるのがこれまた広大な森である。
『木漏れ日の森』と呼ばれるソコは広大ではあるが、森林と呼ばれるほど木々は密集しておらず、その大地には木漏れ日が差し込んでいる。
「いやー、ゲームのいい点。虫が居ない!」
「そうだね、いや、一応蝶が飛んでたり虫の鳴き声が聞こえたりはするけど、背景ってかんじだね」
進化を経た私たちは、特に何の問題も無く森へとたどり着きその中へ分け入った。
どうやら、あの平原に居るモンスターは、自分よりランクが高い相手から逃げるようで、結局あの後も進化した力を試せていない。
「あ、そう言えば、進化やら森に着いたやらで流れちゃったけど。どうしてあの狼は全員こっちに向かってきたの?他の、ポリンとかは群れててもそんなことなかったのに」
「んー。非アクティブやアクティブって言うんだけど」
ふむふむ。
「こっちから攻撃とかの接触をしない限り何もしてこないのが非アクティブ。ポリンとかだね。」
なるほどぉ。
「対して、こっちから何もして無くてもコチラを認識しただけで襲ってくるのがアクティブで、あの狼...たしか、「ウルファーズ」って名前だった気がするんだけど。あの時は、モミジの出した火球で群全体に見つかってしまったから、全体で追ってきた感じ...だと思う!」
「わかった...で、見分け方は?」
「...」
......
「ふ、雰囲気...かな?...それに、どうせ何度も戦うから自ずと覚えてくるよ」
「それもそっか。あ、雰囲気と言えば...気づいた?今日の学校で穂香と茜がいつもと違う感じしなかった?」
「そう?...そうかも?あんまり気にして無かったや!」
「いや、あれは何かある!知りたい!」
「うわ、でた、モミジの野次馬根性。やめときなって」
失敬な、チテキコウキシンと言って貰いたいね。
「あ!いい感じの木の棒落ちてるよ!モミジなら装備できるんじゃない?」
「おー?」
アオの示す先には、イイ感じの木の棒が落ちている。
「むむ」
流石に、狐の肉球ハンドでは片手では持てない。
「よっと」
「おー、物を持ってる!すごい!」
【アイテム『木の棒?』を入手した!】
おや。
「アイテムを入手したっぽい」
「へー、モンスターのドロップ以外にも落ちてるモノもアイテムになるんだ」
「どうしよう、これ」
「メニューからアイテムボックスを開いて、押し込めばしまえるはず」
アイテムボックス...そう言うのも有るのか。
えーと、メニューの...これかな?
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【消耗品】
・初心者ポーション × 50 NEW!
『HPを50ポイント回復できる。初心者で有れば有るほどその価値は高い、初心者の内に使うべし』
・ポーション × 10 NEW!
『HPを300ポイント回復できる。色々使える凄いやつ』
・MPポーション × 5 NEW!
『MPを100ポイント回復できる。魔力を知りマナを知れ』
・光の欠片 × 3 NEW!
『3時間の間、経験知と取得ゴールドが1.5倍になる。最果ての光はその道を照らすでしょう』
・俊足のポーション × 5 NEW!
『1時間の間、移動速度が上がる。急がば回らず一直線に』
【素材】
・ポリンの体液(青) × 12 NEW!
『ブルッポリンの体を構築する液体。様々な錬金、製薬などに用いられる』
・ファーバーの根 × 4 NEW!
『ファーバーが足として使う強靭な根。草の根、すなわち漢方である』
・白い毛 × 5 NEW!
『白色の毛。もこもこして触り心地が良い』
・ウルファーズの毛皮 × 2 NEW!
『ウルファーズの灰色の毛皮。防具などに加工可能』
・ウルファーズの牙 × 3 NEW!
『ウルファーズの犬歯。装飾品などに加工可能』
・木の棒? × 1 NEW!
『イイ感じの木の棒。??? (鑑定が必要です)』
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色々持ってた。
「鑑定って?」
「そういうスキルが有るみたいだよ。アイテムの詳細が分かるようになるんだって」
「へー、欲しい」
「たしか、『何々の知識』系のスキルが3個LV10以上になってると派生する。だった気がする」
「難しいの?」
「うーん、今すぐは難しいかな...知識系だけでも詳細は分かるみたいだし、名前は町や村とかに着けば自動で識別してくれるよ」
「ならいっか」
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