悪とは何か?今の世の中に伝えるべきこと
ちょっと暗めなストーリーです
ある有名な名言がある。
【――この世に悪があるとすれば、それは人の心だ】
こういった名言が、あることを知ってるだろうか?
この名言は某所が出どころだが、
とても理にかなっていると思う。
この人間社会において、
悪とは身近にいる存在である。
つまるところ政治家がいい例だろう。
偉い人になる為には、
悪いことをしなければその地位につくことは出来ない。
それが世間にバレたから粛清されたり、
解任されたりするだけである。
人間誰でも楽をするほうがいいに決まってる。
利己的な人間が上にあがってきたように、
利己的な人間しか上にあがることは出来ないのだ。
人の世とは、こういったことの連鎖で
うまく世の中を渡り歩いているのだ。
決して悪に近づきすぎず、離れすぎずに。
悪とは適度に付き合っていかないといけない。
全否定しては、いけない。
全肯定していれば、悪に食われる元である。
なんでもほどほどが良いのである
また悪に対立してはいけない。
悪とは大抵何かしらの力を持っているからである。
権力、経済力、武力…………eto。
これらに対抗できる力が無ければ太刀打ちできないので
不用意に関わってもいけない。
それらを身に付けたとしても、
実は井の中の蛙大海を知らずだったという事はよくある。
闇に入ったと思ったら
実は入り口だったなんてことも、ざらにある。
この人間社会はかなり複雑なのです。
そして、これは、世の中の理不尽さを嘆く物語です。
ここにある女性がいる。
名前を 木更津 由美子という。
彼女もまた、この世の中の理不尽さを嘆いている一人だという事だ。
ある日、この子の元にある幸運が訪れる。
「君の笑顔が素晴らしいから私のところで働かないか?」と。
しかし、彼女の絶頂期はそこまでである。
□
平日は某住宅展示場で働いている。
彼女の学生時代はそこそこ優秀だった。
必ず平均点以上の点数を取り、
平均を下回る強化を取ったのは人生で数回程度。
その為学年でも30~50位をキープしていた。
飛びぬけて優秀というわけではなかったが、
どのクラスに入っても10位以内には入るだろう。
進路は女子高校へ進学、
その後ペットトリマーの専門学校へ進路に行く。
卒業後、見習いペットトリマーに行くものの、
数年たたずに退職してしまう。
お客からのクレームで怒鳴られたのが原因のようだ。
そこから彼女はおかしくなってしまった。
その後、ゲームセンターのアルバイト店員として働き、
趣味でバンド活動を行い、ピンクや黄色に髪染めをしていた。
学生時代は至ってまじめだった彼女に、
一体何があったのだろうか?
家に帰れば親から小言を言われる日々に嫌気をさし、
30代手前に彼氏と同棲するために引っ越しをする。
そう、
この方生まれてから一人暮らしというものを、
この年までしたことが無かったのだ。
その為、彼氏との熱が冷めた後が大変だったといえる。
好きじゃなくなった人と住み続けなければいけないのだ。
しかし、転機が訪れた。
悪運はとにかくすごかったのだ。
某有名自動車会社の子会社からの仕事を
受けることができたのだ。
しかも、直接契約で仕事の日は日給2万円。
その社宅に住み込み可能物件があった。
すぐに別れて逃げるように、管理する社宅に住み始めた。
20代のころは容姿が良かったので、
仕事もバンド活動も何するにしても困らなかった。
誰もがちやほやしてくれたのだ。
しかし、気が付けば30代後半。
日々住宅展示場の案内員をやりながら思うのだ。
――世の中理不尽だ!
と。
由美子はこう考えるのだ。
――なんでギターの人もうまいのにバンドが売れないのか?
――なんでいつも付き合う人は仕事ばかりで家事もろくにしてくれないのに偉そうなのか?
――なんでこんなに頑張ってるのに収入は増えないのか?
バンドがうまく行かない理由は、
由美子の歌唱力に問題があったのだ。
普通の人は、ボイストレーニングやレッスンなどをするのだが、
由美子は全くやってなかった。
付き合う人は家事もろくにしないのかという話だが、
由美子の選ぶ人はバンド仲間だったり、仕事で高収入をとにかく目指す人で
そういった方面に強い人を選ばなかっただけに過ぎない。
頑張りについては確かにある程度人並みには頑張って居るのだが、
これで頑張ってると言われたら頑張ってる人が、
可哀想なレベルで改善する努力を怠ってるのである。
――そう
第三者から見ればいくらでも改善する方法や知識があるのに、
苦言を聞こうとしないからである。
由美子には兄がいる。
その兄は20代のころ借金ばかりしてて、
人間の屑だと思っていた。
それが数年前に結婚して子供にも恵まれた。
今では、高級マンションに住み高級車を乗り回している。
その兄から明らかに怪しい仕事を誘われたことがあったが、
全くやる気が無かったので断った。
どうもその業種がうまく行ってるようだった。
――世の中不平等だ。
学校の成績だって兄は常に赤点。
普段から、ずぼらな性格なので
テストとかもその辺に置きっぱなしにしてあるので見た。
(英語の中間テスト3点とか、プークスクス、
終わってるわと思って陰で笑ってやったもん。)
(20代のころは借金の肩代わりを親に頼みに来たことだってあったはずだ。)
(そんなに人間的にもクズな人間が、なんで今高級マンションに住めるの?)
(高級車乗り回してるの?)
(バカでしょ?あり得ない!)
(私のほうがもっと苦労してるのに何でそんなことが起こるわけ?)
――そう、気が付いてないのだ。
その兄は人の話をちゃんと聞くのだ。
叱られながらでも、
欠点を聞きに行ってでも、
直そうとするのだ。
これこそが兄と由美子の差になったのだという事を、
由美子は全く気が付いていない。
世の中、どんなにまじめでも人の話を聞かない人にはこういった未来しかないのだ。
たとえ怪しいと思える仕事でも、うまく行けば報酬もそれなりに入るのだ。
――その後、兄はマンションを購入して由美子に住ませて、
家賃を取ろうとしてることに現時点では気が付いてない由美子だった。
短編を少し投稿していきます