試合当日!
試合当日、池本は強いんですよ・・・
池本の過去が少しだけ分かります。
池本はどんな過去を持っているんですかね・・・
7月21日、控え室に池本はいる。仕上がりはいつも通りである。
池本はアップを始めた。
前の試合が終わり池本は、会長・トレーナーと入場した。赤コーナーである。
選手の紹介があり1度リング中央に歩み寄る。注意事項を受け、各コーナーにもどる。
「カーン」
1ラウンドのゴングが鳴らされる。
池本は自分から前に出て、2・3回左ジャブを打つ。頭を振りスパーリング通りである。
相手がジャブを返し池本はガードする、様子見といった所か。
1分過ぎ、相手の左ジャブをかわした池本が懐に飛び込む。左ボディから左フックを返す。綺麗に決まり相手がよろけ、後ろに下がる。池本は追い、追撃をする。
連打をボディに集める。たまらず相手はガードを下に下ろす、その時を狙いすましたかの様に左フックで顎を捉え、ダウンを奪う。
相手は立ち上がりファイティングポーズを取る。再び試合再開、池本は一気に間合いを詰め連打をする。
何発か相手に入り、棒立ちになった所でレフェリーが試合を止める。
池本の1ラウンド2分24秒、TKO勝利である。
試合を見に来ていた伊藤さん、渡辺さんは大興奮である。手塚・藤沢はスタンディングオベーションである。
池本は渡辺さん達に右手を上げ、その後周りに頭を下げ、リングを降りた。
少し経って、会長・トレーナーと池本は外に出てきた。
藤沢達は近付く。藤沢は会長より池本を送るように言われ、引き受けた。池本は会長達に頭を下げ試合会場を後にした。
帰りの途中、伊藤さんは仕切りに試合の事を話している。確かに凄い試合であった。5人で電車に乗り、駅から歩いて池本のアパートまで向かう。
「もう大丈夫だぞ、特にダメージないし・・・」.
と池本が言ったが、伊藤さんと渡辺さんが送って行くと強く言うので結局アパートまで来て貰った。アパートに着いた際、藤沢と手塚は帰る様である。
「2人にお茶くらい出して下さい!」
と言われ2人をアパートに上げる事になった。
「すいません、疲れてるのに!」
伊藤さんは言う。
「すぐに帰りますから!」
渡辺さんも言う。
「ゆっくりしてもいいよ、とりわけ何もないしすぐには眠れないし……」
池本は冷蔵庫から500mlのペットボトルを2本出し2人の前に置いた。池本は2Lのペットボトルを開け、そのまま飲んでいる。豪快だ。池本は何となくテレビを付けた。
「「池本さん、おめでとうございます!」」
「おう……ありがとう」
池本は返した。
「あの、以前にも質問しましたけど、なんで彼女作らないんですか?」
伊藤さんは聞く。
「それは……」
「誤魔化しちゃダメですよ、伊藤さん真剣なんだから!」
渡辺さんが言う。
「うーん……」
池本は少し考えてから、
「……俺は孤児院出身なんだ……だから、どうしても踏み込めない時があるんだ……実際、相手の親にはよく思われないからね…………どうせ捨てられるならと思うと、作る気になれないんだ……付き合い始めた時に終わりを考えるのは嫌だろう?…しかし、それが当たり前だからね……どうしても踏み出す気にはなれないんだ……他にも理由はあるけど、大きいのはこれかな?」
「私は気にしないけど……」
伊藤さんは言う。
「親の事を考えないとね。きっといい顔はしないよ……悪く言ってるんじゃない、それが当たり前だからね……」
「……両親が許可すれば大丈夫なんですか?」
渡辺さんが言った。
「池本さんがどんな人か伝えれば大丈夫です。何回も何回も説得すれば大丈夫だと思います。1度で諦めるからダメなんです!」
「渡辺さんいい事言う!…そうだよ池本さん、何度も許可が貰えるまでチャレンジすればいいじゃないですか?」
「その結果……うまくいかなくて浮気されて、俺の暴力のせいで別れるんだよ……」
「池本さんは暴力を振るわないです!」
「暴力を振るう人かどうか、見て分かります!」
2人が言う。
「ありがとう……でもね、20歳の時かな……当時の彼女がそう言った時、周りはみんな信用してね……俺は悪者さ。別にいいんだけど、生まれてきた環境は俺には変えられないからね……どうしようもないんだ……」
「最低の女ですね……そんな女に今だに振り回されてどうするんですか?…そんな女、こっちから願い下げです。そんな女だけじゃないですよ!」
「渡辺さんの言う通りです。最低女は忘れましょう。そんな女は最低です……池本さんは変な人に捕まったんです。これからいい恋愛をすれば大丈夫です!」
「2人共ありがとう…………なんだか元気が出てきたよ。少しは前に進めるかな……」
「よかった~……私、立候補してるのに困っちゃいますよ!」
伊藤さんは言った。いつのまにか10時を超えていた。
「送るよ!」
池本が言い立ち上がった。2人は大丈夫と言ったが時間も時間なので送る事にした。タクシーを呼ぼうとしたが2人が歩くと言うので歩く事にした。なんでもない会話をしながら歩いた。途中で公園に着いた。
「ここだよ、渡辺さんが吐いたの!」
「あの時は、すいませんでした……」
「聞いた~!その後おんぶして、首筋から背中に吐かれたんでしょ?」
「そう、そして寝てたのな!」
「……ごめんなさい……」
「私も酔っ払ったらおんぶしてくれますか?」
「吐かなきゃね!」
「今、酔っ払っちゃった~!」
伊藤さんは池本の背中に飛び乗る、おんぶの形になる。
「酔ってないでしょ!」
「酔いました!…池本さんに酔い中です!」
「はいはい……」
「池本さん……渡辺さんと私、ちゃんとどっちか選んで下さいね!」
「私は別に……」
「嘘!分かってるよ……私も同じ気持ちだから!…だから今からスタート、池本さんの争奪戦!とりあえず、渡辺さんだけずるいから私もおんぶ!」
「いい友達を持ったね渡辺さん!しかし……このまま行くとマンションに着くまでおんぶになりそうなので、今日の所は勘弁をお願いします……さすがに試合終わったばっかりなので、続きはお酒で酔った時にね!」
「もー、分かりました!」
伊藤さんは降りた。2人を送り帰路についた。
池本は完勝ですね!
次は日本タイトルマッチ!
でも気になりますね、女性2人による池本争奪戦・・・