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君の為に、俺の為に・・・  作者: 澤田慶次
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甲斐と池本……

池本の試合が近い・・・

迫って来ました。

少しでもリフレッシュできれば・・・

日曜日、池本は朝のロードワークから帰って来た。

池本はシャワーを浴び、着替えた所でインターホンが鳴る。池本がドアを開けると甲斐が立っていた。

「池本さん、お願いが有るんです!」

「何でアパート知ってんだ?」

「西田さんから聞いて……」

「あいつはプライバシーって言葉知ってんのか?」

「言葉だけなら多分……」

「……で、何だ?」

「家に来て下さい!」

「……嫌だよ……」

「何でですか?俺の母親が……」

「やっぱりな……思い出話は好きじゃないんだ……」

「まぁ、そう言わずに!」

「イ・ヤ・ダ!……」

「そう頑なに拒否しなくても……」

「まぁ、そういう訳で、悪いな!」

「ちょっと、お袋に合わせるって言っちゃったんですから!」

「!?……お前、勝手に決めるなよ……はぁ、分かったよ……美里さん苦手なんだよな……」

「??普通の母親ですよ?」

「お前には分からないんだよ……色んな意味で苦手なんだよな……」

「まぁ、行きましょう!」

池本は甲斐の実家に行く。


甲斐の家に着いた。

「ただいま!」

甲斐の言葉に物凄い足音が聞こえる。

「純也君、いらっしゃい!」

甲斐の母親、美里は池本を抱きしめる。

玄関で段差がある為、池本の顔に美里の胸が押し付けられる。

(……変わってないな……だから苦手なんだよ……)

池本は肩を落とす。

2人に進められ、甲斐宅にあがり、テーブルに座る。

お茶が出て来て、甲斐、美里がそれぞれ池本の向かいに座る。

「純也君、久しぶりだね!」

「はい、久しぶりです……」

「何だ何だ?…久しぶりなんだから、テンション上げていこうよ!」

「お袋、恥ずかしいよ!」

「うるさい、あんたより私の方が付き合い長いの!」

「何だよ、関係ねぇだろ!」

「あんたは黙ってなさいよ、純也君と話してるんだから!」

「池本さん迷惑してるだろ?お前こそ黙れよ!」

「何よあんた、[じんにい]忘れてたくせに!」

「おま、ちょ、何でそんな事言うんだよ!」

「本当でしょ!」

「うぅ……」

「お前の負けだ……美里さんに口で勝てる奴はそうはいない……」

「あら純也君、久しぶりでそれはないんじゃないの?」

「まぁ、いいじゃないですか!」

「そうね……聞きたい事があるんだけど?」

「何ですか?」

「何で拳人(けんと)にウルトラマンの人形を上げたの?新品だったでしょ?」

「ああ、あれですか……あの日の少し前に父さんから貰った物なんです……」

「え?……大切な物じゃない!」

「それだけ、あの頃の俺には甲斐が大切だったんですよ……弟の様にね……」

「だったら、本当に兄弟になればよかったじゃない!」

「やっぱり言うと思いましたよ……あの日、俺達が親戚から邪魔者扱いされた日、美里さん、旦那さんと喧嘩したでしょう?俺と百合子を引き取りたいって……」

「……知ってたの?」

「まぁ、外まで声が漏れてましたから……俺、外に居たから……嬉しかったんですよ、ただ、旦那さんは乗り気でなかった……」

「そうね、心の狭い人だったわね!」

「そうでしょうかね……多分、俺と百合子をいつか邪魔者扱いしたら、そう考えたんじゃないですかね……そんな気がします……」

「そうかもね……でも、やっぱりあの時は引き取るべきだったのよ。私は間違ってないって、今でも思ってる!」

「美里さんらしいですね……でも、俺はやっぱり断ります……」

「何でよ?」

「2人も両親がいたら、父さんも母さんも遠慮しちゃうから……俺は1人ずつ居れば充分です……」

「純也君、立派だわ……本当に格好良くなった!」

「でも池本さん、独身なんだよね!」

「余計な事言うな、俺は今を結構気に入ってるんだ!」

「あら、私も独身よ?……どうせなら、兄弟通り越して拳人の父親でもいいわよ!」

「あ~、はいはい……甲斐、だから言っただろ?…苦手なんだよ……」

「はい、すいません……」

「ちょっと、2人共どういう意味?」

「お袋、まんまだよ……無いわ……」

「とりあえず、俺はこれで……」

池本は頭を下げ、甲斐宅から出て行く。


池本はアパートに一旦帰り、少し経ってからジムに行く。時間は13時である。休みの筈だが、開いている。

「お願いします!」

「やっぱり来たな池本!」

「ええ、練習しないと落ち着かないです!」

「池、俺もいるぞ。3人で馬鹿らしく練習するか!」

「はい、お願いします!」

池本は着替え、練習を始める。

ロープからシャドーボクシング、そしてミット打ちをする。

トレーナーは池本のパンチを抑え込む事で精一杯であるが、顔は笑顔である。

「池、打て打て打て!」

「ほらほら休むな!」

「打ち込め!」

代わりに会長の声が響く。

「「ここだ!」」

トレーナーのミット目掛け、スマッシュが炸裂すると同時に終了の音が鳴る。

「なかなかになったな!」

「池、何かあったのか?」

「ええ、楽しい過去に会いました!」

「そうか、気合いが入ったな池本!」

「どんな楽しい過去なんだ?」

「はい……大好きだった人から告白されたんです。冗談でしたけど……懐かしい、楽しい過去に戻れました!」

「リフレッシュ出来たんだな!」

「はい!」

「池、厳しく行くぞ!」

「勿論です!」

ミットを持つ手がトレーナーから会長に変わり、池本はまたミット打ちを始める。

ホプキンス戦まで2カ月を切った。

気持ちも新たに・・・

ていうか、強烈なキャラでした。

さあ、改めて試合に向け、頑張りましょう!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 甲斐の母強烈でした! でも、池本さんは甲斐の兄貴ですね! 確かに池本さんも兄どころか父でもありえそうですね(笑) 甲斐がこれから強くなっていけば、一番嬉しいのは池本さんですね。
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