甲斐の才能!
池本、熱が入ってきました。
練習あるのみ!
池本は石谷トレーナーとロードワークに出ている。
ラリオスは池本とのスパーリングの為に、体を温めている。
他のジム生が驚いている。それもその筈である。
オリンピック金メダル·ウェルター級·Sウェルター級の2階級チャンピオン、何より池本と死闘を演じた男が、海を渡って池本のスパーリングパートナーに来たのだ。誰もが驚いて不思議は無い。
会長はこの事実を4人と、池本が贔屓にしている西田と甲斐に伝え、ジムに呼び出した。
「凄いだろ!スパーリングで客が呼べるぞ!」
「池本君、やる気充分ですね!」
「……ラリオスだよ……」
「本物だ!」
「スゲェ!」
「「……………………………………」」
「甲斐、佐伯君、どうしたの?」
「いや、池本さん凄いと思って……」
「だって、ラリオスが協力してくれるんですよ!」
2人は感動しているらしい。
池本が帰って来るまで時間がある為、西田は会長に許可を取り、篠原トレーナーにトレーナー業を聞いていく。
不意にラリオスが佐伯と甲斐に声を掛けた。
「2人、リングに上がってシャドーやってみて!」
2人は言われるままにシャドーボクシングをやる。
ラリオスは2人を笑顔で見ている。
2ラウンドやって、2人はリングを降りる。
ラリオスはアップの続きをする。少しすると池本が帰って来る。
池本が着替えて来て、ヘッドギアとグローブを付ける。ラリオスは準備万端である。
スパーリングが始まる。
スパーリングは熾烈を極めた。
クロスレンジでお互いにパンチを飛騨しない。
避けては打つ。ガードしては打ち返す。ハイレベルな攻防が行われている。
少しずつ池本が押していく。
池本の左フックがラリオスを捉える。ラリオスのパンチは空を切る。池本はガードも気にぜず、パンチを当てていき、コーナーに追い込む。ラリオスはクリンチをするが、池本は昨日のボディを打ち込む。
ラリオスは意地で池本のガードの上からパンチを打ち込み、コーナーを脱出する。
熱の籠もったスパーリングは、4ラウンド続いた。
スパーリングが終わると、池本はすぐにトレーナーとミット打ちを始める。
ラリオスの横に篠原トレーナーが来る。
「あいつは底無しだな……スパーリングだけで精一杯だ……」
「ラリオスでもお手上げですか?」
「スパーリングならやり遂げるけど、試合は厳しいね……拳を交えて、今の池本との差がよく分かる……全く、大した男だよ……」
「さっきのシャドー、何か意味が有りますか?」
「3人は何度かビデオで見たが、なかなか面白い。あの2人は見た事がなかったから……あの2人、凄くなるね!」
「本当ですか?」
「ああ、池本も分かってるんだろうな……楽しみだね!」
「ありがとうございます、僕も頑張らないと!」
「そうだね……トレーナーは責任重大だね!」
「はい!」
「さて、俺も練習するか……池本にお払い箱にされちまう……」
ラリオスは体を動かし始める。
池本はミット打ちが終わるとサンドバッグを打つ。隣のサンドバッグをラリオスが打ち始める。
この2人が並んでサンドバッグを打つ姿は圧巻である。2人のサンドバッグが縦に揺れ、返すパンチが異様に速い。ジムの誰もが一瞬、目を奪われる。
練習後、池本とラリオス·通訳で話をしながら帰路に着く。
「池本……甲斐と佐伯、凄いな!」
「佐伯は同じジムだから分かるが、甲斐は違うジムだからそこまで分からない。才能はあるとは思うけど……」
「確かに難しいな……なかなかいないタイプだからな……お前が感じた佐伯はどうだ?」
「空間把握能力……試合を上から見てる感じだな……対戦したら厄介だよ、お前みたいにな!」
「なら話は早い、甲斐はお前寄りだ……一瞬でどこを狙えばいいかを見抜く。相手の弱点を察知するとでも言うのか……俺が唯一負けた相手だ!」
「なるほどな……しかし、甲斐にはもう一つある……」
「そうだな……」
「佐伯が空間を上から見ているのに対し……」
「甲斐は下から捉えている。足の運び方が分かってしまう、相手としては出したパンチを察知される。かなり厄介だ!」
「俺より厄介だ、あいつ等は強くなる!」
「待て、佐伯も空間把握だけじゃない……」
「ああ、あいつは時間軸がずれる。集中力が増すとパンチがゆっくりに見える……」
「ボールが止まって見えるあれだな!」
「ああ、かなり厄介だろ?」
「2人の対戦、楽しみだな!」
「ああ……ところでラリオス、プエルトリコなのに、野球詳しいな!」
「野球は報酬が高いからな……家族の為にやろうとした事がある……才能無かったけどな!」
「家族か……今はどうなんだ?」
「日本と違って、アメリカは報酬が高いんだ……とりあえず、不自由はねぇかな……」
「そうか……食ってけねぇなら謝らないとと思ったんだけど、必要ねぇな!」
「何で謝るんだ!」
「いや、俺がお前に完勝しちゃっただろ?」
「馬鹿、辛勝だろ!」
「いや、完勝だ!」
「辛勝だ、頭いかれたか?」
「「あっはっはっはっはー!」」
「とにかく助かるよ、ホプキンス退治は任せろ!」
「大きく出たな……本当に頼むぜ!」
「ああ、勿論だ。俺は、言った言葉は飲み込まない主義なんでな……絶対にやってやる!」
「俺も最大限、協力する!」
2人はハイタッチし、別れた。
若い2人の才能・・・
池本もラリオスも嬉しくも羨ましい・・・
そんな感じですかね・・・
新しい芽も出て来ました。
お役ご免も近いかな・・・




