徳井、盤石!
締めは徳井!
しっかり勝利を!
メインイベント、青コーナーより挑戦者が入場しリングインする。
続いて、現日本チャンピオン徳井が赤コーナーから入場しリングインする。
選手紹介の後、両者リング中央に歩み寄る。
レフェリーより注意事項の説明を受け、各コーナーに別れる。
「カーン」
ゴングが鳴った。
1ラウンド…………
徳井は左ジャブから左に回る。相手も左ジャブから回って行く。お互いに距離を取り、左ジャブの差し合いになる。
2人共、なかなか鋭いジャブを打ち、レベルの高さを伺える。
しかし、徳井の方が一枚上手をいっていた。
徳井はきっちり避けてジャブを打つが、相手は何発か芯を外してはいるが被弾している。
相手はギアを1つ上げるが、徳井は難なく付いて行く。徳井の左ジャブが決まり始める。
1分が過ぎて、徳井が更にギアを上げる。エンジンが掛かって来たと言った方がいいかもしれない。
徳井は左ジャブを打ちながら相手を中心に回り始める。相手はその動きに付いていけない。焦れて前に出ようとした瞬間、徳井の右ストレートが相手を襲う。相手は膝をキャンバスに着く。
レフェリーがカウントを数える。カウント8で立ち上がる。
試合再開、徳井は左ジャブを打ちながら前に出る。
相手も手を出し応戦する。
徳井の左フックが決まった時、ゴングが鳴った。
2ラウンド…………
徳井は左ジャブから前に詰める。相手は動きが重い。
徳井は左ジャブから左ボディ、左アッパーへと繋げる。相手はまたも膝を着く。
レフェリーが入り、カウントが始まる。カウント8で立ち上がる。
徳井は一気に詰め、コーナーに押し込む。
徳井は上下にパンチを散らし、相手をコーナーに貼り付けにする。
徳井のパンチが何度か顔面を捉えた時、レフェリーが割って入った。
タオルが投げられていた。
2ラウンド1分11秒TKO、徳井の勝利と共に日本タイトル初防衛となった。
「本当に強ぇな!」
「まあ、盤石だな!」
「徳井、ちょっと強過ぎねぇか?」
「あんなもんじゃねぇぞ……あいつは追い込まれないと、全力が出せないタイプだ!」
「池本の所は、賑やかだな……羨ましいな!」
「あいつ等は勝手に強くなったんだ、俺はたまに茶化してただけだ……」
「謙遜だな……お前が嫌われる覚悟の一言があったから、今のあいつ等が居るんだろ?」
「だといいけどな!」
「あいつ等はきっと分かってるよ!」
「そうか?……まぁ、あいつ等の頑張りは確かだけどな!」
「それは確かだな!」
「さて、外に出ようぜ!」
「そうだな!」
2人は会場から去って行く。
会場の外でみんなと合流する。
「じゃあな、池本……頑張れよ!」
「池本さん、ありがとうございました!」
「おう、2人共気を付けろよ!」
西田と甲斐は帰って行く。
徳井が会長達と出て来た。
「篠原、みんなを送って行ってくれ!」
「はい、分かりました」
「池本、1人で帰るんだろ?」
「ええ、そのつもりです」
「池本さん帰っちゃうんすか?」
「俺、左だけで勝った感想聞きたかったのに!」
「初防衛、どうだったか確認したいんですけど!」
「甲斐との話、気になります!」
「何だ、僕じゃ不満かい?…別にいいんだよ、休暇無しで明日から池本君でも逃げ出すメニューをやっても……」
『わーーー、ごめんなさい!』
「すいません、篠原トレーナー……よろしくお願いします……」
「大丈夫だよ……まぁ、ゆっくり考えなよ……」
池本は篠原トレーナーと会長・石谷トレーナーに一礼し、去って行った。
会長・石谷トレーナーは池本を見送ってから消えて行った。
「池本さん、最近おかしいよね……とっ君何で?」
「俺も分からない……どうしたんだろう?」
「キータン、1番古い付き合いだから、分からない?」
「難しい事言うなよ……池本さんは空みたいな人なんだ……見えてるけど掴めない、近いようで遥かに遠い、でも確かに身近に感じる……不思議な存在なんだ……」
「そうだな……それでいて俺達の目標だ……何を考えているかは分からないけど、池本さんは必ずやってくれる!」
「まぁ、君達の場合は……今に満足せずにしっかりと練習だね……池本君に認めて貰わないとね!」
『はい!』
「男性陣ばっかり熱くなって……」
「大体、池本さんばっかり気にし過ぎ……」
「あらあら、徳井さん喜多さん、2人が怒ってますよ……大丈夫ですか?」
「「!?……ごめんなさい!」」
「手塚さんは、そういった意味では良かったですね!」
「佐伯、言葉を選びなさい……あの2人が哀れだと言って上げなさい!」
「「手塚?」」
「??……手塚さんのが哀れに見えますよ?嫉妬してる感じですかね……」
「あら、佐伯君分かってる!」
「あなたはなかなかいい男ね!」
「手塚さんにも、そのくらい素直な所が有ればね!」
「ぐぬ……」
「手塚君、君の負けだよ……認めなよ……」
篠原トレーナーは手塚の肩に手を置く。
本日は全員快勝であった。
篠原トレーナーは、結果には満足していたが、池本の事は気にかけていた。
(会長や石谷さんに相談出来なければ、僕を頼ればいいのに……)
いつも冷静な篠原トレーナーも、いつの間にか熱を帯びてきた。
全員おめでとう!
さあ、次は池本だ!
・・・悩み、ありますね・・・




