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君の為に、俺の為に・・・  作者: 澤田慶次
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練習も佳境……いざ、試合へ……

減量も佳境になり、ついに試合・・・

そんな感じになってきました。

池本はこれに勝って、日本タイトルに・・・

練習、かなりキツイですね。

翌日、大学でいつもの4人で話ている。昨日の事である。

「池本さんがね…………」

伊藤さんが昨日のジムでの事を伝える。

ある程度話をした後、池本に彼女がいない事について話になった。いくらボクシングがあるとはいえ、彼女がいてもおかしくはない。

「店長に聞いてみよう……」

伊藤さんは言った。


渡辺さんはバイト先で池本に挨拶をし出勤した。

いつも通り業務をこなす。店長に頼まれ、池本と仕入れに出かけた。車内で、

「池本さん、昨日はすいません……でも、凄かったです。練習大変なんですね!」

「大変でもないよ、いつも通りかな……これからが追い込みだけどね」

「格好よかったです!」

「ありがとう」

「なんで彼女作らないんですか?」

「作らないと作れない、違いがわかるかな?……相手がいなくちゃ出来ない事もあるのですよ、分かりますか?」

「すぐ出来そうですけどね……現に伊藤さんは、かなり気にしてますよ?」

「その内に分かるよ……」

池本は言って笑顔を作った。

業務が終わり、池本はいつも通りジムへと向かった。

ジムワークは厳しさを増している。しかし池本は淡々とこなしていた。何も言わず練習している池本の姿が他のジムメートを無言で引っ張っていた。


翌日、伊藤さんのバイト初日である。池本はいつも通り出勤し仕事をこなす。昼休みから帰ってくると伊藤さんがいた。

「今日からお願いします」

「こちらこそ」

池本は答えると仕事を教えた。伊藤さんも仕事を覚えるのは早い、池本は感心した。15時になり池本は上がった。

伊藤さんは店長に池本が彼女を作らない理由を聞いたが店長にはぐらかされた。知っているのか知らないのか分からない。伊藤さんは少しもやもやした。翌日もバイトである。本人に聞こうとしたが、なかなか聞けないでいた。そうこうしているうちに池本は上がってしまった。

(来週こそ!)

伊藤さんは思った。


翌日に豊本さんの初日、池本はいつも通りであった。この娘も覚えるのが早い。

(助かるなー!)

池本は思った。

豊本さんより彼女を作らない理由を聞かれ誤魔化した。

(この話題多いな……何かいい答えないかな?)

池本は思った。


楽しかったのはここまでである。

日曜日より練習がさらに厳しさを増した。日曜日は徹底的に走る。広い公園に行き、軽く5km走る。池本の他に2人、本日の練習に参加している。トレーナーはグローブとミットを持って来ている。

5km走が終わると、池本はグローブを付ける。グローブを付けたままで600mダッシュをする。600mダッシュ10本、1本終わる毎に1分間のラッシュの練習を池本だけ課せられる。2分以内に戻って来ないと1本と認められない。トレーナーの合図と共にスタートする。終わればシャドー、そしてまた、ダッシュの繰り返し。さすがの池本もへばっていた。


月曜からはスパーリングとジムワーク、こちらも厳しさを増している。

スパーリングは相手を変え、色々な人と行う。

ジムワークに至っては、筋力トレーニングの後にリングに横になり、トレーナーに2ラウンド、ボディを踏んでもらう。ボディを鍛える練習であるが、これの後にシャドーをやるのだが、下半身に力が入らず、かなりキツイ。

そしてロードワーク、下半身に力が入らないから進んでいる気がしない。1日の練習が終わると、アパートに帰るのも辛いくらいである。さらに帰ってからのロードワーク、疲労が溜まってくる。

仕事場でも自然と言葉が減り、話しかけずらい雰囲気になっていた。勿論、お客に対してはきちんと対応しているが、他の人には極力話をしない。池本の顔もどこか疲れていた。


6月に入り池本はバイトを休み、合宿に行った。

ここでは、徹底的に下半身の強化をする。朝に山の中を走る。道があるとはいえ、舗装も出来ていなくアップダウンの道である。足腰の強化とバランス感覚を鍛えるのにうってつけである。また、山の中の為、登り坂のダッシュには持って来いの場所である。

午前中はロードワークに始まり、ダッシュを何本も行う。帰って来てジムワークに移る。やる事は普段と変わらないが、朝からボクシング漬けである。

午後になるとロードワークから始まり、次にハンマーで地面に置いたタイヤを叩く。片腕ずつ100回、両腕で200回である。

その後ジムワークを行う。夕方もロードワークを行い、登り坂をニュートラルにした軽トラを押して駆け上がる。肉体的にも精神的にも相当追い込んだ。


合宿が終わり1日休んだ。

翌日よりバイトに復帰した。渡辺さんより合宿の事を聞かれ、何となく返した。翌日は伊藤さんに同じ事を聞かれた。

練習は少し落ち着いた。ここからは体重と質の練習である。

スパーリングが中心になり、1日に8〜10ラウンドこなした。池本は早めに減量を開始する。1ヶ月前から落とし始める。一気に落とす選手もいるが、池本にはこのやり方があっている。池本の練習も佳境に入っていった。


6月も終わり、池本はバイトが休みになる。

この時期になると、池本の体は大分絞れてきていた。後20日程、ここからが正念場である。現体重は77kg、後4.5kgここから体重が落ちなくなる。まさに骨身を削る思いである。この頃になると携帯も鳴らなくなっていった。


7月上旬、スパーリングを中心に行いながらジムワークも行なっていく。疲れもピークになり、スパーリングの動きもいまいちピリッとしない。時折攻め込まれる事もあるが、そこは池本である。わざと打たせてガードをし、空いた場所にピンポイントで打ち込む。しっかりと実戦を想定して動いている。

計量は毎日行う。確実に減ってはいるが、まだリミットに達していない。7月も10日を過ぎ、肉体的にも精神的にもかなり研ぎ澄まされている。すでに池本に話し掛ける者は、トレーナー・会長の他にはいない。


7月16日、練習終了後計量。

72.5kg予定通り落ちた。後はキープしながら練習を続けていく。

残りの時間は疲れをとりながら練習を続ける、難しい時間だ。練習を休めばスタミナが減るがハードワークは疲れが残りこれもマイナスである。しっかり疲れを抜きながらスタミナ・パワーを落とさない。最後の仕上げである。


7月20日、計量に臨む。

72.5kg、一発OKである。当然、相手も軽量パスした。試合はセミファイナルであった。

ついに試合・・・

大学生5人は、初めて見るんですね。

池本はしっかり勝って、次に繋げられるか・・・

まだまだ目が離せない・・・

なんて思って頂けますと幸いです。

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