池本前進?
池本は今日も練習です。
練習あるのみ・・・
トレーナーが1番大変かもしれません。
10月初旬、池本はバイトをしていた。
バイト終わりに店長に時間を作って貰う。
「すいません店長……」
「いや……大丈夫だけど、どうしたの?」
「あの……バイト、辞めようと思って……」
「池本君、大分悩んだみたいだね!」
「まぁ、長いバイトですからね……」
「目標、見えてきたんでしょ?」
「はい、はっきりと!」
「なら、分かったって言うしかないね……今までありがとうね!」
「こちらこそ、ありがとうございます!」
「今日まででいいのかな?」
「気を使って頂いて、ありがとうございます」
「長い付き合いだからね……たまには顔、出してよね!」
「はい、本当にありがとうございました!」
池本は頭を下げ、花屋を後にする。
池本は着替え、ロードワークに出て行く。トレーナーがスクーターで一緒に着いて行く。
トレーナーの声に合わせてダッシュをしたり、丘をジグザグにダッシュしたり、坂道をスクーターを押したりとラリオス戦前の様な練習をする。
2人は来たるべくその時に備える。
ロードワークから帰ると、徳井達4人がいた。
それぞれジムワークをしている。
池本は上着を着替え、ジムワークに入る。
池本はシャドーボクシングまで終わると、トレーナーにミットを持って貰う。
「おら、休むな、手を出せ!」
「打て打て打て!」
「疲れた顔するな!」
「それで終わりか?」
トレーナーの激が飛ぶ。
それに答える様に池本は一心不乱にパンチを打ち込んでいく。
「ここに来い!」
トレーナーのミット目掛けてスマッシュが飛ぶ。
「パァン」
炸裂音が響き、ラウンド終了の音が鳴る。
「サンドバッグ打って来い!」
池本は、12ラウンドのミット打ちの後すぐ、サンドバッグ打ちに入る。
トレーナーは会長室で会長と話をする。
「池はやる気だな!」
「はい、全然ブレーキを掛ける気がなさそうです!」
「まぁ、いい傾向だ……池の姿勢が周りを強くする!」
「はい、そうですね……でも、久しぶりのミットなんで……こっちは大変ですよ!」
「俺も協力する。上手くやっていこう。4人は篠原に任せるか……」
「篠原さん、結構上手くやってますね……助かりますよ!」
「トレーナーはまた暫く、池を頼むぞ!」
「はい、任せて下さい!」
トレーナーは会長室から出て行き、池本の練習に付き合う。
池本達の練習が終わりそれぞれが帰ろうとした時、篠原トレーナーが呼び止める。
会長·石谷トレーナーは先に帰って貰っている。
「池本君……みんなに課題、伝えてよ!」
「ああ、この間の試合ですか?」
「頼むよ!」
『教えて下さい!』
「まぁ、いいけど……篠原トレーナーとしっかり練習しろよ!」
『はい!』
「佐伯は、上手いが怖くない。時には強引さも必要だ。その為にも、下半身を鍛えろ!」
「はい!」
「手塚は、パンチ1つ1つの強さが足りない。回転を狭い空間でも生かせる様にな!」
「そうか、狭い空間でのパンチか……」
「喜多、2ラウンドで仕留められた筈だ。慎重な事はいいが、決断も必要だ。その為には、至近距離での我慢比べが出来る様に、スタミナを付けろ!」
「スタミナね……」
「徳井、お前はいい試合をする様になった……自分のペースで、自分のリズムで、必ず先手で動いている……後は、そのクレバーさをずっと守れる様に、心も鍛えろ!」
「はい、頑張ります!」
「まぁ、全員これからだ!しっかり、このジムの選手としての自覚をして、練習しろよ!」
『はい!』
「僕からも、全員もっと自分を追い込まないとね……池本君みたいに、自分が劣勢な時を想定して練習する様に!」
『はい!』
「時に池本君、とっ君事件を知りたいんだけど!」
「ああ、それですか……徳井は彼女に……」
「わぁーー、何でそんな事ーー!」
「いいじゃないか徳井!」
「篠原トレーナーが知りたいんだから!」
「諦めましょうよ!」
「え、徳井君だけじゃないよ?……喜多君のおホモ達の件、手塚君のインターハイ3位で怒られた件、佐伯君の甲斐君とのやり取り……みんな聞くよ!」
『えーーーー!』
篠原トレーナーは楽しそうにそれぞれの話を聞いた。
「さあ、片付けて帰ろうか!」
6人は戸締りをし、帰路に着く。
池本は帰っている途中、声を掛けられた。
振り向くとそこには、西田が居た。
「池本、何だか背中が寂しそうだぞ?」
「何だ西田か、何か用か?」
「まぁな……甲斐の事、ありがとな!」
「そうか、甲斐はお前のジムか!」
「おう、あれから一層、練習に打ち込んでるよ!」
「そうか……甲斐は強くなる、うちの佐伯といいライバルだ!」
「らしいな……楽しみだよ!」
「まぁ、今はそれより強くなる事が先決だ!」
「それもお礼を言わないとな……甲斐の奴、池本にボコボコにされたって笑顔で話してたよ。世界チャンピオンになって、佐伯と統一戦をやりたいらしい。なかなか楽しそうだ!」
「お前が居れば、甲斐は安心だな!」
「それはどうか分からないけど……お前と対戦したって知ったら、なかなか素直になったぞ!」
「そうか……お互いに楽しみだな!」
「ああ……これからのお前くらい楽しみだ!」
「……西田、引退を決めたきっかけって何だ?」
「引退か……何だろうな…………ただ、終わったと感じたんだ……そう感じたんだ……」
「……そうか……難しいな……」
「何だ池本、引退考えてんのか?」
「いや、そうじゃねぇけど……俺もベテランになって来たって事だ!」
「お前には、まだまだ頑張ってもらうぜ!とりあえず、日本初のPFP1位になって貰わねぇとな!」
「まぁ、やるだけやるさ!」
「そういえば、これやるよ!」
西田からボクシング雑誌とDVDを受け取った。
「最新号と1番新しいホプキンスの試合だ……お前の戦い、いつまでも見てるぜ!」
「ありがとうよ……お互い、頑張ろうぜ!」
2人は片手を上げ、別れた。
池本は帰ってボクシング雑誌を見る。
めくっている手を止める。
[フェリックス・ホプキンス3RTKO勝利]
豪快なダウンを奪う写真が写っていた。
(相変わらずだな……)
池本は雑誌を進める。PFPの特集がある。
1位は[フェリックス・ホプキンス]であった。
ランキングを見ていく。
「うお!」
池本は声が出た。
ランキング4位に[池本純也]の名前がある。
記事にはホプキンスと池本の対戦を望むと書いてあり、全米のボクシング雑誌でも特集が組まれていると書いてあった。
(このタイミングか……)
池本は目線を落とした。
順調そうな池本・・・
少し元気がないような・・・
取り越し苦労ならいいんですがね・・・




