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君の為に、俺の為に・・・  作者: 澤田慶次
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篠原トレーナーの逆襲?

池本の試合が終わりました。

次は徳井達、ジムの後輩です。

しっかり結果を残して欲しいですね!

ミドル級世界統一戦の翌日、病院に行った後、池本はジムに顔を出す。ファイトマネーを受け取る為である。ファイトマネーは、振り込み等出来るが池本は孤児院に届ける為に、現金で受け取っていた。

しかし、今回は大きく違う。

本場アメリカのプロモーターが付き、世界に放映された為、金額が破格である。初めて世界を取った時の10倍以上、億の領域である。

会長室に入ると、会長、トレーナーが居る。

「お疲れ様です!」

「昨日はご苦労様!」

「よくやったぞ、池本!」

「ありがとうございます、これからもお願いします!」

「勿論だ、池!」

「まだまだゴールじゃないぞ!」

「はい!」

池本は1000万円を現金で受け取ると挨拶をして会長室から出た。

出た所で篠原トレーナーに会う。

「池本君、昨日は凄かったよ……おめでとう!」

「ありがとうございます!」

「その後の記者会見も凄かったよ……」

「はははは、対応ありがとうございます。本当に助かりました!」

「池本君はそれでいいかもしれないけど、僕は記者の連中に罵声を浴びせられたんだよ!」

「それは……ご愁傷様でした!」

「池本君!少しは反省してよね!」

「はい、反省!」

池本は篠原トレーナーの肩に手を掛け、猿のCMでお馴染みのポーズを取る。

「はぁ……君は本当に、ボクシング以外はいい加減だよね……昨日の英雄と同じ人物だとは思えないよ!」

「何言ってんですか?俺は真面目ですよ!……真面目に気を抜いてるんです!」

「……何だか話が分からなくなって来たよ……ああ、お願いがあるんだけど、僕の知り合いが池本君と話したいらしい……時間取ってくれるよね?昨日の事もあるし?」

「……分かりましたよ、何時ですか?」

「9月24日、3時にこのジムに来るから……その少し前くらいにお願い出来るかな?」

「はい、分かりました。この間のお礼に対応します!」

「よろしくね、池本君!」

「はい、失礼します!」

池本は出て行った。

篠原トレーナーは、怪しい笑いを浮かべている。


徳井·喜多·手塚は試合前の仕上げの練習、佐伯は今回のプロテストの申し込みが間に合ったらしく、プロテストに向け、準備を進める。

スパーリングでの動きも良く、順調である。

試合が楽しみになって来た。

「みんな、順調だね!」

篠原トレーナーは笑顔である。

「篠原さん、今回はすいません。池本ばかりになってしまって……」

「いや、大丈夫!池本君は結果を残してるから、それだけで充分!……明後日もあるしね……」

「????」

「篠原、みんなどうだ?」

「順調ですよ、会長!池本君の試合が刺激になったみたいです。みんな、いい結果を出してくれますよ!」

4人は、集中して練習をしている。


池本は孤児院に来ていた。

「純也君、おめでとう!」

「ありがとうございます、これ使って下さい!」

池本は1000万円を渡す。

「いつも本当にありがとう!」

「いや、俺の方こそです。院長と会って、本当に良かった!」

「純也君、百合子ちゃんと何かあったんでしょ!」

「……さぁて、どうですかね……」

「純也君は変わらないわね……何かあってもすぐ隠して!」

「いや、特にはないですよ……」

「そう?百合子ちゃんから取り返しの付かない事をしたって連絡があったんだけど?」

「まあ、大した事じゃないですよ!」

「縁……切ったんでしょ?」

「縁を切ろうと二度と会わなかろうと、あいつは俺の妹です……あいつはいつか母親になる……その時に自分の両親の悩み、苦しみが分かって、謝りたいのに謝りに行けないのは辛いじゃないですか……いつか両親との蟠りが無くなった時、素直に謝れるように…………俺が居ると素直にはなれないだろうから……まぁ、間違ってる事は伝えましたけどね!」

「辛い決断ね……純也君はそれでいいの?」

「いいに決まってるじゃないですか!百合子が、父さん母さんとのわだかまりが無くなる……それだけで充分です……俺は強いから、1人で大丈夫なんです……」

「あなたはいつも、自分は後回しね!」

「そうですかね?……何があってもボクシングですよ……自分の事が最初です……だから、意外に自分の事を考えてますよ……俺は自分勝手ですからね!」

「純也君……本当に立派になったわ!」

「どうですかね……まだまだなりたい人間にはなれませんよ……」

「あなたはどんな人になりたいの?」

「……空の様な……全てを包んでくれる青空の様な人になりたいです!」

「……そう、大変ね!」

「まあ、そうですね!」

「百合子ちゃん……ご両親の事、分かってくれるといいわね!」

「分かりますよ、あいつは俺の妹です。大丈夫です!」

「純也君は百合子ちゃんの事、よくわかっかいるみたいね!純也君の事、分かってくれる娘がいるといいんだけど……」

「ははは、難しいですね。俺は世界チャンピオン、池本ですからね……強がりで臆病な池本純也は、みんなは待ってないみたいです!」

「そんな事はないわ、純也君!」

「まあ、何はともあれ平和ですよ……」

(純也君、あなたはみんなにとって、青空どころか、太陽の様な人よ!)


9月24日、池本は篠原トレーナーとの約束の為、15時前にジムに来た。

池本がジムのドアを開ける。

『!?』

徳井の公開スパーリングの為に集まった記者が、一斉に池本に詰め寄る。

「チャンピオン、この間の試合……」

「ラリオスは強かったですか?……」

「今後は?……」

記者達に一斉に囲まれ、質問攻めに会う池本、篠原トレーナーはそれを見てご満悦である。

池本は質問に一通り答え、リングの横に移動する。

「やってくれましたね、篠原トレーナー!」

「やられたらやり返す……因果応報だよ池本君!」

「今回は痛み分けって事で、手を打ちますか?」

「そうだね!」

2人でリングに顔を向ける。

「徳井はどうですか?」

「いい仕上がりだよ!」

「期待、していいですか?」

「勿論だよ!」

スパーリングが始まる。

徳井は軽快なフットワークから、キレのあるジャブを打ち、相手を翻弄している。時々タイミングのいい右を打ち込み、仕上がりの順調さが伺える。調子はいい様だ。

徳井の公開スパーリングが終了し、それぞれが練習に戻る。

徳井、喜多、手塚の動きは軽快である。佐伯の動きも良く、明日が楽しみであるが、池本は少し渋い顔をしている。


練習後、池本は4人に声を掛け、残らせる。篠原トレーナーも残る。会長とトレーナーは先に帰って貰った。

「佐伯、調子はどうだ?」

「大丈夫です!」

「そうか……お前等はどう思う?」

「まあ、大丈夫じゃないですか?」

「佐伯ならいけるでしょう!」

「プロテストじゃないですか!」

池本は厳しい顔付きになった。

「この馬鹿共ッ!何考えて言ってんだ!お前等、何見てたんだ!何を教えたんだ!ああ、言ってみろッ!佐伯、お前は何を感じたんだ!お前は何様なんだ!」

『………………………………』

池本の怒号に4人は黙り込んでしまう。

「プロテストだ?はあ?プロテストだからしっかりやるんだろ!誰もがここがスタートラインなんだよ!何で甘く見れるんだ?合格の裏取引でもしてるのか?気の抜けた試合するならプロになるな!」

「…………すいません……」

「3人共、プロテストを軽く考えてるって事は、何処かに油断があるって事だ!お前等が受けた時は、そんなに楽だったのか?そんな考えしてたら、次の試合に勝てねぇぞ!…次勝っても、いつかは負ける!俺はそんなに気の抜けた試合をしてたのか?答えてみろ!」

「「「…………してないです……」」」

「馬鹿野郎!だったらやるんじゃねぇ!篠原トレーナーにしっかり恩返ししろッ!」

言い終わると池本は、足早にジムを出て行った。

「流石、池本君だね……僕じゃ分からない事をしっかり分かってる。君達は幸せだよ、世界チャンピオンが本気で怒ってくれるんだから!」

「俺達、調子に乗ってました……仕上がりもいい感じだし……」

「池本さんは、いつでも入念に準備して……」

「俺達の見本だったのに、池本さんがやらない事をやってた……」

「池本君は、君達ならやってくれると信じてるから怒ったんだ……いいタイミングだよ……しっかり気を引き締めて、結果で池本君に恩返しをしよう!」

「「「はい!」」」

「俺……」

「大丈夫だよ佐伯君……しっかりとした姿を見せれば、池本君は分かってくれる……油断大敵、しっかり肝に銘じないとね!」

「はい、頑張ります!」

篠原トレーナーは4人を見て、改めて笑顔になる。

そして、後輩の為に本気で怒る池本の事を改めて見直す。

(仕返しして、悪かったかな?)

篠原トレーナーは頭を掻いた。

池本に怒られた4人。

油断をなくして、しっかり勝ちましょう。

池本はいつでも、油断なんてしなかった。

気を引き締めて、頑張りましょう!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 甲斐選手ありがとうございます! どのように池本さんや佐伯さん、3人と絡むのか楽しみです!
[良い点] さすが池本さん勝負の厳しさを知っているからこその激励ですね! 自分が甲斐としてこの小説にいたら絶対に池本さんに教わりたいですね! これだけ池本さんが厳しく、強くあるほど佐伯さんと切磋琢磨し…
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