新しいステージ!
拳を交わした男が引退・・・
でも池本は止まらない・・・
責任感の強い男なんです。
休暇明けで池本がジムに帰って来た。今回の休暇は5日間であった。
ジムに入ると、トレーナーと一緒に呼ばれ、会長室に入る。
「池、体調どうだ?」
「はい、ダメージはしっかり抜きました!」
「そうか……なら次だな!」
会長とトレーナーが目を合わせる。
「池、どんな相手と試合したいんだ?」
「1つずつしっかり勝って、最強を目指すだけです!」
「池本、目指すは[フェリックス・ホプキンス]なんだな?」
「勿論です……誰もが知ってるスーパーチャンピオンですからね!」
「よく分かった……最強目指すぞ、池!」
「やるぞ、池本!」
「はい、頑張ります…けど……」
「次の防衛戦、相手は[デイビッド・ラリオス]だ!」
「!?」
「見えてきたぞ池本!」
「池、やるだけだぞ!」
「……はい!」
池本は会長室を出て着替える。着替えが終わるとロードワークに出て行った。
「トレーナー、池本さんが俺等に声掛けないなんて、珍しいですね?」
「何か、すげぇ気合い入った顔してた!」
「何があったんですか?」
「……池本の防衛戦が決まった。デイビッド・ラリオスだ!」
「「「…………わあーーーー!」」」
「マジですか?」
「すげぇ……あのラリオスと……」
「PFP3位、無敗の2階級チャンピオン、それを池本さんが……」
「「「池本さんなら、絶対やってくれる!」」」
3人は慌てて池本の後を追い掛ける。
会長がトレーナーに話し掛ける。
「池はあいつ等3人にとって、本当にいい目標だな!」
「はい、それに池本も刺激を受けてます。いい関係です!」
「お前が連れて来た男は、凄い男になったな!」
「はい、でもまだまだです。あいつはもっと強くなります!」
「そうだな……ラリオス戦、全力で勝ちに行くぞ!」
「はい、会長!」
ロードワークから帰った4人は、ジムワークをいつも通りにこなした。本当にいつも通り、メニューは変わらない。
しかし、ジムの雰囲気が張り詰めていた。
原因は池本である。全くと言っていい程周りに意識が届いていない。誰も見えていない様に、ただひたすら練習に集中していた。池本の姿が3人に伝染し、3人も集中する。結果、引き締まった雰囲気になっていた。
練習後、池本は珍しくトレーナーから声を掛けられ残っていた。3人も残っている。
「池本、厳しくしていくぞ!」
「はい、お願いします!」
「池本さん、ラリオスとやるんでしょ!」
「すげぇっすよ、そして池本さんが勝つ!」
「楽しみですよ~!」
「はいはいはい、君達は寂しいね……自分達の事で盛り上がりなさい。俺は勝手にトレーナーと盛り上がるから!」
「「「うへぇ!」」」
「池本、覚悟は出来てるみたいだな!」
「はい、最強になる覚悟ならいつでも出来てます!」
池本達はジムを後にする。トレーナーは戸締りをしてから帰るとの事だ。
池本は3人とはすぐに別れる。
(PFP3位、ホプキンスの対抗馬大本命、無敗の2階級王者、戦慄の右、そしてオリンピック金メダリスト……肩書きを数えたらキリが無ねぇ……現在の世界のボクシングの中心の1人……こいつを倒せば……)
池本の目が鋭くなる。何かを捉えたように瞳の奥が光り、それと同時に覚悟を持った目付きになる。
池本はアパートに帰るとすぐに着替え、ロードワークに出る。自然とペースが上がる。いつもより距離を伸ばす。
ロードワークを終えるとすぐにシャワーを浴び、トレーナーより貰ったDVDを見ながら食事を取る。ラリオスの試合、池本は食い入る様に見ている。
(この時にこう……これはこうするとやばい……うわぁ、ここでこれ狙うか……うお、今のすげぇな……)
池本は何度も見直し、時々パンチを出しながら映像を確認する。結局、食事は2時間掛かった。
食後も何かを考えているように静かな池本、しかし、目がギラギラしている。そんな時に携帯が鳴る。
「池、今大丈夫か?」
「会長、大丈夫ですけど何かありました?」
「ああ、正式にラリオス戦が決まった!」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「強い相手と決まって礼を言われるのは珍しい事だな!」
「そうですか?」
「とりあえずな、9日21日代々木アリーナだ!」
「はい、分かりました!」
「アメリカのプロモーターがバックアップするらしい、世界に中継されるそうだ!」
「俺で視聴率取れますかね?」
「お前はこの間の試合で、なかなか注目されてるらしい。[アメリカの恥を日本の世界チャンピオンが葬る]との見出しで雑誌に載って、かなり好評らしいぞ!」
「そうですか……俄然、やる気出ますね!」
「ああ、最強に挑戦していくぞ!」
「はい、お願いします!」
池本の夜は更けていった。
思わぬビッグマッチ!
最強への道が見えてきた!
さあ、後はやるのみ!




