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君の為に、俺の為に・・・  作者: 澤田慶次
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池本の帰った練習後!

3人は池本のスパーリングに疑問があるようです。

池本は何を考えて、何を感じてリングの上で駆け引きしてるんでしょうか?

少しだけ、池本の試合の仕方等が分かるかもしれません・・・

3人はトレーナーに声を掛ける。ジムの戸締りも終わり、後は出入り口を閉めるだけである。

「何だ、どうした?」

「少し話がしたくて……」

「池本さんの事なんですけど……」

「なんだかお前等は、池本の恋人みたいだな……おホモ達は辞めろよ、俺と池本は巻き込むな!」

「何で発想が池本さんなんですか?」

「まあ、ボクシングを始めてから1番多くの時間を一緒に居るからな……発想は似てくるかな?」

「とりあえずですね、今日のスパーリングの事ですけど……どうして池本さんは真向から力でねじ伏せたんですか?俺の時はフットワークを使ったのに!」

「うん?……3人目か?あの程度ならねじ伏せられるって思ったんだろ?」

「俺の事も池本さんならねじ伏せられると思いますけど?」

「はあ?お前は大丈夫か?…分かってねぇのか?」

「何がですか?」

「徳井、喜多、説明してやれよ!」

「「俺も分からないっす!」」

「おいおいおい、お前達大丈夫か?強くなるのはいいけど、頭も少しは使えよ!」

「「「酷いですよ、トレーナー!」」」

「はあ、お前等は……これを聞いたら池本もがっかりだろう……いや、あいつは大笑いだな……おホモ達改め3馬鹿トリオになりそうだ……」

「「「!!!!」」」

「いいか、無謀と勇敢は違うんだ。手塚は池本の強さを分かった上で間合いを詰めた。精神は肉体を凌駕する。覚悟の量を池本は感じたんだ。だから外から打ち抜きながら精神と肉体のバランスが崩れるのを待った。結果、焦れた手塚を池本は料理したわけだ……まあ、精神力がどんなにあろうと、肉体ごと壊す手もあるが、そこは同じジムで良かったな!」

手塚は顔が青くなった。

「まあ、あの3人目はクロスレンジならいけると思っていたんだろうな……池本の距離とされている場所だ、少し失礼だったな…………何の覚悟も持たず、自分の距離だと安易に考えていた……勉強になったんじゃないか?池本はいつも自分が追い込まれる事を想定して練習している。だからいつでも覚悟を持って自分の距離で戦っている……覚悟もなく、力でねじ伏せに来たあいつは当然の結果かな?」

「池本さんは華麗なフットワークを使えるのに、何で試合で使わないんですか?」

「それも分からないのか?……お前達池本の後輩だよな?」

「はい!」

「それはもう……」

「間違う事なく……」

「池本も大変だな…………どう見ても付け焼き刃だろう?奇策なんだよ、一瞬戸惑わす為に使ったの!……池本が前に出て来る事を想定しているから面食らう。ボクシングの練習、特に下半身のトレーニングはファイターでもボクサーでも変わらない。だから池本レベルなら付け焼き刃でもそれなりには出来る。想定外の行動に必要以上に警戒した結果、過大評価を付けてるだけだ!……よく思い返してみろ、池本が前に出て行く時のダッシュ力とほんの少しだけ見せたフットワークを…………全然スピードが違うだろう!今は万能型のボクサーが多いが、池本は生粋のファイターだ!そのくらい分かっとけ!池本の後輩で、このジムの門下生だろ!」

「「「すいません……」」」

「2人目の時、池本さんが先回りしたじゃないですか?どうして出来るんですか?」

「もしかしてお前等……今日のスパーリングが分かっていないのか?」

「はい……」

「出来れば……」

「残り全部……」

「はぁ……お前等、教えてやるからしっかり覚えておけよ!」

「「「はい!」」」

「池本の行動には意味がある。1人目の時、左ジャブを当てた時、相手の頭が跳ね上がった。瞬間に潜ったのは、目線が上にある為に潜る事で死角に入り込む。見えない所からのパンチが1番効く。だから池本は死角に入り込んだ……あいつ言ってなかったか?チャンスは死に物狂いでものにするって?……だからコンビネーションを叩き込んだ。丁寧にボディを打って意識を下に集中させ、左フックでダメージと外のパンチを意識させ、下から本命の右を打ち込む。理想だな!……2人目は距離を取り、池本を近付けさせたくなかった。しかし池本と戦った連中は、大概同じ作戦を取る。池本は慣れている事と追い方を知っている。多分、どう追い詰めたいか理解している。だからやられたくない事、その時の行動がある程度予測出来る。池本にコーナーに追い詰められた時は気を付けろよ!左フックを引っ掛けて体を入れ替える事は難しいぞ、アウトボクサーのセオリーかもしれないが、あいつは狙い打つ!チャンスの時こそ誰より冷静、そして確実に仕留める……恐ろしいハンターだ……3人目は分かったな!」

「「「はい!」」」

「最後、日本チャンプだが、右アッパーは分かっていたんだろうな……あの自信満々の顔付きから何かあると分かっていた。お誂え向きに潜り込みやすい左ジャブが来たんだ、確信しただろう。しかし、その作戦は無謀だった……あの池本を懐に入れるんだぞ、首がなくなっても、あいつはその場所から動かず反撃をする様な男だぞ!……余りにも無謀だろう?右アッパーをかわす際、一層捻った左ボディを貰う事になり、結果、振り払おうとした左フックに合わせられてダウン寸前になる。今回はこんなとこだ。それくらい分かるようにしないと、3馬鹿トリオに本当になるぞ!」

「「「すいません……」」」

3人は池本の駆け引きとその思いに改めて尊敬と存在の大きさを思い知り、そんな池本を理解するトレーナーの存在がどんなに池本に大切かを思い知る。

そして、改めて自分達が掲げた目標の大きさを思い知るが、弱音は吐かない事を誓う。池本の言葉、

[一度出した言葉は飲み込めねぇぞ!]

この一言が3人を突き動かす。

なかなかに池本までの距離は遠い!

改めて目標の高さを感じた3人!

しかし、出した言葉は飲み込めない!

3人にはぐっと堪えて、頑張って貰いましょう!

強くなって欲しい!

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはりそこが池本さんの美味さですね! まだまだ池本さんには追いつけないですが、頑張ってほしいです! そして、池本さんはまだまだ上に行きますね!
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