渡邊さんの歓迎会……
渡辺さんの歓迎会・・・
何やらやばそうな雰囲気・・・
どんな時でも優しい池本・・・
さてさて、どうなりますか・・・
居酒屋に着いた池本、時間は8時15分、そっと入っていく。
「いらっしゃいませ!」
声を掛けられる。
「遅ーい、池本―!」
声のする方を見ると渡辺さんが顔を赤くして叫んでいる。隣には困った顔の店長とこちらに手を合わせて謝る仕草の奥さん、
「ピッチが速いなと思ってたんだけど、早くも酔っ払い……」
店長は苦笑いで言う。
「遅いよ池本、早くこっち来て座れ!」
「大分出来上がってますね……どうしたんですか?」
「サワーを頼んだんだけど飲み口が良かったらしく、すでに4杯目……よく聞いたら飲んだ事ないらしい……」
「マジですか?」
「池本―、何で店長とばっかり話してるんだー!やっぱり男が好きなのかー?」
「うわ、最悪……これは酷いですね……」
池本は言った。
「確かに酷いけど、池本君の男が好きはどういう事?」
店長の奥さんが言う。
「勝手に渡辺さんが言っているだけですよ!」
「今度は人妻に手を出しているのか池本ー!」
「はいはい、隣に行きますよ……はぁ……」
(手に負えなさそう……)
池本は渡辺さんの隣に座った。
いつもとは違い、かなり笑っている。サワーをぐびぐび飲みながら池本をバンバン叩いていた。池本はウーロン茶を少しずつ飲んでいた。
「飲め飲め池本―!」
終始笑って池本を叩く渡辺さん、池本は悪い気はしなかったが、叩かれた所は結構痛い。飲んでは叩き、叩いては飲む、渡辺さんは叩く事も飲む事もペースが上がっている。
「少し飲むペースを落としなよ……」
「文句があるのか池本ー!」
「……文句はないけどさ……」
「だったらいいじゃないか!気分を害さすな!」
「……すいません……何で怒られてんだ?」
(あー、やっぱり手に負えない……)
「わかればよろしい!許してやる!」
「ありがとうございます……」
(なんで上から目線?)
渡辺さんは上機嫌で飲んでいる。
あっという間に10時になっていた。
「池本君、悪いけど送っていってあげて!」
「この酔っ払いをですか?」
「一人で返すわけにはいかないでしょ、若い娘さんを……」
「そうだ送っていけ池本ー!」
「…………分かりましたよ送っていきますよ!……送っていくけど、何処に住んでんですか?」
「……何処だったかな?」
「…………店長?」
「大丈夫ですよー、自分の住んでる所くらい説明できますよー……行くぞ池本!」
「わっ、引っ張るなよ。おい、おいって……」
渡辺さんに引っ張られて2人で出ていった。
「大丈夫かよ、ふらふらだよ……」
「大丈夫ですよ!まだまだ飲めますよ!」
かなり足元が怪しい。少し歩いていると
「うっ、気持ち悪い…………」
と言って立ち止まる渡辺さん。池本はお姫様抱っこをし、近くの公園までダッシュをしトイレへ直行、背中をさすった。
「ゔェェェェェ!」
(大分豪快だな……)
少しの間吐いていたが、落ち着いたようだったので声を掛けベンチに誘導した。近くの自動販売機にて水を買い渡した。
「ありがとうございます…………」
小さな声だった。
「飲みすぎ、少し休んだら行こうか?」
「はい……」
渡辺さんは水を飲んだ。
「質問してもいいですか?」
「何?」
「強いて言えば何ですか?」
「ん?ああ、あの時の事か……」
「強いて言えば何ですか?」
「強いて言えば…………」
池本は少し考えた。
「強いて言えば、時間を取り戻す為かな?」
…………返事がない。見ると渡辺さんは寝ていた。
(マジかよ、聞いておいて寝るなよな……)
「はら、起きなよ、帰るよ!」
「飲めません、もう無理ー!」
「うわー、完璧に寝てるよ……とりあえず置いておくわけにはいかないし……しょうがないか……」
池本は渡辺さんに声を掛け、とりあえずおんぶをする事にした。そうして公園から出た。少し歩いた時、
(この娘の住所何処?)
「ちょっと、家何処?」
聞いたが返事はない。
「ねえ、ねえってば……」
少し揺すった。
「おぇーっ!」
「うわー、首筋に暖かい物が……最悪だ…………」
池本はそのまま自分のアパートに戻った。戻った後で渡辺さんの口の周りをタオルで綺麗にし、自分はシャワーを浴びた。12時を回っていた。
「明日も早いんだよなー……」
池本は渡辺さんを布団に寝かせた為、自分はダイニングで毛布を被って寝た。彼のアパートは1Kである。
「風邪引かないよな……」
池本は呟いた。
池本は真面目ですね。
本当に真面目です。
物語はまだまだ序盤です。
どんな風に進んで行くのか・・・
是非是非、池本と仲間が巻き起こしていくこの世界を覗いて下さい。