喜多の過去、そしてプロへ!
喜多の話です。
喜多は少し変わってますが、池本を尊敬する気持ちは、みんなと一緒です。
喜多も仲間なんですね。
「池本!明日付き合えるか?」
「大丈夫ですよ、明日バイト休み貰ってるんで!」
「なら付き合え!喜多のプロテストだ!」
「わかりました。後楽園ホールで大丈夫ですか?」
「この前と同じだな!」
「では、明日行きますね!」
「よろしくな!」
トレーナーから話があった。喜多のプロテストが明日に迫っていた。
「おい喜多、調子はどうだ?」
「大丈夫ですよ!」
「緊張ないみたいだな」
「まあ、緊張してもやる事は変わらないし……」
「そうだな……誰かみたいに青い顔されてもな!」
「何ですか、池本さん……俺の事ですか?」
「お、自覚あるんだね!…結構結構!」
「ちゃんと受かったでしょ!」
「番号ねぇって言ったら焦ってたくせに!」
「ちょっ……それ言っちゃダメなやつですよ~!」
喜多のプロテストなのに徳井をからかう池本であったが、喜多については心配をしていなかった。
……喜多の歴史……
喜多と池本との出会いは変わっていた……
ダメージ休暇中の池本とバイトが休みの為に練習を早くに行った藤沢が2人で歩いていた。ご飯でもどうかと藤沢から連絡を貰い、2人で定食屋に行く途中であった。
公園の前を通ると人影が見えた。グローブを着けた2人がスパーリングの様な事をしている。しかし、よく見ると片方だけが一方的に殴っている。
藤沢が止めようと動くが、池本が止める。
「池本さん、いいんですか?」
「もう少し見てよう……」
不思議な光景が映し出される。殴っている方が息を切らし、近くの仲間らしき男と代わる。変わった男も同じように殴るが、同じ様に息を切らす。
3人目が終わった所で声を掛ける。
「何やってんだ?」
藤沢は不機嫌に言う。
「はぁ?お前、何だよ?」
殴っていた男達の1人が答えるが、池本が割って入る。
「お前達は別にいいや…………おいお前、なかなか面白いな!」
殴られていた男に声を掛ける。
「何だよテメェ等、無視かよ!」
殴っていた男の1人が池本に襲い掛かろうとした時、池本は男の目の前を通過する様に、右ストレートを放つ。その迫力に動けない男達。
「これくらい打てたら相手してやるよ……」
男達は逃げる様に去って行った。
「お前面白いな、ちょっと一緒に来ないか?」
「いや、別に……」
「やる事ねぇんだろ!…あんな奴等と居るより、絶対面白いから!」
半ば強引に池本はその男を引っ張って行った。それが喜多である。
池本は自分のジムに喜多を連れて行った。時間は18時くらいである。
「お疲れ様です、トレーナー!」
「なんだ池本、休みだろ?」
「そうですけど、面白い奴連れて来たんですよ!」
「うん?…………成る程な!」
「どうですか?」
「少しやるか?」
「はい、お願いします!」
池本とトレーナーで勝手に話を進める。
トレーナーは喜多に向かって、
「お前、こっち来い!用意してやる!」
「トレーナー、誰にしますか?」
「そうだなぁ……おいお前、用意しろ!池本、準備させろ!」
「はい、分かりました!」
何故か喜多とジムの駆け出しのプロをスパーリングの準備をさせ、リングに上がらせる。
「やるぞ!」
トレーナーの声と共にゴングが鳴る。
プロから仕掛ける。前に出てガンガン攻める。側から見るとすぐにKOされてしまいそうであるが、またもや不思議な光景が映し出される。攻めていた方がグロッキー気味である。ゴングが鳴り、1ラウンドが終了する。
「相手はプロだ…手、出していいぞ!」
池本は声を掛ける。
ゴングが鳴り、2ラウンドが始まる。
プロから攻める。1ラウンドと同じ様に手を出してくる。不意に喜多は回り込んだと思うと、相手の右フックに合わせて右アッパーを打つ。見事にカウンターで決まり、ダウンを奪う。そこでトレーナーに止められ、スパーリング終了となる。
喜多がシャワーから出てきた後、池本と喜多、藤沢そしてトレーナーで話をする。
「お前、強いな!」
「いや、そんな事……」
「何だ藤沢、分からなかったのか?」
「え?池本さん分かってたんですか?」
「おう!だからトレーナーもスパーさせたんだよ!」
「え?トレーナーも?」
トレーナーは黙って頷く。
「公園で見た時、相手がへばってただろ?…でも、こいつは平気だった。パンチが見えてたから、まともに貰ってなかったんだよ!」
「そうなの?だったら何で好き放題やられてたの?」
「いや…………別に……大して効いてないし、気分がいいのを害しちゃ悪いし……」
「優しいな!でもさ……あいつ等調子に乗って、悪い事するぞ!お前の気持ちなんて考えてねぇぞ!」
「でも……怪我させたくないし……」
「お前さ、本当の意味での優しさが足りないよ!奴等に自分の弱さを教えないと、怪我じゃ済まなくなるぞ!…強い者は、相手に弱さを教える義務がある。それで辞める奴はそれまでさ!……そこから這い上がる奴が本物のボクサーになるんだ!今のあいつ等は、いつか間違った方にボクシングを使うぞ!……それはお前の責任だ!強い者の責任なんだよ!分かるか?」
「でも…………友達あんまりいないから……」
「馬鹿だな!そんな事でいなくなる奴は、元々友達なんかじゃないさ!…大丈夫、俺達が居るだろ!俺達は仲間だ!」
翌日、喜多は高校のボクシング部で自分からスパーリングを申し出て、いつも馬鹿にしていた4人をKOしてしまう。そして退部届けを出し、池本の所属するジムの門を叩く。
「来たな!池本、用意しろ!」
トレーナーの一声にて喜多と池本のスパーリングの準備がされる。
「始めるぞ!」
ゴングが鳴り、開始される。
喜多は自分から攻めるが池本には当たらない。ガードをされ、的確に左を打ち込まれる。引けば間合いを詰められボディに左を打ち込まれ、前に出れば左フックを叩き付けられる。迷えば左アッパーを打たれる。
左に集中し、左ジャブに合わせようと待ち構えた瞬間、黒い塊が視界に入ったと思った時には、喜多の意識は遠くに行っていた。
池本の右ストレートが喜多の顎を直撃していた。
喜多は気付くとリング脇に横になっていた。
「すまん……やり過ぎた……」
「池本さん、俺の時もですよ!」
「いや~、悪い悪い……大丈夫か?」
池本と藤沢の姿が目に映った。喜多はゆっくり上体を起こした。
「無理するなよ!」
トレーナーから言われた。
「ははははは!池本さん、強いですね!」
「池本さん、やばいんじゃないですか?やられて笑ってますよ!」
「いや、マゾかも知れないぞ!」
「そんなんじゃないですよ!笑うしかないくらい、本当に惨敗です!」
「池本は、まだまだ本気じゃないぞ!勘違いしてる暇、ないだろう?」
「はい、トレーナー!でも、池本さんの言ってた通りですね!こんなにやられたのに、池本さんから離れる気にはなれません!」
「いや……俺は……男からの愛は遠慮する……」
「俺はホモじゃないですよ!いい話が台無しですよ!」
「池本は照れてるんだよ!」
「いやトレーナー、側から見てると怪しいですよ…………俺に振られたら、次はトレーナーに……」
「馬鹿!俺も無理だ!藤沢、任せた!」
「俺も嫌だよ~!2人共酷いですよ~!」
「だから、俺は女好きですって!」
周りの女性会員達から冷たい目線が届く。
「ここのジムでの出会いは無いな!」
「池本がふざけるからだぞ!」
「2人が悪いんですよ!」
「全員悪いんですよ!」
「「「「あっはっはっはー!」」」」
4人で大声で笑った。
……現在……
(あの喜多も、遂にプロになるのか……)
池本は思った。
リングから降りて来た喜多を見て、池本は懐かしい昔を思い出していた。
それぞれが新しい一歩を踏み出しています。
池本も頑張らないと!
まだまだこれから!
池本の所属するジムは、活気がありますね!




