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君の為に、俺の為に・・・  作者: 澤田慶次
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本業はボクサー……強く、ただ強く……

池本の練習風景です。

実はとっても真面目なんですよ。

彼は人生を誰よりも真面目に楽しく生きているんでしょね・・・・

そして、だれよりも責任感が強く・・・・

15時になり、池本は退勤する。渡辺さんは17時までだそうだ。

池本はボクシングジムに向かう。池本の本業である。

「お願いします」

挨拶と共に中に入る。

「おう、よろしく」

トレーナーに言われる。

「池、体調どうだ」

会長より声を掛けられる。

「いつも通りです」

池本は答えロッカー室に入る。着替えが終りフロアに出る。

「ロード行ってきます」

池本は言うとジムを出ていった。30分後、池本は帰ってきてジムワークへと続く。

ロープスキッピングを行いシャドーボクシングへと移る。シャドーを5ラウンド行った所でトレーナーに用意しろと言われグローブを着ける。トレーナーはミットを着けミット打ちが始まる。3ラウンド、4ラウンド、5ラウンドと進んでいく。6ラウンドが終った所で終了し、サンドバッグへと移行する。サンドバッグを何ラウンドも打ち続ける。汗も噴出している。10ラウンド打ち続ける。

池本は心掛けている。ジムで誰よりも精力的に動くことを、そうする事が強くなる一番の近道である事を分かっている。

サンドバッグの後は筋力トレーニングを行い、その後はもう一度シャドーボクシングを行う。それはへとへとになった時でも動ける練習と鍛えた筋肉に柔軟性を持たせる為である。全ての練習が終わりシャワーを浴び、着替えをするとすでに時間は7時を回っていた。

「ありがとうございました」

挨拶をしジムを出ていく池本、

「池本!」

トレーナーに呼び止められる。

「はい、なんですか?」

「ちょっと来い」

呼ばれて会長室に行った。

「試合が決まった……」

会長より言われる。

「これに勝てば次は日本タイトルだ、しっかりいい形で勝って次に繋げよう!」

トレーナーは言う。

「分かりました、必ず勝って日本タイトルも取ります!」

池本は答えた。池本はもう一度挨拶をしジムを後にする。

「日本タイトルか……」

ジムからの帰り池本は空を見上げつぶやく。

「少しづつ夢が目標に変わって来たな」

池本は自分のアパートに帰る。


帰ってからまた着替える。着替えて走りに行く。ロードワークである。朝・夕のロードワークは日課である。

多分、日本タイトルの話が出たので興奮しているのであろう、ペースがいつもより早くそんなに走っていない感覚なのにいつもの折り返し地点にいた。

(もう少し走るかな、何となく調子がいいみたいだ)

3・4㎞先まで走る事にした。折り返して走っていると4・5人の女性が前を歩いていた。何も気に止めず横を通りぬける。

「池本さん!」

声を掛けられて振り向く。渡辺さんがいた。

「大学の友達です!」

「ああ、そうなんだ。今日はお疲れ様!」

池本は答え右手を上げて走り去っていった。


池本のアルバイトは月~金が花屋、土曜はコンビニである。

アルバイトとジムワークで忙しい毎日を送っていた。試合が決まりジムワークにも気合が入っていた。その為、かなりハードワークになっていたが池本は泣き言は言わず続けた。

渡辺さんは週2回、月・金のアルバイトである。2人が会ったのは次の渡辺さんのアルバイトの時であった。

「池本さん、友達が池本さんの事格好いいって言ってましたよ。彼女いるのかなって。池本さんどうなんですか?」

「彼女ね、いないけど………分からない事にしておいて!」

「何でですか?友達、可愛いですよ!」

「今はいいや……ただ嘘もつきたくないしね。分からない事にしておいてよ!」

「池本さん、女の人に興味がないとか?……」

「アホか!それはないわ!今はって言ってるでしょ?」

アルバイトは楽しくなってきていた。誰かと話しながら業務をする事が楽しいと感じたのは初めてかもしれない。

「今日は渡辺さんの歓迎会をささやかながらやりたいんだけど、池本君来られないかな?8時にいつもの飲み屋なんだけど……」

「え、やってくれるんですか?嬉しいです!」

「本人が知らないってまずいでしょ?……大丈夫ですか店長?」

「いや、奥が言ってくれてるんじゃ……」

「あなたが言うって言ったんでしょ!」

「あれ?そうだっけ。渡辺さんどう?」

「私は大丈夫です!」

「という事らしいけど池本君は?」

「絶対来ますよね?……」

渡辺さんに睨まれている。

「ああ、行きますよ……いつもの所ですね、分かりました……」

池本はバイトを上がってジムへと向かう。


「お願いします」

池本はジムに入る。

「おう、着替えてアップしろ!」

トレーナーから言われ、池本は着替える。今日よりスパーリングが開始される。池本は着替えを済ませ、準備運動をしてからすぐにシャドーボクシングを始める。リングの上でシャドーをする池本は華麗というより力強いといった形容詞の方が合っている。

池本が4ラウンド、シャドーをした所で、

「用意しろ!」

トレーナーより指示が出る。池本はマウスピースを付け、ヘッドギアを装着し、グローブを他のジム生に着けてもらう。用意が出来、2・3度パンチの確認をする。

「用意はいいか?」

トレーナーの言葉に池本は右手を軽く上げる。対角線上にスパーリングパートナーがいる。池本は身長183cmのミドル級の為、自分のジムになかなかパートナーがいない。他のジムからパートナーを借りる事が多い。今回のパートナーは2人、両方とも180cmを超えている。かなり大きい選手である。

「カーン」

ゴングが鳴る。

池本が左ジャブを出し、頭を振りながら間合いを詰める。

相手もジャブを出し、こちらは池本と距離を置く。

2度3度と池本が左ジャブを出し、相手がジャブを帰した時、池本はそのジャブを叩き落とし、一気に懐まで飛び込む。飛び込むと同時にボディに左右の連打を浴びせる。

たまらず相手は後退するが、池本は前に出て追撃をする。相手がクリンチをしようとした瞬間、池本は左フックを当て、距離を取る。

そして再び頭を振り、自分のリズムを作っていく。

相手が足を使って距離を取るが、池本はお構いなしに間合いを詰めていく。しっかりガードをし、左ジャブから入っていく。

相手がコンビネーションから右のストレートを打つが、池本はそれを掻い潜り懐に入る。ボディから左アッパーへと繋げ、右フックを打つが右フックは空振りに終わる。相手がダウンをしていた。

一度ニュートラルコーナーへと戻る。トレーナーが相手を確認し、スパーリング再開した所でゴングが鳴る。1分間のインターバルである。


「カーン」

2ラウンドのゴングが鳴る。池本は初めから前に出て行く。頭を振って左ジャブを2・3度打ち、間合いを詰めていく。

相手も反撃をするが池本には当たらない。池本は相手の左フックに前に出ながら頭を下げ、自分の左フットを合わせる。カウンターのタイミングで顔面を捕らえる。相手はダウンをする。トレーナーが止め、2人目と交換になる。


2人目のスパーリングも池本は最初から前に出た。頭を振り、左ジャブを丁寧に出し、相手のパンチを丁寧にブロックし、間合いを詰めていく。

ある程度間合いが詰まると、多少強引でも一気に間合いを詰めてパンチをまとめていく。池本は器用なボクサーではない。その為、誰が相手であろうとこの戦い方しかできない。池本もその事は分かっている。

だからこそ、どんな相手でも愚直に前に出て行き、自分の距離に多少強引でもしていく必要がある。

池本は勇気と言う名の武器を持って、どんな相手にも向かって行くのだ。もっとも、自身は自分の事を勇気が有る者とは思っていない。

2人目のパートナーも捉えられ、ボディからの返しのコンビネーションで敢え無くダウンをしてしまう。2人共に途中で終了となった。

池本はスパーリングが終るとロードワークに出て行ってしまった。

ロードから帰ってくると、ロープスキッピングを行い、改めてシャドーを行い、ミット打ち、サンドバッグ打ちといつも通りのメニューをこなしていく。

いつもの池本のウェートは80㎏周辺である。リミットは72.5㎏なので7㎏以上の減量を行う。試合は3ヵ月後の7月21日、今はウェートより練習をし徹底的に鍛える時、池本もそれは承知している為、徹底的に練習に集中している。

練習終了後会長より、

「6月に入ったら合宿するぞ、4・5日山に行く。いつものペンションな!」

会長の知り合いのペンションである。徹底的に走り、下半身から鍛える合宿である。

「分かりました、お願いします。お疲れ様でした!」

挨拶をして帰路につく。

(合宿か、色々と現実味を帯びてきたな……)

そう思ってアパートに帰る途中、

「……やっべ、忘れてた!」

そう叫んで池本は走り出した。

池本も忘れる事はあるんです。

彼も人間ですからね・・・・

歓迎会、何かあるかもしれませんね・・・

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