それぞれのステップ!
短い話になっています。
その分、後書きが長いです。
後書き、是非確認して下さい。
いつも通りの毎日が過ぎて行く。バイトとジムワーク、時々悪友達との交流があり、月日は進んでいた。
あの合コンから仲良くなった10人は、相変わらず仲が良かったが少し変化もあった。
徳井は現在3戦3勝、豊本さんとの付き合いも順調である。2戦目こそ判定勝ちであるが、3戦目はKO勝利し、新人王トーナメントに参加予定である。
それに触発されたのが喜多である。
喜多もプロを目指す事になり絶賛練習中、工藤さんとの交際はプロテストに受かってからとの事らしい。
池本・徳井からかいのネタにされそうである。
金田さんは藤沢と手塚と両手に華らしい。
池本についてもしっかりとKOで防衛を重ね、防衛数を「3」としていた。池本も23歳になっていた。
池本がジムに来た。
挨拶しジムに入るとすぐ、会長に呼ばれる。東洋太平洋のタイトルマッチの話である。12月14日との事だったが池本は快諾した。今日は9月14日、試合までちょうど3ヵ月である。また、この試合に勝てば世界ランキングに入る。
夢にまで見た世界チャンピオンが現実味を帯びてきた。
(世界…………遂に言葉になって近付いて来た……)
池本の表情が引き締まる。
その日から池本は、より一層練習漬けになる。
寝ている時以外はボクシングしか考えていない様だった。普段ならしないミスもする。届け先に荷物を届け、お金を貰い忘れる。仕入れで違う店の物を持って来てしまう等、普段では考えられないミスをしていた。その都度、店長がフォローしていた。
「しょうがない、誰でもあるよ」
店長はいつも優しくカバーをしてくれた。
勿論、渡辺さん·伊藤さん·豊本さんもフォローをしてくれており池本は助かっていた。
「本当にごめんね、失敗ばかりで……本当にありがとうね……」
と池本は謝っていたが、渡辺さん·伊藤さんは池本の失敗も新鮮で、その失敗すら好ましく思った。
ジムワークは厳しさを増していく。走り込みが増え、スパーリングも始まり、練習にも熱を帯びていく。10月上旬に合宿を行い、まさにボクシング一色になって来た。
ボクシングがあまりわからない方もいるかと思い、少し説明します。
赤コーナーと青コーナー、実はチャンピオンは赤コーナーと決まってます。基本、ランキングが上の方、4回戦・6回戦なら主催者側が立つコーナーです。
4回戦→4ラウンド
6回戦→6ラウンド
8回戦→8ラウンド
日本タイトルは10回戦、東洋太平洋・世界は12回戦になります。
日本ランキングに入っていないと日本タイトルに挑戦出来ず、世界戦は、世界ランキング15位以内でないと挑戦出来ません。以前は10位以内でした。
日本で認められている世界チャンピオンは、WBA・WBC・WBO・IBFの4団体、以前はWBA・WBCしか認められていませんでした。
KO→10カウント以内に立ってファイティングポーズを取れない時→正式名称 ノックアウト
TKO→レフェリーが無理と判断し、試合を止めた時→正式名称 テクニカルノックアウト
さらには、基本、後楽園ホール等だと試合前にプロテストがあるので、午前中に試合はしません。
大きな会場でも、借りている契約等があり、夕方くらいからの試合になります。
世界チャンピオンベルトは、実は奪取した時は、団体から新しい物を送られてきます。現在の物は前チャンピオンの元に行き、1週間くらいで新しいベルトがジムに届きます。
質問等あれは、聞いて下さい。一応、元プロですのでね。