後輩のプロテスト!
いつもの生活に戻りました。
池本は変わりませんが、
周りが少しずつ変わって・・・
動きがありそうです。
翌日、神戸を後にし戻って来た。
新幹線もみんな同じであり、ちょっとした旅行みたいな感じである。
色々な話をした際、来る途中の新幹線で隣に座っていたカップルの話になった。幸せそうな2人の話はみんなを少しだけ幸せにした。
翌日より、池本はバイト再開である。
店長に勝利を報告して、バイトに入る。いつも通りの生活が始まる。
池本は5日間の休暇を取ってジムワークに戻る。これもいつも通りである。
ジムワークを再開した頃、伊藤さん·豊本さんの歓迎会が開催された。池本も練習後に参加する事になった。なかなか楽しく、歓迎会は進んで行った。歓迎会も終わり、池本が3人を送る事になった。
「私おんぶ~!」
伊藤さんが言う。
「あ、私も!」
渡辺さんも言う。最近2人は遠慮がない。
「私が居なくなってからやって!」
豊本さんは言った。
どうやら豊本さんは、徳井と付き合い出したらしい。最近、徳井の練習の熱の入れようの原因はこれかと池本は思った。どうやらプロになって、納得が出来るまで頑張るらしい。
理由はどうあれ、徳井はボクシングを徹底的にやる覚悟の様だ。
(頑張れ徳井!)
池本は思った。
送るのは難しい。豊本さんを送った後、どちらを先に送るかで揉めた。結果、伊藤さんを先に送るがおんぶである。伊藤さんの後は渡辺さんをおんぶして送るらしい。それ程重くはないが、それでも負荷は掛かる。ある意味、トレーニングである。
2人を送った後、池本はアパートに帰った。
ジムワークは相変わらずであった。
ロードワークの後にジムワークを行うが、かなり厳しいメニューとなっている。休暇明けという事もあり、池本もへばっている。
しかし、池本は何も言わず黙々とメニューをこなしている。池本のその姿が他のジムメートを無言で引っ張っていた。
「池本、明後日付き合え!」
トレーナーより話がある。徳井のプロテストの様だ。
池本は快諾した。徳井の練習を見ていれば大丈夫だと思うが、せっかくなので同行する事にした。
当日、店長に事情を説明し午前中でバイトは上がった。
トレーナーと待ち合わせをして会場に行く。場所は後楽園ホールである。試合が始まる前の会場で、プロテストは行われる。先に筆記テストがあり、後半がスパーリングである。スパーリングに間に合う様にトレーナーと会場に入った。
会場に入ると、リングの上で何人もシャドーボクシングをしている。その中には徳井の姿もある。
ある程度時間が経ち、それぞれが準備に入る。徳井は5番目である。
徳井は通路でアップの続きをしている。
1組目、2組目が終わる。徳井も準備する。
「き、緊張してきたっす……」
「なるようにしかならねぇんだから落ち着け!」
池本が言う。
「いや、真面目にやばいっす……」
「は~、情けねぇなぁ……しっかりしろよ……お前、情けねぇ姿見せたら帰って俺とスパーな!俺とトレーナーが納得するまで!」
「それいいな!よし、それやろう!」
トレーナーも言う。
「うわ、逆にプレッシャーですよ……」
「出番だ、行って来い!」
「痛ッ!」
バシッと池本は背中に一発、平手打ちを入れた。
徳井のスパーリングは大丈夫だった。
最初から自分のペースで進め、まさに基本通りというべき物だった。左ジャブから距離を取り、左に回りながら試合をコントロールしていく。相手のパンチを冷静に捌き、カウンターも入れダウンも取った。
余程の間違いがない限り合格てあろうとトレーナーと話していたが、徳井の不安な姿を見て、面白いからもう少し不安がらせておこうとトレーナーと話していた。
結果は翌日に張り出される。
翌日の昼、徳井は池本と結果を見に行った。徳井がテストの後、池本のバイトしているお店に行き、店長に池本を貸して欲しいと交渉に行った為に池本は2日連続で午前中勤務になってしまった。
「お前、これで落ちてたら練習量倍な!」
池本は言ったが、受かっている確信があった。
徳井はそんな池本の言葉も耳に入らず、少し青い顔をしていた。電車に揺られて後楽園ホールに向かうが、その道中、徳井は終始無言であった。
後楽園ホール着くと、すでに結果が貼ってあった。
近付き番号を確認する様に促すが、徳井は目を瞑っている。なかなか目を開けない。何かをぶつぶつ言っていた。
「大変だ徳井……番号ねぇぞ!」
と言うと徳井はすぐに目を開け確認、自分の番号がある事を確かめた。
「池本さん、あるじゃないですか!」
「俺、お前の番号知らねぇよ……」
「うへぇ……」
ジムに帰り、池本はジムワークを行う。徳井も一緒にジムワークを行う。会長・トレーナーから、
「おめでとう!」
と言われ、
「ありがとうございます。これからも頑張ります!」
と徳井が答えた。徳井は笑顔である。
ここから、徳井のプロボクサーとしての生活が始まる。色々厳しい事は待っているが、今は合格した事を素直に祝いたい。
プロテスト合格おめでとう!
ちょっとテストの事を知って貰おうと思って描きました。
実際の方達もここから始まるわけです。
プロテスト、意外に面白いですよ!