日本タイトルマッチ!!
ついに試合のゴングが・・・
どうなるのか・・・
10月9日、控え室。
池本は集中していた。試合も進み、池本はアップを始める。セミファイナルが終わり入場になった。
会場に「惑星」が流れる。池本が会長・トレーナーと共に現れた。
池本がリングインするとチャンピオンが入場する。
選手紹介の後、中央に両者が歩み寄り、レフェリーから注意事項を受けて一旦各コーナーに別れた。池本は青コーナーである。
「カーン」
試合開始のゴングが鳴った。
1ラウンド…………
池本はいつもの様に頭を振り、左ジャブを打っていく。
チャンピオンは距離を取りジャブを打っていく。
静かな立ち上がりかと思ったが、池本が突っかける。チャンピオンのジャブを左で叩き落とすと強引に前に出た。
チャンピオンが距離を取ろうとし、左ジャブを何度も繰り出すが構わずに前に出て行く。2・3発ジャブを貰うが前進を止めない。一気に懐に入り連打をする。チャンピオンも飲み込まれない様に手を出す。早々に打ち合いになった。お互いに被弾するが打ち返す。池本が上下に打ち分け、左フックがチャンピオンのテンプルに入り、チャンピオンが後退する。池本が追い追撃の体制に入るとすぐにレフェリーが割って入る。
ゴングが鳴っている。1ラウンド終了である。
2ラウンド…………
池本が頭を振って前に出る。
チャンピオンは左ジャブを出し、距離を取る。
何度か左ジャブを掻い潜り、ボディに左を打ち込む。時に右を交えコンビネーションを見せるが、チャンピオンはバックステップを巧みに使い、縮まった距離を戻したり、時にクリンチでその場を凌ぐ。さすがにチャンピオンである。
池本が詰めた分、チャンピオンが下がる。
お互いの駆け引きの中、時間だけが過ぎて行く。2人共に自分の距離で戦う為にあの手この手を使いながら、試合を進めていく。
お互いの思惑が交錯しながら、ラウンドは終了となった。
3ラウンド…………
池本が前に出る。先程と違い、ジグザグに前に出る。前に出ながら左ジャブを放ち、前に前に出て行く。
チャンピオンは左ジャブを放ち池本との距離を取ろうとするが、池本がジグザグに出て来る為に左ジャブが当たらす、少しずつ下がって行く。下がったチャンピオン、いつの間にかコーナーを背負っていた。
チャンピオンがコーナーを背負うと池本の前進のスピードが一気に加速し、一瞬で懐に入る。
その刹那、チャンピオンの左アッパーが池本を襲うが池本は左ボディを放ち、相打ちになる。
しかし、チャンピオンの大振り気味のアッパーに対し、池本の左ボディはコンパクトであり、アッパーが中途半端に当たったのに対し、左ボディは打ち切っていた。
チャンピオンがコーナーに詰まる。
池本は一歩前に出て頭を振る。チャンピオンが左フックを出すのをかわした時、チャンピオンはかわされた左腕を巧みに使い、体を入れ替える。そして左ジャブを打ち、再び距離を置く。
池本は頭を振り、左ジャブを出しながら追いかけていく。チャンピオンの巧さが目立つラウンドとなった。
池本が追い、チャンピオンが捌く。試合展開は、どちらが自分の距離で戦えるかになってきた。
4ラウンド…………
池本が前に出るが、先程までとは少し違う。チャンピオンの左ジャブに慣れてきたのか、強引さが抜け、華麗に前進をしていく。悉く左ジャブを掻い潜り、返しの右ストレートをさらに掻い潜った。
入った所に合わせたチャンピオンの左アッパーを避けながら、左フックをテンプルに入れる。チャンピオンは後方に弾け飛ぶ。
追う池本、チャンピオンはすぐに態勢を立て直し距離を取ろうとする。
しかし、池本は逃がさない。
懐に入ると、左右のボディから左アッパーを出す。
チャンピオンの顎をかするがチャンピオンはクリンチをし、その場を凌ぐ。チャンピオンも必死である。
レフェリーが割って入りブレイクとなる。
離れるとすぐに、チャンピオンは距離を取り、池本はチャンピオンを追う。2人共に、我慢のボクシングである。
5ラウンド…………
池本がギアを上げる。
開始早々に一気に間合いを詰める。チャンピオンが左ジャブを出すが掻い潜り、懐に入る。
チャンピオンがクリンチをしようとした刹那、左アッパーがチャンピオンにクリーンヒットし、チャンピオンが後退する。
池本は一気に詰める。左右のボディから左アッパー、右フックとチャンピオンをまくし立てる。
チャンピオンも手を出すが飲み込まれていく。
池本の左ボディからの左アッパーが綺麗に入り、遂にチャンピオンからダウンを奪う。
レフェリーのカウントが進む。
カウント8でチャンピオンが立ち上がり、試合が再開される。
池本は間合いを詰め、連打をする。
チャンピオンは防戦一方となり、何発も池本のパンチがチャンピオンに入る。チャンピオンの手が出て来ない。レフェリーが割って入り、試合を止めた。5ラウンド1分14秒、TKOにて池本の勝利である。
池本が応援席にいるみんなに右手を上げた。応援に来ていた9人は大興奮である。
池本の腰にベルトが巻かれる時には、全員リングサイドに来ていた。
インタビュアーがリングに入る。
「おめでとうございます!」
「ありがとうございます!」
「素晴らしい試合でした!」
「ありがとうございます……もう少しパンチを貰わないようにしないととは思いますが、勝てて良かったです!」
「応援してくれた方々に一言!」
「ありがとうございます!応援頂いて、力になりました……後、2人の女性に感謝しています。一歩先に進めた気がします……」
渡辺さんと伊藤さんは目を合わせて照れ笑いをした。
日本タイトル奪取!
なかなか白熱でした!
池本は強いんですよ・・・