第一話:神話と俺と友達と
これは"魔王"と呼ばれる者に統治された世界の話
「はるか昔、5体の神が世界を作り上げた。
陸の神、バドス
海の神、オルケン
空の神、ウィヌス
命の神、リョア
破壊と創造の神、デクラ
デクラが星の形を創り、人間や動植物の原型を創り出した。
バドス、オルケン、ウィヌスが陸、海、空を生み出し、リョアが人間や動植物の原型に命を吹き込んだ。
そしてその星は、イアスと呼ばれた。
その後、神々はイアスの完成とともに自らの記憶を消し、イアスに生きる人間として生まれ変わった。
そして、神々の意志を持つ人間は、災いが近くなると……」
「あーーーーーーっ!!!」
大きな声で少年の話を遮った。
「面白くねぇ!俺は漫画とかの話をしてたんだよ!なんだこれ!!わからん!」
俺の名前はユート。親の仕事の都合でついこの間この地方にやって来たんだ。漫画を読むのが大好きだけど、小説とかは好きじゃない。
「ここからが面白いのだが……。君が『この辺の面白い本を聞かせてくれ!』って言うから話してあげたのだが、気に入らなかったかな?」
こいつの名前はゼン、ここに来て最初にできた友達だ。本を読むのが好きらしい。特に神話が好きとか言ってたな。
ユート「面白くねーよ!逆にこんな話のどこが面白いんだよ…」
ゼン「僕は面白いと思うがね…?例えばどんな理由でイアスを創ったのか、とかを考察するのがとても楽し…」
ゼンの話を大声で遮った。
ユート「あーもうわかった!お前が面白くても俺には面白さわからん!この話はおしまいだ!!」
ゼン「君にもこの神話の面白さをじっくり教えたいところなのだが……」
2人は顔を近づけ火花を散らしている
「あんたたち!そろそろ食べ物取りに行かないと夕食無くなるよ!」
毎日俺の家族がお世話になってる近所のおばちゃんだ。魔王のせいで税金が高いからか、食材とかは自給自足で、毎日狩猟が行われてる。
ユート「あ、おばちゃんか…。ゼン、そろそろ森に行ってシカかイノシシでも狩りに行こうぜ?」
ゼン「あぁ、そうだな。今日は昨日とは逆の西側の森にでも行こう。」
ユート「どっちが多く狩れるか勝負な!それじゃ、お先に失礼!」
凄まじい速度で森の中に走って行った
ゼン「あ、ユート……。全く、困ったものだ……。」
ため息を吐き、ゆっくりとユートを追いかけた
「お前たち、魔物に気をつけてな!あと無駄に動物を狩るんじゃないよ!」
二人とも『はーーい!』
そして俺達は森に入っていった。