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黒騎士は自由に生きてみたい  作者: カルバリン
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第3話 黒騎士は街を目指す


隊長さんが口添えしてくれたからかすんなりと馬車に乗せてもらえたんだけど…暇だよ。


外の景色眺めてるんだけど辺りは山道で岩肌しか見えないからなんの楽しみもないし…


「フィリアさん、退屈ですか?」


ボーッと外を眺めているとこの商隊の人に話しかけられた。

見た感じ20代後半の男でまぁ…なんか頼りない感じの人だな…名前は確か…


「えっと、マルコメさんでしたよね?少しだけ退屈ですね」


「ははは、そうでしょうね。この辺りは岩しかありませんし女性の方には退屈でしょう…後、私の名前はマルコムですよ」


あぁ、そうだった。マルコムさんだった。ぶっちゃけ私からしたら人族の男って皆同じに見えるのよね。皆弱いし。


お世話になったあの部隊の隊長さんはちゃんと分かるんだけど…普通の人族より3倍くらい強い感じだったから。


「所でフィリアさんはノックスの街に着いたら何か予定でもおありですか??」


そういえば今目指してるのはノックスって街だったっけ?…やりたい事はまだ決まってないけど…


「特にはまだ決まってないですね…しいて言えば仕事を探そうかとは思ってますけど」


「仕事…ですか?フィリアさんは今までお仕事は何を?」


「今までは…魔族と戦ってましたね。元々戦闘しか取り柄が無かったんですよね私って」


戦闘なら自信はある!でも…これからは戦闘以外も頑張っていかないと駄目だよねぇ…。


「おや、フィリアさんほど見た目麗しい貴女なら良い仕事がありますよ!よければ私が口添えしますが…いかが…「がははっ!やめとけマルコム」」


マルコムの話を遮る感じで割り込んで来たのはこの商隊の護衛のゴリさんだった。


「おい!ねーちゃん!心の声が漏れてるぞ!誰がゴリさんだ…俺はゴリアテだっつーの!」


がははって豪快に笑ってるけど別に間違ってないじゃないの、ゴリアテで見た目がゴリラみたいだからゴリさんで良いと思う。


「それはどーでも良いですが、やめとけ、とは?彼女なら良い仕事が出来そうですが…」


「…マルコム、お前はわかんねぇだろうがこのねーちゃんは相当だぞ?変に恨みはかうもんじゃねえ」


何の話をしてるんだろうか?別に仕事を紹介してもらって恨むとかは無いんだけど…


「フィリアだっけか?あんたも騙されんなよな、あんたも色街で働きたくはねーだろ?…まぁもし働くなら俺はあんたを贔屓にするがね。あんたみてぇな別嬪さんなら金も惜しくねえってもんよ」


はて?色街?贔屓?なんの事だろう?


「あの、色街ってなんです?」


「「え?」」


すごい驚かれた…まずい、もしかして人族では常識だったんだろうか??


「…あー、その、なんだ…男と女がだな……」


しばらく説明を聞いて分かった。

アレをアレする仕事なんだぁ。成る程。うん、絶対にしないね。


そうやって話してたら以外と楽しかったね、暇だった時間がかなりつぶれたから良かったよ。


それから日が暮れる前に夜営しようって話になり早めに準備して夜営することになった。


焚き火に薪をくべながらふと思い出して亜空間から取り出したのは愛用の大剣だ。


細やかな装飾なんてしてないシンプルな剣だけど特殊な鉱石…魔鉱石を使っているお陰で魔法に対する抵抗が凄く高いし、魔力を流せば硬くなる魔鉱石の特徴もあってかなり頑丈なのよ。なんせ数百年使ってるけど刃こぼれもなかったし。


だけど流石に今回はそうもいかなかったみたいで刀身にひびが入ってるし、血脂がこびりついて大変な惨状だ。


「はぁ…結構気に入ってたんだけどなぁ」


「お、そりゃフィリアの剣か?ちと見せてくれよ」


ゴリさんが隣にドスッと音を立てて座ったので剣を渡す。


「こりゃあ…!……こんなすげえ剣久しぶりに見たぜ。全部魔鉱石で出来てるじゃねぇか!これをフィリアは振れるのか??魔鉱石は魔力伝導率はピカイチだがクソ重い。俺でも身体強化してねぇと振れないぞ?」


え?そんなに?幾らなんでも弱すぎでしょ…人族。

魔鉱石で出来た武器を振れなかったら魔族では確実に半端者扱いされるのに。

私に至っては鎧も全て魔鉱石製なんだけど……。


「えっと、普段ゴリさんが使っている剣見せて?」


ゴリさんが私に渡してきたモノを見て驚いた。


……これってすぐ駄目になるよね?


見ると素材は普通の鉄で標準的なロングソードなんだけど…これは無い。

魔族の子供でもこんな粗末な剣は使わないし……あぁ、だから今まで人族が私に振るってきた剣は粉々になる事が多かったんだなぁ。


「…うーん。これで戦ってて大丈夫?一回斬ったら砕けそう……」


「まぁ、フィリアの剣と比べられたらそうなるだろうなぁ。だがひと振りで砕けるなんてこたぁねえよ」


これは命を落とすパターンだよ。肝心な所で剣が折れてどうしようも無くなるやつだよ、きっと。


「じゃあ、試しに斬ってみてもいい?あの枝とか」


指差したのは目の前にある木の枝だ、細いから斬っても問題は無い筈………普通の剣なら。


「いいけどよ、壊すなよ?」


許可も得た、早速斬ってみよう!


フィリアが剣を無造作に振ると枝がスパンっと斬れた。

だがそれだけじゃなく後ろにあった木もバッサリと斬れてしまった。


「あ、折れちゃいましたね」


手に持った剣は半ばから折れてしまっていた。


「ま、まぁ砕けはしなかったね…あはは」


その後ちゃんと謝ったよ。

壊してしまった剣の代わりに私が昔人族の隊長クラスと戦って奪った剣をあげた。

なんか喜んでたし結果オーライでしょ。


後は何事もなく、明日の昼には街に着くだろうって言ってた。


人族の街かぁ。楽しみだな、一体どんな所だろう?


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