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冒頭
古川遥は
この世界を恨む。
悪魔の子供。
俺は物心付く頃から母と祖母に
そう呼ばれていた。
側から見れば俺は普通の男子中学生だ。
しかし、家族から俺を見る目は違った。
父親は居なくて、母親の家に住んでいた。
立川荘というボロアパートで、
家に居れば母親と祖母に憎まれ口を
叩かれ、学校に行けば虐待による傷跡を
見て気持ち悪がられ、
俺にいる場所なんて無かった。
中学に入る頃に将来はこの街を離れて
静かに暮らそうと考えていたのだ。
誰も俺を知らない土地へと。
そんな夢を見て中学3年になり、
ある日に全てが終わり、始まった。
それは10月17日、冷たい深夜だった。
経験した事のない痛みで目が覚めたのだ。
俺が寝ている上に母親が跨りその手には
包丁が握りしめられ、包丁の刃が見えなく
なるぐらい深く俺の腹に突き刺さっていた。
「その目だぁ!お前なんか!」
そう叫びながら包丁を引き抜き
また更に俺の腹を突き刺した。
抜くたびに血が広がり、意識が遠くなる。
「これでお前の顔を見なくて済むんだ!」
「こ…んな…世界…なん…かクソ…くら…え」
俺は最後の力を振り絞りそう言った。
次回続きます