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中途半端で何が悪いっ!~ネタキャラ死神による魂の協奏曲~  作者: 八坂
第一章 ネタキャラはネタキャラでしかないのか!?
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EP~ネタキャラはネタキャラでしかない~

「ジオがいないって、どういうことですか?」


 目を大きく開いてモリーティアは呟いた。

モリーティアの前には俯いているデモニムスの男、ハルおじさんと、女騎士メッツ。


 竜達を撃退したゴローたち前線の者たちはハルおじさんのコールによりトンネル谷でカンシーンが消えた事を聞いた。


 竜達を撃退して帰ってきた彼らは誇らしげに、意気揚々として帰ってきた。

だが途中で合流したハルおじさん達は深刻な面持ちである。

戦勝雰囲気に水を差すまいと、ハルおじさんはすぐ傍にいるにもかかわらずコールにてカンシーンとの戦いを報告する。


 その報告にゴローは愕然とした。


 カンシーンの圧倒的な力もそうだが、それを目の当たりにし半数の者が"ログアウト"して逃げたこと、そして実質一人でカンシーンを止めた真の功労者たる人物が行方不明であることに。


「おまえらさ、何ていったっけ?」


 ゼルが口を開く。

その言葉にハルおじさんもメッツも答えない。


「確か、ネタクラスは足手まといだとかなんとか。で、そのネタクラスを置いて逃げてきたわけ?」


 いつものおどけた口調だが、そこには静かな怒りが篭っているのを傍にいたミサもテンテンも感じていた。


「違う…彼は…」

「やめろ、メッツ。何を言っても言い訳にしかならん。」


 言いかけたメッツを制するハルおじさん。


「我々が力及ばなかったことは確かなことだ。」

「それは開き直りっつーんだよ。」


 ハルおじさんの言葉にゼルが声を荒げる。


「ゼルくん、やめよ。この人達にかまってるより、ジオを探しに行かなきゃ…」


 俯いたままの二人を尻目に、モリーティアはふらふらと天幕へ入っていく。


「ま、ネタクラス一人いなくなったところで、あんたらにゃ痛くもかゆくもねーだろうからな。」


 ゼルも吐き捨ててモリーティアの後を追う。

テンテンとミサも二人を一瞥して天幕へと入っていった。


「ハルさん…」

「……ゴローと榊に掛け合って捜索隊を出す。私も行く。」


 戦勝に沸く喧騒の中、二人は悲痛の面持ちでそこを後にした。


------------------------


「だめだ、モリモリさんの参加は認められない。」

「なんでよ!」


 捜索のための準備を始めたモリーティアにやめるように言うゼルだったが、モリーティアは聞き入れようとしない。


「冷静になれ、モリモリさん。フレンドリストのジオの表記は?」

「………いる。」


 ゼルに言われるがままフレンドリストを開き、ジオの表記がまだあることを確認したモリーティアは、はっとしてすぐさまジオにコールをかける。


「なんで?コールかからない…なんで!?」


 コールボタンを何度も押すモリーティアだったが、ジオが出ることも無ければ、コール音さえならない。


「俺も試したんだ…何故か掛からないんだ。」


 ゼルも肩を落としている。

その二人を天幕の入り口でテンテンとミサもまた悲痛な面持ちで見守っている。


「けど、フレンドリストにいるってことは、少なくともログアウトしてないし、死んでもない、と思う。俺が探しに行く。モリモリさんは家で待っていて欲しい。」

「どうして?私も探しに…」

「だめだ。モリモリさんに何かあればジオに顔向けできねぇ」

「だ、大丈夫だよ、ほら、この体力増強の指輪と筋力増強の指輪に、スタミナアップのイヤリング、それに…」

「だめだ。」


 モリーティアが自分の装備しているアクセを一つ一つ指差してしきりに大丈夫だというが、ゼルは横に首を振るばかり。


「どうしてだよ…ジオは、素材、帰ってから、素材渡すって…だって、ジオだよ?」


 モリーティアの言葉は支離滅裂だ。

あまりの事に涙さえ出てこないでいる。


「帰ったら、ジオ、渡すって…」

「必ず探してくる。だからジオの帰りを待ってて欲しいんだ。それに行方不明になったのはトンネル谷だって話だろう?地下都市グラダンまで抜けてポーターで帰ってくるかもしれない。行き違いにならないためにもモリモリさんにはマハリジに居て欲しいんだ。」

「で、でも!」

「モリーティア!」


 急に大きな声でフルネームを呼ばれたモリーティアがびくっとなる。


「頼むよ、家に居てくれ。ジオを待っててくれ。」


そういうゼルもまたとても苦しそうな顔をしていたから、モリーティアもうなずくしかなかった。


「ミサちゃん、モリモリさんを頼む。テンテンちゃんは俺と来てくれ。」


 うつむいてしまったモリーティア。

ゼルはミサにモリーティアを任せると、テンテンと共に天幕を出て行った。


「モリモリさん…」


俯いて固まったままのモリーティアにどう声をかけたらいいか、ミサにはわからない。


「ジオ……」


涙さえ零れず、その呟きだけがモリーティアから零れるだけだった――




 戦勝に沸く周りは、ジオのことなど知らず、皆やりきった顔で、談笑していたり、ふざけあったりしている。

その中を神妙な面持ちで歩く二人の人物。


やがて喧騒から離れた二人はトンネル谷を見渡せる場所まで来ていた。


「あいつのことだ、ふざけてるだけだろ…」

「ゼルくん…」


谷底に空いた巨大な穴を二人は見下ろして――


「ジオだから、出来たんだ。」

「…うん」

「ネタクラス?カンシーン一匹に逃げ惑う奴らなんかより、ネタクラスの方がよっぽどつえーじゃねーか。」

「…うん」

「絶対、見つけてやるからな…!」

「いこう、ゼルくん。」


決意を秘めて、二人は走り出した。

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