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プロローグ
小さい頃から、画面の中の物に憧れていた。
目にもとまらぬ速さで動く指、
柔らかくて温かみのある音、
メロディーを奏でるパートの裏で動く旋律の存在感。
それは、見る人を夢中にさせた。
なんて素敵な音楽なのだろう。
見るからに抱えるのも大変そうな大きな楽器。
他と比べて、明らかに人数の少ないそれ。
形も歪で、とても目立ちそうにはない。
一般的に見れば、短所ばかりなのかもしれない。
だからこそ、そんな特徴を持つこれに、興味を持った。
それが、音楽との出会いであり、
のちに、吹奏楽部との出会いであった。