ある日の朝
小さい頃は、お母さんとお父さんといっぱい遊んでいた。
お母さんが作る料理が好きだった。
お父さんと出掛けることが好きだった。
この幸せが続いてほしかった。
でも、こんな幸せは続かない。
なんでも思い通りに続くわけではない、夢を見すぎてはいけない。
嗚呼、人はなんで弱いのだろう。
俺は14歳。中学三年生。
親は俺が小学生の時死んだ。自殺した。でも、俺は気にしない。気にしたくない。思い出したくないんだ。
今は、家政婦さんと二人暮らし。アパートに住んでいる。割りといい方のアパート。平和だ。
朝起きて、ご飯を食べて、学校に行く。いつも通りの朝。
そのいつも通りの朝を迎えるため、リビングに向かう。すると家政婦の氷川瑠璃子さんがいる。26歳。
「杉谷さん、おはよう。今ご飯を持ってくるわね。」
「ありがとうございます。あと前にも言った通り、輝でいいですよ。」
「そう?でもあんまりなれないのよねぇ。こっちの方が言いやすくてさ。あ、ヒカルくんも言いやすいか!」
そう言い少し微笑むと、朝食が出てきた。ベーコンエッグに食パン、フレッシュサラダ、牛乳。なんとも普通な朝食である。まぁ美味しいんだし気にすることない。というか実は結構気に入ってる。
「よっしヒカルくん~?今日は転校生が来るんですってねぇー?男の子?女の子?」
「女子らしいですよー。…というか何で知ってるんすか!?俺言いましたっけ?」
「他のお母様方に聞いたのよ!隣の一花ちゃんのとこ!噂によると、外国人らしいわよ!」
何で俺よりも知っているんだって言うのは置いといて、もうそろそろ準備をしよう。遅刻してしまう。
「ごちそうさま。そろそろ俺行きますね。」
「あ、もう?早いわねぇ…。まあいいわ!いってらっしゃい」
「行ってきます」
そう言って俺は出掛けた。
いつも通り、いつも通りだ。平凡平凡。今日はよく晴れていて、気分がいい。なんかいいな。歌でも歌うか!
「かーえるーのうぅーたぁーがーきぃーこーえーてくぅーるーよーー」
はれた日にかえるのうたを歌うのはきっと俺しかいないだろう。なんてダサい。あーダサい。………なんては思わないでほしい。俺はセンスがないのは認めるが、そこまで言わないでほしい。いや言わないでくれ。
「けろっけろっけろっけろっけろけろけろけろくわっくわーっくわっ………………かーえるーのうぅーたぁーがーきぃーこーえーてくぅーるーよーー」
「かーえーるーのうーたーがーーきーこーえーてーくーるーよーー♪」
「!?」
俺が二回目を歌おうとしたら、何処からか女子の歌声がした。
何処だ?何処だ??
ここの近くは誰も通らないはずなのに……
俺は辺りを見回す。
「…なんだ。気のせいか。驚かせやがって。」
にしても、綺麗な声だったな…
「気のせいじゃない!お前のお目目はフシアナなのか!!」
「うわあっ!!」
そこにいたのは、金髪ストレート、に、透き通るようなエメラルドグリーンの瞳の色白な美しい少女がいた。
「お前、今カエルのうた歌ってたネ!そのうた、お前好きなのか?」
「好きって言われても…、ただ単に思い付いただけだよ………」
「好きじゃないのに歌うのか…変な男だな…」
訳が分からずいきなり話しかけられた事に驚いた俺は混乱する。
「おいお前!!」
「へ?あ、はい!」
「いますぐソノウタ好きになるんだぞ!分かったか!」
「は…はぁ?」
「じゃあな!」
そういうと、美少女は走っていった。
なんだったんだ………
そして俺は学校へとまた歩く。