表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編作品

勘違い女

作者: あさままさA

 ――人間、自分に対して評価を下す時には無意識に甘口の採点を行ってしまうものなのだろうか?


 自室の勉強机にて片肘をついて嘆息する私。そんな光景が何度、この空間で繰り返されただろうと思う。しかし、自分の抱いていたある種の幻想が打ち砕かれた事によって抱える羽目になった鬱屈とした感情に、溜め息の一つや二つ、十や二十は飛び出してしまう。


 どうやら私は――ブス、らしいのだ。


 自分ではとびっきりに可愛いとは思っていないながらも五段階評価なら四、上中下の採点で言えば中の上か、上の下――それくらいの自負があっただけに、好きな人へ告白した結果が惨敗だったというのは心に重くのしかかるものがある。


 今まで友達だった相手に、関係が損なわれる事を承知で告白したのだけれど、


『何で付き合わなきゃいけないの?』

『あり得ない』

『意味が分からない』


 などと、引き攣った表情で語られてしまったのだ。


 私は今にも落涙しそうな壊れかけの心を抱きしめながら、とりあえず友人の前では気丈に振舞い、笑みを浮かべてその場を去った。


 ――もう、友人ですらなくなったかも知れない。


 恋心を露呈させれば、もう友達になんて戻れないというアレだろうか。


 しかし、今までからずっとこうだったのだ。好きな人に告白する度、申し訳なさそうに断られるのではなく明確な嫌悪や、不理解を示される。


 そんな対応を受ける人生で私は段々と確信を深めていったのだ。

 自分の顔面が――造形的に恵まれていないという事に。


 ……そういえば、いつだっただろうか。


 クラスでも一番の男前だなんて騒がれ、皆が羨んでいる子が私に告白してきた事があった。そもそも、付き合えるはずのない男子が私に告白してきた――その事実に、私は馬鹿にされているのだと思った。


 ブスの私に、何らかの罰ゲームとして告白して来い――などという結果がもたらした告白なのだろうと瞬時に分かった。


 顔の造形が恵まれないだけで、こんな仕打ちに合うのかとさえ思った。他人の欠点を嘲笑い、そういった行いで私を蔑んでくる。見蕩れていた、なんて皮肉を込めた告白の台詞を吐いてくる彼に対して、私の憎悪は燃え上がった。


 だから、私は引き攣った表情で彼に言ったやったのだ。


『何で付き合わなきゃいけないの?』

『あり得ない』

『意味が分からない』


 ブスの私から徹底的に否定されて心をへこませたのか彼は、今にも落涙しそうな壊れかけの心を抱きしめながら、とりあえず私の前では気丈に振舞い、笑みを浮かべてその場を去った。


 ――ざまあみろ!


 そう思いつつも、たかが顔面一つでこんな悪戯にさえ合う自分の不幸を恨んだ。

 でも、まぁ……物を買う時にはやっぱりまずは見た目だし、「者」だってそうなのだろうか?


 そう思考すると、また私は嘆息して机の上でうつ伏せとなる。



「あぁ……彼女欲しい」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 最後のどんでん返しが一読しただけでは分からなくて、十分置いて二度三度読み返してようやくオチが分かりました。 自分の読解力のなさを自覚してお恥ずかしい限りです…。 ネタバレになるので書けません…
2015/07/02 01:37 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ