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三十八
(あ、いた!)
クゼは、廃屋から少し離れ、小さく開けた場所にある木の枝の上にいた。寝転がって空を見ている。
「クゼくーん!」
名を呼びそちらに近づいていくと、クゼが気付いてこちらを見た。
「なんだよあんた。あいつらに教えてるんじゃねぇのか?」
「うん。そうなんだけど……ちょっと、クゼくんとお話がしたくてね」
ハクビはクゼが寝そべる木の幹に背中を預け、根元に座る。同じように空を見上げた。
「……もう冬だねぇ」
「……そうだな」
空には、今にも泣き出しそうな重たい雲が掛っていた。この寒さからすると、もう降ってくるのは雪だろうか。厚手の羽織を着てきたが、これでも少し寒かった。
「ねぇ、クゼくん……」
「なんだ?」
ハクビは、クゼがちゃんと言葉を返してくれることに少し笑った。随分と打ち解けてきてくれたものだ。
「キミさ……」
(ちょっと、これから言う事に気後れしないでもないけれど……)
クゼが、黙って次の言葉を待っていてくれているのを感じる。ハクビは軽く息を吸い込み、枝を見上げた。
ハクビには、確かめたいことがあった。
「キミさ……あの、公瀬家の末子だね?」
「っ!」




