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二十二

翌日。

クゼは、子供たちに文字を教えに、いつもの廃屋へとやってきた。


「おーい、今日も書物持ってき――」


「やぁ、クゼくん! 今日も良い天気だねぇ」


「…………は?」


戸が外れかけ冷たい風がそのまま吹き抜ける入口を潜り中へ入って、クゼは目に飛び込んできた光景に顔を盛大に引き攣らせた。自分の目が信じられない。

「なんであんたが、また、ここに!?」


そこには、書物を片手に子供たちに囲まれ、いつもの笑みを顔に湛えたハクビが、居た。その周りにも沢山の書物が散らばっている。


「クゼ兄ぃ! ハクビ兄ぃが本いっぱいくれた!」


トタトタと少年がクゼに駆け寄り、手に持つ書物を掲げる。その表情は満面の笑みだ。


「は、『ハクビ兄ぃ』?」


兄ちゃん呼びなんて、いつの間にそんなに仲が良くなったのか。昨日の子供たちの余所余所しさは何処にも無く、呼び方まで親しげになっていた。


「いきなりこんなに持ってきてしまってごめんよ、クゼくん」


困り顔で、ハクビがクゼに近寄って来る。脇にはどうやって持ってきたのだろうか、大量の書物が積み重なっており、その足元には、余程懐いたのか五つ程の年齢の少女がぴとりとしがみついていた。いつもはクゼに抱き着いてくる子だ。

クゼが唖然とし何も言えないでいると、ハクビが続けて口を開いた。


「私も何か君たちの力になってあげられないかと思ってね!」


その表情は、輝かしい程の満面の笑みであった。


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