表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/62

十三


(なんだよ、それ……)


てっきり()ったことに対して何か咎められると思っていた少年は、目をぱちくりと瞬かせた。


(しかも、金はあげるとか言っているし)


「あ、あのさ……、あんた、オレが掏ったって事わかってる?」


少年は思わず尋ねてしまった。さすがにまずいかと思ったが、もう口に出した後だった。


「うん、わかっているよ? いやぁ、鮮やかな手口だったね。うっかりしていたよ」


あはははと笑う目の前の男。


(なんなんだよ、この男は!)


少年は顔を盛大に引き攣らせた。どうやら、この男は本当にこの印を取り返しさえすれば満足らしい。

少年は呆れ果て、警戒を解いた。


「ほらよ」


少年はハクビに印を投げ渡す。綺麗な放物線を描いて、印はすっぽりとハクビの手に収まった。


「わぁ、随分とあっさり返してくれるんだね。良いのかい?」


ハクビは不思議そうに目を瞬かせる。少年はため息を吐いた。


「返してもらったのに『良いのかい?』ってなんだよ。金は返さねぇぞ」


「そうか。……ありがとう」


ハクビは満面の笑みを浮かべる。


(掏られたのにお礼なんか言ってんじゃねぇよ)


どれだけ能天気なのか、この男は。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ