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十二
「返すって?」
少年は恍けて見せた。
頭は、良くわからないこの男のおかげで混乱の真っただ中だったが、強気な態度をとる。油断してはならない。居場所を見つけてこんなところまで追いかけて来た奴だ、どんな隠し玉があるのか。
(しかも、あの印……。まさか、な)
「ええとね」
ハクビが口を開く。少年はハクビをジッと睨んだ。
「キミが持っている“それ”のことさ」
ハクビはスッと少年の手を指さした。正確には、少年の持っている“印”を。
「お金は全部あげるからさ、その印だけは、返してくれないかな? 多分それ換金できないと思うし」
「…………は?」
少年は思わずポカンと口を開け呆けてしまった。
「……金、くれるの?」
「うん、あげるよ。本当はその印もあげたいところなんだけど、大事になっちゃうと嫌だしね」