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十一


突然背後から聞こえた他者の声。


「へ? うわあっ!?」


少年は思わず立ち上がった。足元で小銭がチャランチャランと跳ねる。

心臓が今にも飛び出るのではないかというくらいの衝撃だった。誰もいないと思っていたのに。


(いったい誰だよ!?)


バッと勢いよく後ろを振り向くと、そこにはニコニコ笑う先程ぶつかった男、ハクビが立っていた。どうやら、気づかぬ間にこの廃屋に入り込んで来たらしい。


少年はハクビと距離を取って立つ。その額からは密かに冷や汗が流れていた。


「あんた、なんでこんなところに?」


少年はニコニコ笑っているハクビを見据える。その眉間には深く皺が寄っていた。

ハクビは、少年が問うと眉を下げ苦笑する。


「いやね……ちょっと、返してもらおうと思って、さ」


「!」


その答えに、少年は小さく身構えた。臨戦態勢に入る。

ハクビが、先程己が()った男だという事は気付いていたし、あちらも承知していることだろう。だからここに来たのだろうし。取り返しに来たのか、掏られたものを。

今まで、追いかけられた事は幾度とあれど、こんな事態は初めてだった。しかも、当人は怒るでもなくただニコニコと穏やかに笑みを湛えている。気味が悪かった。


(つーか、どうやってここにきたんだよ!?)


まさかつけられたのだろうか。“あれ”が?


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