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青い魔神と碧の煌めき  作者: 伊那
第二部 花の王国
21/24

9 魔法の泉③

 水面をよくよく見ると、アシュラフに男の兄弟がいたらこんなだろうかという、アシュラフによく似た顔立ちをしている。アシュラフが自分の手を広げると、ほっそりとした手ではなくやや太く骨ばった手が動いた。

 広い肩や、喉仏、体のあちこちに触れたアシュラフは、本来の自分にはなかったものが存在し、あったものがなくなっていると知り、一気に青ざめた。

「スィ、スィラージュ」

「はわわわわわ……!」

 主の狼狽もすごかったが、スィラージュも言葉がつむげないくらいだった。

「わ、わ、わたしは男になっているのか?」

「な、なってますぅ……! しかも超・美男子」

「わ……訳が分からない……!」

 主観の入ったスィラージュの後半の発言は無視された。

「なんなんだこれは……泉の水を飲んだからか?」

 アシュラフが男の姿になってしまう前にした行為といえば、泉の水を飲んだ事くらいしかない。

 透き通る泉の水を改めて観察しても、アシュラフは不自然なところを見つけられなかった。

 きれいな水の流れを眺めるうちに、アシュラフの心は少し落ち着いてきた。そしてある素晴らしい考えが浮かび上がった。

「待てよ……? 男なら王宮でなめられずに済むか? 筋肉のつき方も違うし、この体鍛えれば剣術の腕ももっと上がる……?」

 自分の二の腕の筋肉に触れるアシュラフは、女の腕より脂肪が少ない事に喜びを感じていた。息を呑んだのはスィラージュだ。

「ちょ、ちょっとシュラ様なに言ってるんですか! そりゃ今のシュラ様はすごくかっこいい美男子ですけどぉ! 男になりきるのはなんか違いますっ!」

 筋肉に感動する主の手を奪うスィラージュは必死だ。

「いやでも男、便利だろ。世の中男が動かしてるんだし。我が国は他に該当者がいない場合のみ女の後継者が許されるがそうでなければ本来男が」

「ですから本気で検討しないでください!」

「むう……」

 声高になったスィラージュがあまりにも深刻そうにするので、アシュラフはつまらなくなる。

「もちろん私はアシュラフ様が女性だから好きになった訳ではないですけど、女性であるからこそのアシュラフ様ですし、魂のあり方には性別もそれなりに関係あると思っていて男性のアシュラフ様と出会っていたらまた違う印象を抱いていたでしょうし」

 何やら持論を滔々と語り出したスィラージュに、アシュラフは白けた表情になる。

「ただの女好きかクソ野郎が」

「わーん美男子がいじめる!」

 違うのにぃー、とわざとらしく涙を拭う仕草をするスィラージュ。

 いつものように従者を雑に扱いはしたが、アシュラフにもスィラージュの言いたい事はなんとなく分かっている。アシュラフが男として生まれたのであれば今のアシュラフと同じ性格や半生を手にしていたか――それは否だ。現在のアシュラフがいるのは、女性に生まれたからでもあるのだと言いたいのだろう。

「……まあ、民や大臣たちはこの状態を受け入れられないだろうな。普通なら有り得ない話だ、この姿のまま王宮に戻っても王女の名を騙る不届き者と捕らえられてもおかしくない」

 男のままでいる事は、アシュラフがよくても周りが許容しないはずだ。その時困るのはもちろんアシュラフだ。いっそ他人に成り済ましてザフラを守る兵となるのもいいと思えたが、後継者のいないザフラ王家がどうなるかを考えれば元の姿に戻る方がいい。

「だがどうやって元に……?」

 そもそも何故こんな姿になったのか分かっていない。泉が怪しいと感じているが、アシュラフはもう一度泉の水を飲めば戻るのではと、水を口にしたが――変化はなかった。飲む回数は関係ないらしい。思えばアシュラフは既に一口以上泉の水を飲んでいる。

 アシュラフはスィラージュにも意見を求めたが、彼は首をひねって考えこむばかり。しばらくの間、彼らは眉間にしわを寄せて思案した。

「思い出しました!」

 両手を広げ全身で閃きを表現するスィラージュに、アシュラフは顔を向ける。

「これは魔法の泉です。二つで一対になってまして、男の泉と女の泉があるんです。文字通り、男の泉は女が水を飲めば男になり、反対に女の泉は男が女になる」

 ただの湧き水だと思って飲んだのに、とんだ曰く付きだったという訳だ。アシュラフは澄みきった泉を睨み付けるしかなかった。

「これは男の泉というわけか。女の泉の水を飲めば……」

「女に戻れます」

 反対に女の泉で女になってしまった男は、今ここにある男の泉で元に戻ればいいという訳だ。

 問題は、

「その女の泉はどこにあるんだ?」

 という事だ。

「二つの泉の存在を知るのは魔神だけです」

 スィラージュは神妙な顔をしてみせた。


 スィラージュの魔術を駆使し、彼らは急いで女の泉のある場所へと向かった。

 砂漠の砂が白っぽく変わり、同じく白い岩山の麓にその泉はこんこんと湧いていた。

 空は真っ青に晴れ続けていた。アシュラフは単純に喉の渇きを受け、今にもその泉の水を飲み干したくなった。だが、以前の事もあって警戒をしてしまう。

「これが本当に女の泉なのか?」

 水を口に含めばそれが分かるというのに、アシュラフは疑いの目で見てしまう。

 主の、人の世の常識を超えた出来事に振り回されるのはうんざりだという様子が分かり、スィラージュは一歩前に出た。

「試しに私が飲んでみますね」

「別にその確認要らんだろ……」

 ただアシュラフは少し心の準備がしたかっただけだ。男の体は力強く――このまま王になれば女のアシュラフよりも優れた統治者になれそうだという夢を振り捨てるのに、少しの時間が要ったのだ。

 叶わぬ夢を思い浮かべていたアシュラフは、いつの間にか泉の水を飲み下したスィラージュに、体を硬直させる。

「うわ、キモ」

「どういう意味ですか?!」

 泉の水で女の姿になったスィラージュは――ふっくらした頬と唇になり、短かった髪は三つ編みが作れるほど長くなっていた。胸元もなんとなく膨らんで見える。

「声も高い……まさしく女」

 何故髪の毛が伸びているのかは分からないが、スィラージュは完全に“若く美しい娘”でしかなかった。中身がお気楽でのらくらした性格のスィラージュだと分かっていても、可憐な乙女にしか見えない。ただの女装よりはまりすぎていて、似合いすぎるからこそアシュラフの心中は複雑になる。

 普段のスィラージュが子供っぽく拗ねたり上目遣いをしたくらいではアシュラフは鬱陶しいとしか思えない。だがこのアネモネの花のように愛らしい娘には、見つめられるだけで落ち着かない。そんな自分すらアシュラフは嫌だった。アシュラフは可愛いものが好きとか女の子に心やすらぐ性質とかいうもの持ちあわせていなかった。それなのに、この感覚は何なのだと気分が悪くなりそうだ。

 つまり、女版スィラージュは洒落にならないくらいに麗しい。

 心は女のままのアシュラフは同性にそわそわする自分に戸惑った。なるほどスィラージュの言葉は正しい。アシュラフも、初めて会った時にスィラージュがこの姿であったなら、態度を別のものにしていただろう。

「早く元に戻らねば……」

 混乱してきたアシュラフは泉に向き直った。

「お前ら、何をしている!」

 怒号が飛んできたのはその時だ。強い声にアシュラフは思わず身をすくめる。

「ここは禁忌の泉だぞ!」

 振り向けばアシュラフとスィラージュは幾人もの男たちに囲まれていた。

 男たちは一様にターバンで口まで覆っていて、人相が分からなかった。目だけで怒りを表している。

 何が起きたのかと辺りを見渡すアシュラフだが、何より泉の水を飲むべきだと思った。

「なんてやつらだ、来い!」

 反論する間もなくアシュラフは男の一人に手を掴まれ、泉から引き離されてしまう。

 何とかしてもらおうとアシュラフはスィラージュに顔を向けるが、水差しの魔神はどうしてか困りきった表情をしていた。スィラージュの様子がおかしい為にアシュラフも行動が遅れ、彼らは男たちに捕まってしまった――。


アシュラフはこんなにも頭が働かなくなる衝撃を受けたのは初めてだった。父のザフラ王が突然斬りつけられた時も、黄銅の水差しから魔神が出てきた時も、空飛ぶ黒檀の馬が本当に存在した時も驚いたが、今は途方に暮れていると言った方が正しい。

 アシュラフはあまりの出来事に成す術もなく、己の無力さに打ちのめされていた。

 縄の先が手首に浅く突き刺さる。無理矢理に縄を引っ張られアシュラフは歩かされている。暑さで乾ききった昼の屋外で軽装など、正気ではない。だがアシュラフは準備をしてここに来た訳ではないし、望んで囚われた訳でもない。

 自分の従者が暑さに疲れて見えないのがなんだか憎たらしい。それでもスィラージュは心細げな表情で歩いている。ふう、と嘆息する魔神の所作がいつにも増して、どこか――か弱そうに見えるのは何故だろうか。アシュラフは既にこさえていた眉間のしわをより深くした。

「なんで、こんな事に……!」

 口にしても仕方のない事を、アシュラフはもう一度繰り返した。

 奥歯を噛みしめたアシュラフに、スィラージュは不安げな瞳を向けた。

「申し訳ないです……私が余計な事をしなければ、こんな事には……」

 スィラージュが弱気なのには理由があった。女の姿になった為に魔術が上手く扱えないのだという。

 泉の持つ、より強い魔力でスィラージュの魔術が抑え込まれているらしい。慣れない体で魔術を使えば制御が効かなくなるかもしれない。

 スィラージュが魔術を使えないのであれば、アシュラフが男の膂力(りょりょく)で暴れてみようとも思ったが、アシュラフは武器もなく、男たちは剣を持っていた。つまりアシュラフにはどうする事も出来ないのだ。

 無理矢理つれ回されるのは困るが、アシュラフたちを捕らえた男たちに殺意はない。故に彼らは大人しく男たちに従う事にした。

 問題は、アシュラフとスィラージュの性別が入れかわったまだという事。早く元に戻りたいと願うアシュラフにとって男のままでいるのは気分が悪い。だが女の泉からは離れてしまった。

 アシュラフにとって問題なのは、スィラージュが女の姿だという事の方が強いかもしれない。自慢の魔術が使えない為に不安で儚げな表情をする魔神は、繊細な乙女に見える。この乙女を全ての困難から守ってやりたくなる。

 元来アシュラフは弱きを助けるをよしとする。だが、それにしたってこのスィラージュの姿は、アシュラフを言い知れぬ気持ちにさせる。今のままの状態でいるのは芳しくない。アシュラフは自分の考えの変化にも、ほとほと困り果てていた。

 相手の月のように白い肌や、つやめく唇を見るとアシュラフは何故か恥ずかしくなる。

 こんな状態は一刻も早く終わりにしなくてはならない。アシュラフはやはり腕力で何とか出来ないかと考え始めた。

「黙ってないで何か言ってくださいよ……。怒ってます? 私のせいで……」

 アシュラフがずっと黙したままなので、スィラージュは不安になったようだ。捨てられた子犬のように悲しげな瞳で見つめられ、アシュラフは後ろめたくなった。

「別にお前のせいではないだろう。彼らはあの泉を“禁忌の泉”と呼んでいた。立ち入った者は誰であれ捕らえるべしとの決まりがあるのかもしれない」

 可憐な乙女を責める事は出来ない。アシュラフは視線を逸らしながら続ける。

「だから気にするな。わたしたちの話を聞けば彼らも解放してくれるかもしれない。わたしから話してみる」

 そう言うアシュラフの横顔は、他者の為に矢面に立てる強さを持つ、戦士のような決意に満ちていた。やや鋭さを帯びた男の顔に似合いの表情だった。

「なんかシュラさ……、シュラが、頼れる美男子すぎて……私惚れそうです……」

 期せずして王宮の外で人に出会った為、スィラージュはアシュラフの身分が知れぬような呼び方をしたが、アシュラフが褒めてやれるのはその点だけだった。

「美男子、ありかも~」

「やめれ」

 アシュラフは顔をひきつらせた。今のよく分からない状況で男らしさを称えられても嬉しくはない。

「あっ、男が好きって訳ではなくて、シュラならどんな姿をしていても愛せる自信がありますって事で」

「何言ってんだお前」

 スィラージュの好きとか愛せるとか言う言葉は軽すぎるように思えるのでアシュラフは大抵聞き流している。要は、青色が好きとかココナッツの焼き菓子が好きとか、そういう程度なのだとアシュラフは解釈している。実際アシュラフが軽くあしらってもスィラージュは気にした様子はない。

「もちろん元に戻ってほしくはありますけどー、やっぱり中身は変わらないんだなーって安心しまして」

 えへへーと笑うスィラージュの明るい表情は、男の時と変わらない。そう言うスィラージュも中身はそのままだと、アシュラフもほっとしてしまった。

 そしてアシュラフは、スィラージュの物事の本質を捉えられるようなところに、感心して――ずるいとさえ思ってしまった。


 男たちは白い岩山の反対側にある村にやって来た。彼らの住まいなのだろう、慣れた様子で進んでいく。

 日干し煉瓦の簡素な家がぽつぽつ並ぶ小さな村で、側に天幕が張られた家もある。

 男たちの帰還に、他の村人たちも顔を出す。アシュラフたちを捕まえた男たちと同じく、ターバンで頭のみならず口もとを隠している。砂漠をゆく時は砂塵が口に入らないようにターバンの端で口もとを覆うのは珍しくもない。だが、見知らぬ相手に囚われの身という状況のため、アシュラフは彼らの顔を隠すような様相が奇妙に映った。

 男たちの一人が足早になり、一軒の家の中に飛び込んで行った。

「長、禁忌の泉に侵入者が!」

 まだ若い男だろう彼が家に入っていくと、言い合うような声が聞こえた。いくらもしないうちに、若い男は同伴者を連れてアシュラフたちの前に戻ってくる。

 村の中心人物だろう男が、部外者のアシュラフとスィラージュをちらと眺めた。

「……わざわざ連れてこなくてもよかっただろうに」

 長は呆れたようだ。室内にいたからだろうか、彼は口もとを覆ってはいなかった。口髭をたくわえた四十ほどの男で、疲れても見えた。

「あの泉に足を踏み入れた者は例外なく処罰せよ、というのが掟ではないですか!」

「処罰、というのは元々の掟にはなかったはずだ」

 若い男は興奮しはじめるが、長はアシュラフたちに興味がなさそうだ。

 どうやら彼らの間には掟の解釈の仕方に違いがあるらしい、とアシュラフは察した。

 そもそも何故“禁忌の泉”なのかアシュラフは疑問になった。この村の者はあれが魔法の泉で、女になったり男になったりする力があると知っているのか。そうであれば、アシュラフたちの事情にも理解を示せるのではないか。アシュラフは口を開く。

「……立ち入ってはいけない理由は、なんだ?」

 魔法の泉だからか? と続けるつもりが、村人たちの動きが止まったために、アシュラフもつられてしまった。彼らはアシュラフを非難するような目つきをする。

「まずい事聞いちゃったみたいですね」

 張りつめた空気の中、スィラージュが主を横目で窺いながらつぶやいた。

「答えないという事は、口には出来ない程の理由があるか、この場の者は知らないかだな」

 後半はただなんとなくで言ったアシュラフだが、理由を知らず掟だけを守るとは道理に合わぬとでも受け取ったのか、若い男が前に出る。

「こやつ、何をぬけぬけと!」

 若い男がアシュラフを今にも殴らんと拳を握り詰め寄ったので、スィラージュは目を見張った。

「つまり、自分も同じだと言いたいのか」

 そこを村の長が制するように若者の肩を引く。若い男は納得がいっていないようだが、アシュラフから離れた。

「自分たちはあの泉が禁じられた場所だと知らなかったのだと?」

「何も知らぬ者を責めるなど、道理に合わん」

 気だるげな長の瞳は、しかし鋭かった。だがアシュラフは怯まない。傍らには、アシュラフに寄り添ううら若き乙女がいる。スィラージュを守るためにはアシュラフが引く訳にはいかない。男の身ゆえか、今のアシュラフはやけに勇気がわいていた。

 長の男は遠くをよく見ようとするかのごとく、目を細めた。

「お前は間違っていない」

 好意的な返事とは思えなかったが、責めるようなものでもない。長の判断に、村人たちは顔を見合わせ、小声で話しはじめる。

 いきり立ったのは、例の若い男だ。

「掟は掟です! あなたはいつもそうだ、弱腰で自分の意思など持たない!」

 若い男の矛先が長に向き、長はうんざりした顔になる。場の空気がさっきとは別のものになった。アシュラフはスィラージュと視線を交わす。

「なんか揉めてますね」

「元々仲が悪いのか」

 どうも、あの若い男が一人“掟”にこだわり続けているようでならない。他の村人も彼ほど強い関心を払ってない様子だ。今は仲間割れする二人を困ったように眺めている。

「であれば、こやつらを裁きの場に! こやつらが何も知らなかったと嘘をついているのであれば、裁きの場で分かる事!」

 会話の途中で、若者はアシュラフたちに話を戻した。

「偽りは許さないぞ。言葉も、身分も、何ひとつ欺く事の出来ぬ場に連れていってやる」

 処置なしと思ったか、村の長は口を挟まない。アシュラフは何をされるのか分からなくて、スィラージュを振り向く。

「それって魔法の泉での事も含まれますかね」

 裁きの場がなんであれ、偽りを許さないのであれば、魔法の泉で性別が変わってしまった事も偽りとなるのか。スィラージュの言葉にアシュラフは顔をしかめる。

「わたしの話を聞いてくれ!」

 声を上げたアシュラフだが、若い男は他の者と共に二人を歩かせた。手首にかけられた縄を引っ張られ、背を押される。

 しばらくすると、地面に扉のある場にきた。村人の一人が扉を開ける。階段があって、日の光の届かぬ深さまで続いているのが分かった。アシュラフとスィラージュは、男たちによって押し込まれるようにして階段をおりた。

 扉が閉じられる前に、あの若い男が得意げな顔を見せる。

「何も後ろめたい事がなければ無事帰れるのだから胸を張っていろ。そうでなければ……裁きの炎がその身を焼く」

 そうなればいいと思うかのように、彼は口角を上げた。

「遺体も残さずに、な」

 次の瞬間、扉が完全に閉ざされ――アシュラフたちは闇の中に置き去りにされた。

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