変な夢〜AMAZING CRAZE〜
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あなたは気付いてる?
もうここはリアルじゃないのよ。
ここは夢の世界。
ゴールは零になるの。絶対、ね。
さぁ、ノイズに帰りましょう。
AMAZING CRAZE(壊れた永遠)
変な夢。
私が「それ」に出会ったのは、丁度秋分の日に入る前。今はまだしばらくは暑いだろうけど、つまりは三ヵ月は前ってこと。
「それ」の時、真っ白い塔の天辺、平らで何も見当たらない寂しいとこに私はいて、西に沈む夕陽を眺めていた。赤い丸が地平線の彼方に完全に隠れると、夜が来ると思えば、世界が反転した。塔は黒、空は白。色のある私は気持ち悪い緑や紫になった。
そして、女の人の声が聞こえて目が冷めた。
あれは神様? それなら納得できる。私と、何人かは。
あと残りの人はふざけるなって言うだろうけど、どうでもいい。第一「それ」がもたらしたものは、誰も気付いてない。だからって言う気も無いし、他人なんて気にかける必要があると思えないから。
「おやすみ」
「……おやすみ」
私は部屋から出て、少し遅い食卓に出る。パンを一かけらかじると、暖かいココアをゆっくりと飲み干し、戻って制服に着替える。鞄には何も入っていない。学校のロッカーにも何も入ってない。ただ、親や学校が煩いから行くだけ。
うちの両親は駄目だ。父は私を体しか見ていないクズ、母は体面ばっかり気にするくせに浮気ばかりのゴミ。どっちも大したことないくせに、自分の子供だからって無駄な期待をかけてくる。何度も殺してやると思うくらい、酷い扱いの中で。
「お帰り」
「ただいま」
くしゃくしゃの髪を梳いたら、準備完了。やっと慣れてきた新しい革靴を履いて、玄関を出る。言葉が反転してるのは慣れないけど、別に気にするほどのものでもない。どうせ気のないものだから。
お付き合い三年目の、まだぴかぴかの自転車のペダルを踏む。
真っ赤な世界はもうない。遅刻だけど急がない。遠回りだけど気にしない。
「暑い……」
照り付ける太陽が眩しい。汗を吸ったスカートが太股にまとわりついてうっとおしい。制服はまだ透けないだけましだけど、そのうちそうなる。
遠い。休もう。
私は自転車を止めた。
学校に着いたのは、日が真上に居座る頃だった。お昼休みはもうすぐ。
クラスの扉を開けると、エアコンに冷やされた空気と、それよりも温度の低い視線。一旦時が止まって、また会話が始まる。何ごとも無かったかのように。
机の横に鞄を掛けて、頬杖を突いてゆったりと室内を見回した。トランプ。携帯。音楽。談笑。ゲーム。どれも下らない連中だ。
空いた空間に顔を向けると、時間割が目に入った。一時限目から現国、現社、体育、世史、日史、英語。教師は入れ替わり入るが、誰も周りで騒ぐ馬鹿と大差ない。金八もグレイトティーチャーもいないのはわかりきったことだけど、さすがにレベルが低すぎる。
蔑みで溜め息を吐くと、教師が少し早く入ってきた。私を確認すると、遅刻理由も追及なしに、いや言葉すらなしに出席簿にチェックを入れる。
どいつもこいつもいらない。もとは私から離した。だって会う前から必要なんてしていない。
現社、現国と終わり、短いがもう始業の鐘を聞き、私は学校を後にした。
私はすぐに帰らず、公園で時間を潰す。明るみが消えて、真っ白い霞んだ世界になるまで、じっと座り込んで目を瞑る。そうなれば、たまに黒猫と戯れた。動かない太った黒猫。体はたっぷりと膨らんでて、この前生まれた子猫は見当たらない。きっと、お腹の中だ。
と、私は子猫からあることを思い出した。
今日は誕生日。生まれた日だ。十七歳だ。よし、帰らない。学校も休みにしよう。
私はなんとなくそう決め、ゆっくりと目を瞑った。
ノイズに帰るまで、あと十七年。
ホラ。日が東に沈んで。
ぐだぐだ。意味不。……伝わるかな(汗 久しぶりに作者ページに行くと、いくつかメッセージがありました。ありがとうございます。私は元気……かな?