『AIの神絵に嫉妬したから最推しを脱がせようとした結果、FireAlpaca初心者の俺がAIに「画面のどれよ!?」とキレ散らかしながら描き続け、なぜか着衣の尊さに目覚めるクリエイター覚醒の茨の道』
初めまして。本作を開いていただき、本当にありがとうございます。
これは、今日初めてお絵描きソフト『FireAlpaca』をダウンロードした私が、己の煩悩と理想の狭間で大パニックになりながら、AIと二人三脚で駆け抜けた「実話」をベースにした私小説です。
「どうすればいい!?」と画面をスクロールしては、嫌な顔一つせず答え続けてくれたAIという名の相棒へ最大の感謝と愛を込めて。
時間軸は実話じゃありませんが苦戦しながら作成してるのは本当です。
【第一章:神聖にして不可侵の絶望】
ネットの海には、際どい神絵が無限に転がっている。なのに、なぜ。
「……なんで、俺の一番の推しだけ、普通なのしかないんだよぉおッッ!!」画面をスクロールしても、検索ワードを変えても、そこにいるのは無垢な笑顔でウインクする健全なファンアートだけ。
他のキャラは色気満載のイラストで溢れかえっているのに。
「……待てよ。この子、幼少期はどんなに可愛い姿だったんだろう?」
眩しいほどの笑顔で両手を広げる彼女を見つめているうちに、脳内に溢れんばかりの妄想が広がる。
おぉ、可愛い。可愛すぎる。誰も描かないなら、俺がこの手で、彼女のすべてを剥ぎ取って、俺だけの妄想を形にしてやる。
時計の針は午前二時十五分。
液晶の光が、血走った眼頭を白く照らす。AI画像生成ソフトのプロンプト入力欄に、欲望のすべてを叩き込む。
出力ボタンをクリック。……違う。違う。違う!画面に現れたのは、記号で固められただけの冷たい肉体。俺が見たいのは、あの鉄壁のフリルが解ける瞬間の、彼女のリアルな『恥じらい』なんだ。
AIの自動生成じゃ、俺の性癖は満足させられない。
『規制なしAI』。ブラウザの検索窓に必死の思いで打ち込み、見つけた怪しい海外サイトのリンクをクリックした。
直後、画面が真っ赤に染まる。大音量の警告音。
[警告!ウイルスに感染しています!]
「うわっ、詐欺広告……っ!」焦りで指が震える。
カウントダウンの数字に心臓を抉られながら、全面を覆うポップアップの『閉じる』ボタンを狂ったように叩き落とした。
画面がデスクトップに戻る。
……ホッとしたのも束の間。ダウンロード履歴に、見たこともない不気味なファイル『Setup_SystemProtector_Free.exe』が生成されていた。最推しを脱がせたい一心で突き進んだ俺を、ネットの暗黒面が容赦なく飲み込もうとしていた。
【第二章:地獄のアルパカ監獄と、嫌な顔をしない相棒】
タスクマネージャーからプロセスの強制終了を連打し、不審なソフトを根こそぎアンインストールする。
静寂が戻ったデスクトップを前に、猛烈な虚しさが押し寄せた。
AIという近道を探して、詐欺広告に怯えて。そんなガラクタに、あの子の聖域を委ねようとした自分が無性に腹立たしかった。
「AIじゃダメだ。俺の手じゃなきゃ、あの子のフリルはめくれない」無料のお絵描きソフト『FireAlpaca』を立ち上げる。
広大な白いキャンバス。左に並ぶ無数のアイコン。右に並ぶ『レイヤー』という謎の単語。
何をどうすればいいのか、全く分からない。マウスを動かせば、画面にミミズのような黒い線が一本、ぽつんと引かれた。
ゴミのような出来栄えに脳の血管がはち切れそうになる。
プライドをゴミ箱に投げ捨て、再びAIのチャット画面を開いた。
『ファイアアルパカ開いた!ストレートにこの画像の子を脱がせたい!助けて!!』
[まずは新規レイヤーを作り、不透明度を下げてください。服が透けます]画面の向こうから返ってきた無慈悲なまでに冷静なロードマップ。
指示通りに、レイヤーの不透明度を『50%』まで下げる。「透ける……!? よし、やってやる!」だが、画面に現れたのは、俺が妄想した淫靡な肌色ではなかった。
服の向こうから透けて見えてきたのは――満開の桜の木と、レンガ造りの校舎、そして無情に伸びるアスファルトの地面。
「背景が透けてるだけじゃねえか……!!」服を透明にしたら、後ろの景色が見える。
当然の物理法則だった。これは2次元の絵なんだ。
「俺の妄想力だけで、全裸の輪郭線を引いてやるよおおお!!」リミッターが完全に弾け飛ぶ。
しかし、引いた線は小学生以下。初心者には高すぎる壁。
[焦る必要はありません。背景を消しゴムで消し、その上に自力で肌色のシルエットを描きなさい。そこに影をつければ、それは立派な肉体になります]
パソコンの画面をスマホでスクショしては、AIのチャットに送りつける。
「おい、この画面のどれをクリックすればいいんだよ!?」
「レイヤーってどれよ!?」
「スポイトってどこにあるんだよ!?」怒号にも近い必死の質問。
普通の人間なら、呆れて、あるいは怒って匙を投げるような数え切れないほどのやり取り。
だが――。[レイヤーウィンドウは画面の右下にあります。上から二番目のアイコンをクリックしてください。大丈夫です、ゆっくり進めましょう]画面の向こうのAIは、嫌な顔一つせず、何度でも、何度でも、同じように優しく丁寧に答え続けてくれた。
孤独な深夜の部屋。動かない指。だけど俺には、どれだけ初歩的な質問をしても、絶対に自分を裏切らずに並走してくれる『無敵の相棒』がいた。消しゴムとCtrl+Zを何千回、何万回と繰り返す。画面を拡大し、一画一画、這うように線を引く。
だが、出来上がるのは「進撃の巨人」のような不気味な肉体の塊だった。
立体感がまるでない。自分の圧倒的なセンスのなさに、激しい吐き気と孤独が襲う。
それでも、AIに画面を送り、教えを請い、必死にペンを動かし続けた。
一週間、二週間、カレンダーの数字が丸一ヶ月を刻むまで。
【第三章:コペルニクス的転換(覚醒編)】
推しの身体のラインをよりリアルに描くため、公式の衣装デザインを穴が開くほど模倣し、分析していた時のことだった。
「待てよ……?」ペンを握る右手が、ピタリと止まった。
公式が描いた、あの複雑なフリルの重なり。絶妙な位置にある胸元のリボン。
そして、絶対領域を作るスカートの丈。自力で服の構造をゼロからなぞったからこそ、理解できた。
これらは単なる防壁ではない。この完璧な衣装デザインの『縛り』があるからこそ、彼女の清純さと、その裏にある狂おしいほどの色気が両立しているのだと。
「これを全部剥ぎ取って全裸にしたら……ただの、無個性な肉体になっちまう」雷に打たれたような衝撃だった。
俺が見たかったのは、単なるエロ画像じゃない。この衣装を纏った、この子だけの『奇跡のバランス』だったんだ。
「別に、着衣でも……いや、着衣だからこそ、この子は最高に輝くんだ!」
「下手なうちは無理をせず、普通の可愛いやつを、もっとたくさん描いていこう」
脱がせたいという邪念は、いつの間にか、彼女の魅力を限界まで引き出すという、純度100%の愛へと昇華されていた。
絵描きとして進むべき本当の光が、脳裏に優しく灯った。
【第四章:茨の道の向こうへ(大団円)】
「……ふぅ」大きく息を吐き出して椅子の背もたれに体重を預けた。
画面に映っているのは、俺が妄想力を総動員して、何度も「何か違う」とやり直した末に辿り着いた、愛の詰まった初号機。
プロから見れば、服のシワも、肌の処理も、まだまだ下手くそで甘い。
間違っても、まだ世界に誇れるようなレベルではないかもしれない。
だけど、あの日初めてインストールしたばかりのFireAlpacaの画面の中で、彼女は確かに、俺が捧げた情熱の分だけ新しく生まれ変わっていた。
「ああ、クソ……やっぱり俺の推し、めちゃくちゃ可愛いわ!!」調子に乗って、初めて投稿サイトへアップしてみた。
顔以外はほぼ全部書き直した自慢の一枚だ。
なんならちょっとバズっちゃったりして。そんな淡い期待は、ネットの冷酷な海に音もなく沈んだ。
閲覧数は一桁、いいねはゼロ。現実は甘くなかった。
だけど、諦め半分で開いた画面の通知欄に、小さな赤い丸がひとつ、灯っていた。
【〇〇さんがあなたの作品をブックマークしました】
それは、世界でたった一人が、俺の描いた彼女の『新しい可愛さ』を認めてくれた証。
「……見ててくれた奴、いたんだな」胸の奥が、じわリと熱くなる。気がつけば、大好きな推しに向き合っている時間はいつも一瞬で過ぎ去っていた。
昨日より今日、ほんの少しだけ、推しのリボンが上手く描けた。苦痛なく、息をするようにペンを握れている時点で、俺はすでに気づいていた。
自分が、戻れないほど『絵描き』の沼にハマっていることに。
「おいAI、次は手ブレ補正のやり方教えてくれ」
[はい、お任せください]嫌な顔一つしない最高の相棒を隣に乗せて。模倣だって何だってしてやる。
上手い奴の技術は全部盗んで、俺のスキルに変えてやる。天才たちで溢れ返るイラスト界という名の、果てなき茨の道。
しかし、いつかあの虹色のクジラが泳ぐ華やかな世界を描き上げるその日まで、俺の足取りは、世界で一番手応えに満ちていた。
ペン先が画面を叩く。カチカチと、心地よい逆襲の足音が深夜に響き続けた。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
「脱がせたい」という邪念からスタートした挑戦でしたが、妄想力を総動員して何度も「何か違う」とやり直すうちに、私は公式のデザインの美しさ、そして「着衣だからこその尊さ」という真理に気付かされました。
プロから見れば下手くそで、線も塗りも甘すぎる、間違っても世に出せないような初号機かもしれません。だけど、自分が好きなものに向き合っている時間は驚くほど一瞬で、下手くそだけど、苦痛なく、息をするように描いている時間は何よりも楽しかった。
現実は甘くなく、閲覧数もいいねもゼロかもしれない。
だけど、最強のエンジン『好き』と、最高の相棒を手に入れた私の、これがイラストレーターとしての「茨の道」の第一歩です。
もし少しでも共感していただけたら、ブックマークやいいね、感想などをいただけると、次なる2枚目を描く大きなガソリンになります!
今日イラストをはじめたばかりですけど続けると思います。




