第10話 地獄の終わり、そして始まり
ご覧いただきありがとうございます!
あなたの近くにいるかもしれない、一見そうとはわからない虐待児に救いの光があたるようにの願いを込めて書きました。
謹んでお届けします。
あれから一か月後。
ママは死んだ。交通事故だった。
あまりにもあっけなく、ミミの人生から消えた。
事故を起こしたという運転手が、葬儀の場で泣きながら頭を下げた。
帽子を脱ぐと、薄い髪が額に張りつき、汗が光っていた。
「申し訳ない。わしの不注意です。
……でも、聞いてください。飛び出してきたんです。
誰が運転しても避けられませんでした。
……死にたかったんやと思います」
パパは低い声で言った。
「……妻を返してくれ」
「すんまへん」
運転手は震えていた。
ドライブレコーダーはなく、道路には長いブレーキ痕が残っていた。
真実は、誰にも分からない。
葬儀が終わり、家を片づけた。
ママが死んで、ミミは――ほっとした半面、やっぱり寂しかった。
パパが「二度と会わせない」と約束してくれていたけれど、
やっぱり、親を一生避けて生きるなんてできるのか不安だった。
でも、もう終わったのだ。
パパの顔にも、どこか解放された影があった。
片づけを終えると、パパの単身赴任先での新しい生活が始まった。
その家にはテレビもゲームもある。
漫画やライトノベルも、欲しいものを毎月買ってもらえる。
転校先では「勉強ができる子」として見てもらえた。
友達はまだいないけれど、窒息するような毎日はもうない。
……そう思っていた。
「ピンポン」
玄関のチャイムが鳴った。
「誰かしら……?」
出てみると、あの運転手だった。
パパはすぐにミミを部屋に行かせたが、ドアの隙間から覗いた。
パパが何か封筒を差し出す。
「お世話になりました」
運転手はにやりと笑った。
「いえいえ、こちらこそ。ええ商売させてもろて」
パパの声が低くなる。
「……あなたとは、もう二度と会いません」
「とんでもない。何度でも請求に来させてもらいます。
わしは人殺しになったんです。……あんたの依頼でな」
運転手の目がぎらついていた。
「何度でも請求させてもらいますよって……
そのつもりで、しっかり稼ぎなされや」
バタン、とドアが閉まる。
――ママ地獄が終わったと思ったのに。
新しい地獄が始まろうとしていた。
終わり
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源平合戦で命を落とす安徳天皇に転生した俺、死にたくないので、未来の知識と過剰な努力で、破滅の運命を覆します
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