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ハルマゲドン始まったってよ ~堕天使教師とマッチングしたのは天使エージェントだった~  作者: 白神ブナ
第三章 VR旧約聖書

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第97話 知恵あるソロモンの裁判

黒須が解説した。


―「ソロモンが神様に願ったのは、テストで100点取れるようにしてくれとか、模試でAランク取りてーとか、そういう願いじゃなかった。それを聞いて、神は喜んだ」


「そんなの当たり前じゃない。そんなこと聖書に書くわけないでしょ」


黒須の解説にルカはちゃちゃを入れた。


****


画面はソロモンが見た夢の場面だった。


―「おおなんと素晴らしいダビデの子よ、よくぞ言った!

お金でも長寿でもなく、知恵を求めるとは、ワンダホーな王だ。

よし! おぬしの願い通り、賢者の智慧を授けよう。もう、お主が望まなかった富と名声も、そして長寿までも全部そっくりワンセットで授けちゃおう!!」


黒須は神の言葉に興奮した。


―「なんという大盤振る舞い! この日の神は、よっぽど機嫌が良かったんだろう。実際、神はダビデの罪だってちょっと怒ったくらいに止めてたし、その怒りの原因であるバテシバとダビデの子ソロモンは、めっちゃ愛していたんだろうね。その後いろいろあるけど、歴史はこの血筋からイエスが生まれているんだから。甘―い」


ルカが黒須を睨んだ


「私的感情はほどほどにして、先に進めてください」


―「はい。愛されたソロモンは、栄華を極めるわけよ。イェルサレムに神殿を作ったのは、このソロモンちゃんだ。では、どんだけ知恵があったかというと、そのエピソードを見てみよう」


VRは裁判のシーンになった。

二人の母親役には、モブ生徒アバターが自動生成されていた。


母A―「この子は私の子です!」

母B―「いいえ、私のです!」


―「はい、有名な“ソロモン裁判”だ」


生徒たちはハッとして見入った。

「あの有名なやつ!」


ソロモンウリエル―「では、剣を持ってきなさい。この子を半分にして、それぞれに切って渡しなさい」


ルカが慌て、黒須が止めた。


「え!?!? 本当に!?!?」

「落ち着けルカ、これは心理テストだ」


母Aアバターー「やめて! その子を切り裂くなんて! 殺さないでっ!……その子のお母さんはあの人です。だから、やめて」


母Bアバターー「……好きにすれば? さっさと分けてよ。うちの子なんだから」


ソロモンウリエル―「子を本当に愛しているのは、そなたである。この子は母Aのものだ」


生徒たち。


「おおおおおお!!!」

「判断力すご!!!」

「ウリエル先生の声の説得力!!!」

「大岡越前か?」

「なにそれ、わかんねーよ」


ルカはつぶやいた。


「……こういうの、黒須先生は絶対できないわ」


「おい」


「……べ、別に悪口じゃないわよ。優しすぎて無理って意味だから」


「……まあ否定しねぇけどよ」



VRは古代イスラエル王国の繁栄の様子を映し出した。

黄金の装飾、豪華絢爛な宮殿、大量の商隊、各国からの贈り物。


黒須は説明した。


―「イスラエル王国は繁栄した。まずエジプトから妻をもらった。これは外交面で成功したわけだ。安全保障を確立できたからな。それで経済は発展した。神殿も立てた。ソロモン王はヒーローだ」


ソロモンウリエルは多くの貢物にかこまれて満足そうな顔をしていた。

実際、女の先生がたから頂いたパンや、お菓子で、ウリエルは幸せそうな顔を振りまいていた。


黒須は喜んでいるウリエルを見ながら解説を続けた。


「はぁ……これが後の“外国人妻700人”の伏線だな……?」


ルカもそれに付け加えた。


「そうよ。あの子はモテるタイプ。放っておくと、あっという間に後宮ができるわ」


「こっわ……ウリエルの未来、こわ……」


「……でも大丈夫よ。“あなたほどはモテない”わよ」


「え? 俺と比べる?ってか、俺が格下?」


「前に地獄でモテてたじゃない。何勘違いしてんのよ!……地獄の女にモテまくったって話……ついでに教師としての話よ!!“生徒にモテる”って意味だから!! 勘違いしないでよ!!!」


「……いや、なんか今のは違う意味に聞こえたな……?」


「いいから、授業して!!!!」


生徒たち。


「はじまったぞ。ルカ先生、嫉妬した!?ww」

「黒須先生の方が危険らしいw」


ウリエルはソロモン王の姿のまま、教壇で生徒たちを見回した。


「えっとー、ここまでで質問ありますかー。なんでも聞いていいっすよ。答えるのは黒須先生だけど……えっとー……本日は“知恵の王ソロモン”の回ですよね……。なんか視線を感じるんっすけど」


全女性職員は、にこやかに答えた。


「見てるだけよ〜♡♡♡」


黒須はウリエルにアドバイスした。

「……お前……後で職員室行ったら色んなものもらうぞ」


ルカも大きく頷いた。


「間違いなくね……」


ウリエルは、意味が分かっていない。


「???」


生徒たち。


「「「ウリエル先生。 無自覚キラーすぎる……」」」


保健室の近藤先生(40代)が、にやにやしながら手を挙げた。


「ウリエル先生、今日も可愛いわねぇ♡ ところで……あなた、何歳ですか? 18歳くらいかしら?」


購買部の名取さんが手を挙げた。


「若すぎると悪いと思ってたんだけど……何歳なの〜? ウリエル先生」


女子生徒たちはひそひそ話始めた。


「先生たちって攻めすぎwww」

「ウリエル先生かわいそうww」

「こういう質問、いいの? 歴史と関係ないじゃん」


ウリエルは、小声で黒須に助けを求めた。


「黒須さん……助けてください……」


「俺だって助けてほしい」


すると、ルカが腕を組んだままで、“真実の刃” を降ろした。


「大丈夫ですよ、みなさん。ウリエルは……まだ1000歳です」


教室の空気が固まった。


「……え?」


そして、女性職員が驚きの悲鳴をあげた


「えええええええええ!?!?」


購買部の名取さんは、動揺しながらエプロンから電卓を取り出した。


「千!? 千って言った!? 今。人間離れしている……ってか、人間じゃないよね!? どうやって換算したらいいの?」


図書室の司書も……。


「え……でも若々しい……!!」


近藤先生も、


「天使……? まさか、本物の天使だったとは……!?」


ウリエルは涙目になって、ルカを睨んだ。


「ルカ先輩……容赦が……ない……」


「は? 何か問題でも?」


「ルカ、お前冷酷すぎないか!?」


冷酷なルカが黒須は大好きだ。

だが、いくら後輩とはいえ、ウリエルに冷たくするとなると、事情が違う。

ルカは冷静に答えた。


「事実を言っただけよ。まさか、彼女たちに“18歳と思われて口説かれる天使”を

 放っておけないでしょ? 傷つくのはいつも女よ」


「口説いてねえと思うよ! たぶん!」


女性職員たち。


「年齢の問題じゃないの、愛の深さよ……!!」

「あなたの若さは永遠なのねぇ……♡」

「逆に1000歳の方が魅力あるじゃない……!」

「うーん、いけないわ。魔的な1000歳……」


「逆効果じゃねーか!! それに魔的とか……神聖なる存在天使さまだぞ。ルカ、お前罪づくりな……」


生徒のダニエルは、女性の先生たちの強さを思い知った。


「先生たちの耐性は鋼鉄であるwww」


ルカは冷静だった。


「ふむ。こうして見ると、ソロモン王が“700人の妻と300人の側女”に囲まれた理由、わかる気がするわね……」


「やめろ、歴史に説得力が生まれる。いや、いいのか。授業としては説得力が増した方が……」



ソロモンウリエルがVRの王座へ座った。


その瞬間、周りに現れる“各国の姫アバター”たち

なんということか!

その中に女教師の顔が微妙に混ざっている仕様になっていた。


「あらソロモン王さまー♡」

「今日も素敵ね、ソロモンさま♡」

「何か私に命じてください♡」


黒須は完全にドン引き。


「うわ……完全にウリエルの現在じゃん……なあ、ルカ? 先生たちアバターなってるけど、いいのか?」


「ええ、さっきまで現実世界で囲まれてたもの。AIが最適化したら……こうなってしまったのよ。AIは学習したのね」


生徒のダニエルもドン引きした。


「これ、完全に“外国人妻700人”の再現ではないでしょうか……」


ソロモンウリエル「……みなさん……近づかないで…… 僕……逃げたい……です」


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