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ハルマゲドン始まったってよ ~堕天使教師とマッチングしたのは天使エージェントだった~  作者: 白神ブナ
第三章 VR旧約聖書

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第89話 教師アバターの配役発表

 翌日の小会議室。

生徒たちのアンケートを集計し、もっとも関心が高い時代をVR授業しようと会議が開かれた。

ウリエルは、社会科教師と管理職の先生(校長と教頭)を前にプレゼンを開始した。


「明日からのVR授業は“旧約聖書・ダビデ vs ゴリアテ”です。教師アバター割り当てモードを使用します」


黒須がさっそく口をはさんだ。


「……おい、聞いてねぇぞ。アバターってなんだよ!」


「先生方の性格特性・身体データ・天界アーカイブをAIが自動的に最適に配役します」


ルカは、ウリエルの大胆な発想に驚いた。

そして、小声でウリエルに確認した。


「し、信じられない……また天界からデータを引っ張り出してきて、ミカエル上官の許可はもらったの?」


「大丈夫、もらいました。『ミカエル上官アバターもどこかで使って欲しい。使ってくれるなら、データ利用を許可する』と」


「マジか。ミカエル上官も登場したいって、どんだけ自己顕示欲高いんだ」


教頭先生が、夢見る乙女のような声で喜んでいる。


「楽しみですわぁ〜〜!!」


ルシファーは、自分が天界アーカイブではいい場面がないから、拗ねていた。


「……くだらん。歴史は事実だけを示せばいいのだ。茶番は不要だ」


ルシファーの上から目線の意見に、黒須はカチンときた。


「文科省さんがよく言うぜ……茶番ばっかりしやがって」


「今なんと言った?」


「何も言ってませ〜ん」


ウリエルは、教師たちのそれぞれの反応に戸惑ったが、それを吹っ切るかのように大きな声で発表した。


「それでは、アバターを発表しまーす!」


正面の画面に光がパッと広がり超イケメンのサウル王が映し出された。

それは、ルシファーの顏をしたアバターだった。


「イスラエル王国の初代国王、サウルはルシファーさーん!」


巨大な王冠をかぶった“サウル王はルシファーそっくりで、小会議室が湧いた。


「似合う!!!」

「ラスボス感すごい!」

「めっちゃ、イケメン!」


黒須は、机に頬杖をついて面倒くさそうにしている。


「……完璧すぎて、逆に笑えねえな」


さっきまで拗ねていたルシファーは、上機嫌になって、気分上々だ。


「いやぁ、まいったなぁ。威厳というものは、隠しても滲み出てくるものだね。わたしがサウルか……背が高いところもそっくりだ。なかなかいい配役じゃないか」


教頭はまだうっとりしている。


「うふふ、ぴったりですわ!素敵な配役」


ウリエルのマイクが汗で湿ってきた。


「次、……次にダビデ。こちらは黒須先生です」


スクリーンの画像が黒須に切り替わった。

黙っていればかっこいい黒須アバターは、羊飼いの姿だった。


「は!? 俺かよ!」


先生たちが盛り上がった。


「似合う似合う!!」

「庶民戦士感ある〜!」


「庶民戦士感って何だよ。その画像さ、もうちょい偉くなって、王になってからのやつなかったの? 羊飼いじゃねーか」


ルカは黒須をなだめた。


「落ち着いて。王になってからだと、サウルと変わんないじゃん。……まぁ、黒須先生みたいにどこでも生き残りそうな羊飼いは、確かに……他にいないわ。プっ」


「なんで、そこで褒めた風でディスるんだよ。……かわいいじゃんか」


「べ、別に褒めてないわよ!! うぬぼれるな、ボケ!」


「えへへへへ」


ウリエルは、管理職の先生方の顔色をうかがって、前置きをした。


「続いてなんですが……、生徒たちのアンケートで最も見たいと人気ナンバーワンのシーン。それに必要不可欠な人物です」


校長と教頭は、人気ナンバーワンと聞いて知りたくなった。


「前置きはいいから、早くアバターを発表しなさい」

「そうですわ。ますます、気になります」


ウリエルは、冷静を装って、静かに発表した。


「バテシバ役……ルカ先輩です」


ルカは悲鳴をあげた。


「……はあああああああああああ!?!??」


画面に、美しい絵画のようなルカが映し出された。

嬉しさと恥ずかしさで、黒須の声が裏返った。


「なんで、ルカ先生なんだよ!?」


ウリエルは冷静に答えた。


「“気品・強さ・情の深さ・黒須との親和性”をAIが判断しました」


先生たちは頷いた。

「親和性www」

「完全に夫婦www」


ルカは真っ赤になった。


「ウリエルぅぅぅぅぅ!!!!! 覚えてろ。後で絶対泣かせてやる!!!」


黒須は小声でつぶやいた。


「……俺も泣かせてほしい」


「黙れ!!!」


ウリエルは、発表が行われた際に最も大きな反応を示す可能性が高いのはルカ先輩であると予測していた。

そのため、ウリエルはルカによる挑発的な行動に対して応酬することを避けた。


「そして賢王ソロモンは、……ジャーン! 僕でーす!」


黒須とルカは、にこやかに発表すウリエルを恨めしく、睨んだ。


「そこは自信満々に来るんだな……」


ルカもここは反対できない。


「確かに、賢者感はあるわね」


「エッヘン! 事実ですので」


校長は手を叩いて、配役をたたえた。


「完璧な配役ですな!! ……あの、わしは、使わないのかな?」


「あ、すみません、ありました! 校長のアバターは、預言者です」


「予言者? ノストラダムスとかの?」


「そっちの予言じゃなくて、神様からの言葉を預かるの預言です。預言者サムエルですよ。めっちゃ重要人物ですよー。サウルを王に決めて、後にダビデを王にするんです!」


「おおお、かっこいいな」


校長はまんざらでもないようだ。

だが、内容を知っているルシファーは毒づいた。


「ああ、わたしが校長に怒られるってパターンか。なんて素晴らしいんだ」


「大丈夫っす、ルシファーさん。たぶんそのシーンは生徒ウケがいいと思いますよ」


「お前、わたしを侮辱して楽しいのか? ああ、それでミカエルはどこに使うんだ?」


「それはまだ、考え中です。その……いろいろと大変なんですよ。ちょい役じゃ満足されないだろうし、天界データをどこまで公開していいのかもありますし……」


黒須とルカは、困っているウリエルを見て気の毒に思った。


「ウリエル、俺に出来ることあったら言えよ。協力する。ルシファー、お前も協力しろよな」


「えええーーー? なんで、わたしがお前たちに……」


「ルシファー、ねえ、これから二人だけで打ち合わせしません? 人妻の言葉と動きについて、じっくりと教えてほしいわー」


ルシファーの激高をルカが止めた。


「ルカちゃーん、いいよー。もうプレゼン終わった? ねえ、購買部行く? それとも町のカフェに行く?」


今度は黒須が怒った。


「おい、ルカ! ルシファー、まだ会議中だぞ。そう言う話は終わってからやれ」


ルカはわざと言った。


「終わったら、いいんだって。ウリエル、もうプレゼン終わり? だったら会議締めていただきましょうか、校長先生」


ウリエルは、この後の血の海を見たくなかったので、プレゼンを終了した。

校長先生が会議を締めると、先生たちはぞろぞろと小会議室を出て行った。


ルシファーはウキウキしながら、ドアのところでルカを待っている。


「ほら、ルシファーが待ってるぞ、行ってやれよ、ルカ」


「あれは、ウリエルを助けるために出た嘘よ。バカね、本気にしたの?」


黒須とルシファーは、「え?」と言って口が開いたままだった。

ウリエルは、機材をかたづけながらルカに。


「先輩、さっきはサンキューっす! あれってお得意のハニートラップっすよね」


「ウリエル、正解だ。さ、片付けたら屋上でアイスでもたべよう!」


「うぃーっす!!」


黒須とルシファーは愕然とした。


「また、天使に騙された……」

「いいのかぁ? 天使が騙しても」


ルカは堕天使たちを振り向いて言った。


「対象者が堕天使だから、罪にはならない」




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