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ハルマゲドン始まったってよ ~堕天使教師とマッチングしたのは天使エージェントだった~  作者: 白神ブナ
第一章 ハルマゲ丼

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第49話 停戦合意と反省会

 「こ、これがイチャラブってやつか……。とりあえず、停戦合意だな。黒須、お前は運がいい男だ」


サタンはそう言うと地獄の炎とともに消えた。


夜の潮風公園が一気に静まり返り、神と悪魔の存在感がなくなった。

残されたミカエルとガブリエル。

そして、ルシファー。


「……おい、神は厳かに去ったが、……わたしたちはどうする? ガブリエル」


「仕事もないし、天界に帰っても書類地獄だぞ」


「じゃ、焼き鳥屋へ行くか。赤坂のあそこ。冷酒がうまいやつ知ってる」


そのときミカエルは、黒須とルカに見られていると今さらながら気づいて、ハッと我に返った。


「違うからな! 飲み会ではない。反省会の話だ。だから、ほら、違うだろ? ガブリエル」


「おお、そうだな。悪かった。ルシファーも誘わないとな」


「は? わたし……か?」


ミカエルとガブリエルは、ルシファーの前まで来ると飲み会に誘った。


「ハルマゲドン後の飲み会……いや、反省会なんて、そうそう体験できないって」


「いいのか? だよな、だよな。いいんだよな。天使に誘われて飲み会行くけど、いいんだよな?」


「飲み会ではない、反省会だってば。めったにないよ? わたしたちが一緒に居る機会なんて。今日ぐらいパーッと行こうぜ」


「さ、さ、行こう、ルシファー。日ごろ言えない上司の愚痴をぶちかまそうぜ!」


「お、おう! 中間管理職の本音を聞いてくれるか……」


こうして、大天使と堕天使は、赤坂を目指して夜空を飛んで行った。


ロクさんは、ぬいぐるみの手でパフパフと拍手した。


「へいへい、天使だろうが堕天使だろうが、最後は焼き鳥って寸法よ!」


「なんかそれ、平和でいいっすね」


ダニエルが言うと、他の生徒たちも木の陰から出て来た。


「しまったー。大天使たちの写真、撮るの忘れた―」と、マル。

「なにやってんのよ、マル」と、マリ。

「黒須先生、ちょっといいですかー? 俺たちのこと忘れてません?」とイワン。

「もう、イチャラブはいいからさ。ご飯行きましょうよー」と、ダニエル。


生徒たちの声に、黒須とルカは急に恥ずかしくなって、お互いの体を離した。


「あぁ、そうだな。みんなで飯いくか。ルカも来るだろ?」


「わたしは、ウリエルと器材の撤収があるから……」


「ルカ先輩、いいっすよ。器材のほうは僕一人で……。ってかさー、何人で行くの?」


ウリエルは、生徒たちと大人の数を数えた。


「ほらぁ、ルカ先輩の車じゃ乗り切れないじゃないっすかー。じゃ、こっちの車にマルとイワン。乗りますかぁー?」


「え、なんで俺たちがウリエル組なの? 野郎ばっかじゃん」


「バカだな、イワン。気を遣えよ。ルカ先生の助手席は黒須先生だろ」


「あ、そっか……。マルは頭いいな。でも、マリは、いいのか?」


マリは黒須の腕をつかみながら一緒に歩いた。


「黒須せんせー? よかったですねぇ。憧れのルカ先生のGTR、一緒に乗れますよー?」


「マリ、お前な……、言い方が、どこかホステスっぽいぞ」


「わたしは後部座席に座るけど、ルカ先生と前の席でチューとかしないでねー!」


「し、しねぇよ。バカヤロー」




ルカは、指をパチンと鳴らして、白のGTRを潮風公園の近くまで呼んだ。

さっそく運転席に乗ると、窓を開けて叫んだ。


「さ、乗ってー! さっきまでキスしたことなかった堕天使と、そこの女子高生」


「え? 黒須先生って……そうなんですかー?」


「おいおい、ルカ。そんな言い方ないだろ。ってか、俺の個人情報を生徒に晒すの、やめろ」


そうやって、抗議しながらも、黒須の顏は明らかに喜びでいっぱいだった。




 ――だが、黒須が案内したのは、芝浦の食堂だった。


「ほうら、すげえだろ。夜景の見えるレストランだ」


正しく説明すると、商店街の古びた定食屋だった。

のれんをくぐると、香ばしい油の匂いがした。


生徒たちは大はしゃぎだ。


「やったー!」

「腹減ったー!」


ウリエルとルカは、少しだけ反応が微妙だった。


「夜景が見える素敵なレストランって設定。たしか恋愛CIAのマニュアルでわたしが提案したような気が……」


「はい、先輩。好きな彼女をうっとりさせるデートコースでしたね」


「デートじゃないし。レストランじゃないし、微妙だな?」


「でも、好きな彼女ってとこ、合ってるじゃないっすか」


「ウリエル、……こういう時はほっといてくれないか」


挿絵(By みてみん)



お腹が空いた生徒たちは、口々に注文し始めた。


「俺、トンカツ定食!」

「えっと……や、焼肉定食で」

「私はコロッケ定食ね」

「ロクさんは……草食べないとヤバいんじゃ?」

「へいへい、草より味噌汁つけてくんな!」


黒須は生徒たちの前で気前が良かった。


「ダニエルも好きなもん、頼みな!」


「僕、お蕎麦食べたい。時蕎麦って落語、好きだから」


「お、いいねぇ。じゃあ、先生も…お蕎麦だな」


そのあと沈黙が続いた。

ウリエルが黒須の袖を引っ張った。


「黒須さん、ルカ先輩のメニューを聞かなきゃダメじゃないっすか」


「あ、そっか。えっと、ルカ先生は何にしますか?」


「は? 定食屋に連れて来られて何するって言われても……あんたと同じものでいい」


黒須は赤面した。


「いや、別に真似しなくていいだろ」


ウリエルは、人差し指を振りながら首も振った。


「黒須さん、だめっすよー」


ルカは黒須に真似するなと言われて機嫌を損ねた。


「やっぱ、やーめた。ここって、黒須先生の奢り?」


「あ、ルカ先生、蕎麦、かけ蕎麦でいいかな?」


「奢りと決まれば、かけ蕎麦はないでしょ? 肝っ玉の小せぇ男だな」


「はい、ごめんなさい。天使さま、お好きな物をどうぞ」


奢りと聞いたら、ルカは贅沢なものを頼んだ。

天ざるだった。



お店のおばさんが、注文をまとめにきた。


「今日は駅伝と花火大会があったみたいで、急に混んじゃってね。すみませんね、バタバタしちゃって」


生徒たちは、駅伝と花火大会と聞いてクスクスと笑った。


「ああ、そうですよね。俺のせいで忙しくさせちゃって、すみません。注文は俺がまとめて確認しますね」


黒須は全員の注文をまとめて紙に書いた。


「ウリエル、……お前だけ特別メニューじゃねぇか。ハンバーグ定食って……」


「黒須先生、ウリエルに功労賞をあげるべきよ。ウリエル、いつも頑張っているからご褒美ね」


ルカの一言にウリエルは泣きそうになった。

黒須は、ウリエルのほうに話を振ってみた。


「……で、ウリエルは天界に戻るのか?」


「戻りません。出世競争なんてごめんです。僕は人間界でやりたいことが見つかったんで」


生徒たちは驚いた。


「え、やりたいこと?」


ウリエルは宣言した。


「ホワイトハッカー養成所を作ります。サイバー攻撃からこの国を守る。未来の子供たちに知識を渡す。それが、僕の“守護天使”の仕事です」


生徒たちは、少年天使ウリエルが人間界でやりたいことを聞いて、興奮した。


「かっけー!」

「……僕たち、入門していいですか」

「その前に、恋愛アプリの使い方を教えてもらったら?」


「いや、それは……黒須さんの専門分野っすね」


「はぁ!? お前なぁ!」


ルカはくすっと笑った。


「いいじゃない。弟子が増えるのはいいことだわ」


「え、どっちが弟子? ウリエルだよな。俺は師匠だよな」


「さぁね……」



さっきから照れが先行している黒須。

気の利いたことを言いたいが、思いつかななくて話が空回りしていた。


「あは、そうか。……しかし、あれだな。ハルマゲ丼って注文するやつが、いなくてよかったな」


「「「……」」」


生徒たちの反応が薄い。


「なんか、どっと疲れた」

「これってジョークの最終兵器か?……」

「黒須先生。明日代休にならないって本当ですか?」


「ねえよ。さっきも言ったろ。普通に登校だ!」


「ええええ!」


すると、ルカは生徒たちに向かって人差し指をくるっと回した。


「じゃ、特別に、わたしが奇跡で代休にしてあげようっか?」


「わーい!」


「ルカ、おまえ、生徒たちに甘くないか? そういうの、過保護って言うんだよ。だいたい奇跡なんて使ったら全部天界に報告が行くんだからな、いいかげんに……」


「え、ダメ? 過保護ってあんたの感想だよね。代休になったら、黒須先生とデートできると思ったけど、そうかー、残念だなー」


生徒たちは大騒ぎだ。


「えー!デートぉ!?」

「まじでー!」

「黒須先生、爆ぜてしまえー!」


黒須は慌てた。


「ち、ちがっ! 違うから!」


ルカはにこにこ笑って、全然否定しなかった。

ウリエルは、スマホをいじっているふりをしながら、感動していた。


「やっぱ、先輩、堕天使を論破するところ、かっこいいっす! 最高っすよ!」



 その時、黒須のスマホの通知音が鳴った


――ピロロン

―「あなたにぴったりの相手がいます!」


黒須は画面をチラ見したが、すぐに脱いだ上着の上にスマホを放り投げた。


「いや、もう見つけてんだよ」


だが、黒須は見逃していた。

通知画面のアイコンが、インストールしたこがないアプリになっていることを。


挿絵(By みてみん)


「面白い! 黒須先生が気になる」

「この続きはどうなるの? ルカの今後を読みたい!」

「毎日更新のタイミングを逃したくない。いい方法ないですか?」


黒須「では、先生から応援する方法を教える。面白いなぁと思った生徒は、こんな方法があるからよく聞くように。

ブックマークや、『☆』を『★★★★★』に評価すると、作者白神ブナのモチベーションアップに繋がるってよ! 作者がお願いしてるから、ぽちっとしてくれ」


「「「はーい」」」







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