表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハルマゲドン始まったってよ ~堕天使教師とマッチングしたのは天使エージェントだった~  作者: 白神ブナ
第一章 ハルマゲ丼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/92

第35話 結界付き病院007号室

 ウリエルの車がとまったのは、「○○整形外科クリニック」と地味な看板が掲げられた病院だった。

黒須は思わず口に出した。


「おいおおい、こんなオンボロ病院で大丈夫なんかよ」


「ここじゃないです。その隣ですよ」


ウリエルに言われて、隣を見ると大きな銀杏の木の横に「○○大学病院」の看板が立っていた。


「うへ、こんな大きな病院によく入院で来たな。人間じゃないのに」


「もちろん、正面からは入れません。この病院の裏口に回ってください。そこに旧館があります。そこの007号室です」


「ここでもねーのか。どんだけじらすんだよ」


「大きな大学病院ですが、旧館は別物なんです。結界付きシークレット病院とでもいいましょうか……」


「何言ってんだ、お前」


ダニエルはその意味が理解できたらしく、先を行くウリエルを追いながら、黒須に説明した。


「ウリエルさんが言っている意味は、たぶんこうですよ。ここは『天界出張所や地獄分室が把握できない「第三勢力」的な施設』なんです」


「第三勢力が日本にあるって?」


イワンも走って追いついた。


「俺、知ってまーす。八咫烏とかいう謎の集団。都市伝説では裏天皇とか言われてるんだよね」


ダニエルはイワンに笑顔で返した。


「イワン! 正解だよ。たとえるなら、人間界でひっそり活動している“中立の治療院”とでも言うのかな。旧館の外観はただの古い大学病院なんだけど、実は隠された病棟があって、そこは天界・地獄の干渉を遮断する“バリア”で守られているんだ」


イワンはただの陸上バカではなかった。

実は、都市伝説系YouTuberの大ファンだった。

マルとマリも、やっとダニエルたちに、追いついた。


「ウリエルさんはどこ?」


そうこうしているうちに、ウリエルは病院のエレベーターに乗っていた。


「早く、早く! みんなー、こっちに乗って」


エレベーターは上に向かって移動しているようだが、重力の感覚が曖昧でどこにいるのかわからなくなる。

そんな不思議なエレベータのドアが開いた。

ウリエルに続いて全員廊下に出た。



 黒須は病室に入ると、白い布団が枕までかけられたベッドを見つけ、その場に崩れ落ちた。


「なんってこった! 顔が布団で隠されているじゃねえか。遅かったか……」


黒須は、ベッドをつかんで泣き崩れた。


挿絵(By みてみん)


「ルカ! おいおい、なんて姿になってしまったんだ。嘘だろ。

この世の終わりが分かっていたなら、君ともっと楽しく過ごせばよかった。

……堕天使になって七千年、ずっと地上にいたって、今まで一度も彼女が出来たことなんかない。

女の子とパーティーに行ったり、公園でアイスクリームを食べたこともない。

遊園地は……君と下見で行ったけど、あれは業務だったし、恋愛CIAが言うようなロマンチックな時間なんてなかったし、キスもしたことない。

……目を開けてくれルカ。……君は本当に俺の天使だった。

ずっと一緒にいてくれよ。いつものように笑って、ただ一緒にいてくれるだけで……、それだけでいい。これは嘘だと言ってくれ。俺は君がいないと……愛してる」


黒須は布団にしがみついて、号泣した。

すると、後ろからトントンと、黒須の肩を叩く者がいた。


「すみません。その話どこまで続きます? ルカ先生なら、隣の部屋ですが」


振り向くと、ダニエルが立っていた。

黒須は、一瞬固まった。


「え?」


黒須は布団をめくった。

そこは虚無だった。


「なーんだ。ダニエル、早く言えよ」


「いやー、黒須先生、布団に語りかけちゃって、ついにここまで壊れたかと心配しましたよ」


「何が」


「一応、録画しときましたね。治療の参考画像になるかもしれません」


「だから何の治療だよ!」


黒須は騒ぎながら隣の病室に移動した。


 病室には、点滴したままベッドに横たわるルカ。

その側には、ウリエルとマルとイワン、そしてマリとロクさんが心配そうに座っていた。

ウリエルは、黒須に向かって人差し指をたてて静かにするように伝えた。


挿絵(By みてみん)


「ルカ先輩は、天界の回復ポーションで快方に向かっています。今はただ寝ているだけです。このままいけば、翼の回復も早いでしょう」


「そうか。よかった……ルカ……」


ダニエルがそっと囁いた。


「黒須先生、さっきのセリフもう一回ここで言いましょうか?」


「あんなの、二度も言えるわけねーだろ!」



 ウリエルは、ルカのベッドの周りをカーテンで隔てて、病室を作戦室のようにした。


「さて、みなさん。ハルマゲドン阻止計画について作戦会議をしましょう。

ルカ先輩は今怪我をして寝ています。そのルカ先輩は、戦わずして勝つ方法をずっと考えていました。ルカ先輩は、『戦争をする必要はない』と」


黒須はしみじみとつぶやいた。


「ああ、ルカはお花畑だった。ハルマゲドンの始まりだって、ちゃんと解決できると信じていた」


「僕は、ルカ先輩の遺志を継ぎたいっす!」


「いや、まだ死んでない」


「あ、間違った。とにかく、戦わない作戦会議です」


「生徒たちはずっとここにいて大丈夫なのか?」


「この病室は6人部屋で貸し切ったんで、ここでハルマゲドン阻止計画を話し合うには、いい場所でしょう? ベッドもありますから、疲れたらここで寝てもいいっすよー」


ウリエルは病室の端からホワイトボードを引っ張り出してきて、メモをマグネットで貼りつけた。

それは、東京中心部の地図だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ