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ハルマゲドン始まったってよ ~堕天使教師とマッチングしたのは天使エージェントだった~  作者: 白神ブナ


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第23話 トモダチ作戦 in 遊園地③お化け屋敷

 午後、ダニエルはマルたちに誘われて、お化け屋敷へ入ることになった。


真っ暗なお化け屋敷の中、突然の悲鳴や倒れて来るマネキンに震え、マルたちは腕をつかみ合って進んでいた。

ところが、ダニエルは……平然としている。


「ダニエル君、怖くないの?」


「別に……」


お化け役の一人が、ダニエルの手にスッとメモを渡した。

ダニエルは、懐中電灯で、そのメモを照らしてみた……


“お化け屋敷って、こわいからドキドキするよね。

このドキドキを共有すれば、

一緒にいる相手への恋愛感情につながる可能性があるんだよ!

がんばって!

──by 恋愛CIA(Cupids' Intelligence Agency)”


ダニエルは、さっぱり意味がわからなかった。

きっと、お化けがメモを渡す相手を間違えたのだと思った。


「ねえ、ダニエル君、一人で先に進まないで。一緒にいてよ。こわーい」


マリが泣きそうになってしがみついてきた。


ダニエルは冷静に、グループメンバーを引き連れて、出口に向かって指揮を執った。


「あー、そろそろこの辺でこんにゃくが飛んでくるかもしれませんね。ぶつかっても気にしないで」


「「「おおお、本当だ! 予言者かよ」」」


「次の曲がり角で、たぶんマネキンが倒れて来ると思います」


「「「わーー! 当たったー。何これ。マジで予言者?」」」


無事にお化け屋敷を脱出したところで、メンバーたちはダニエルの周りに集まった。


「ああ、怖かったぁー。でもさ、なーんかダニエル、冷静だったね。すごいよ」


「ってか、ダニエルの周りって、気温3度くらい低い気がしない?」


「だねー。一緒にいて涼しいわー!」



それを遠くから眺めていたルカは、ふっと小さく笑った。


「お化け屋敷でコミュ力発揮って、どういうタイプよ……」


「才能だな」


黒須は感心した。


すると、ダニエルが黒須たちのところへ向かって走って来た。


「黒須先生! お化け屋敷の中で、こんなもの渡されました!」


「なんだよ、営業用のチラシか? クーポンか?」


黒須は、めんどうくさそうに受け取ると、メモの中身を見て、固まった。


「おおおお! これは、恋愛CIAのお告げ!……」


ルカもメモを横から覗き込んだ。


「……!?」


「ルカ先生。行こう! お化け屋敷! 久々のお告げだ。成功する気がする……」


「しない、しない! これはダニエル君のためのお告げだからっ!」


「ダニエ?……君はマッチングの有料会員か?」


ダニエルはマッチングアプリと急に言われて、慌てて否定した。


「そんなの、やっていませんよ。きっと渡す相手を間違えたのだと思います」


「そうか……、じゃ、やはり……俺用だ。おい、ルカ先生、行くぞ!」


「ちょ、ちょい待て! 教員としての職務はどうしたの!」


「俺にそれを言います? ジェットコースターで一番楽しんでいた君が?」


「う、職務……楽しみながら全うします……」



 結局、ルカは黒須と一緒にお化け屋敷に入った。

ただし、ルカはドキドキなどしない。

この中に、メモを渡したウリエルが潜んでいると思うと、天界エージェントとしての血が騒いだ。


「ちっ! こいつじゃない。どこだよ、メモ渡したお化け。えええい! 邪魔だ、どけ! 雑魚に用はない! ここを通せ! 恋愛CIA、出てこいやー!!」


黒須は、このドS系の天使にまた惚れた。


「やっぱ、優しくなんかない。怖い系じゃん……。ああ、なんて素敵な天使なんだ」




 閉園時間が近づく頃には、ダニエルは午前中とはまるで別人のように、友達と一緒に記念写真に入っていた。

 バスへ戻る道すがら、黒須はぽつりと呟いた。


「……まあ、悪魔崇拝者だろうが何だろうが、友達は多いほうがいい」


「珍しく、教師らしいこと言うじゃない?」


ルカは笑った。


「で? 君の探していたウリエルは見つかったか?」


「さあね。どうせオフィスで会うから、もういいわ。ってか、余計なお世話だわ。あんたは自分の事だけ心配してろ!」


「そっか。……へっ、君はかわいいな……」


「はぁ?!」




 夕焼けが窓を朱色に染め、バスの中はほどよい疲労感とおしゃべりのざわめきに包まれていた。

 バスの後部座席のダニエルは、黒ヤギのぬいぐるみを膝に置き、隣のマリと今日の思い出を小声で話していた。

 その様子を前の席から振り返って見ていたルカは、ほっと息をついた。


「……思った以上に、打ち解けたようだわ」


「まあな」


黒須は窓の外を見ながら低く答えた。

そして、少し沈黙が落ちた後、黒須がぽつりと言った。


「……ああいうやつは、友達さえできりゃ、生きやすくなる。どんな信仰してようが、仲間がいるってのは強い」


 ルカは一瞬、黒須の横顔を見つめた。夕焼けが彼の瞳を橙色に染め、普段の飄々とした悪戯好きとは違う、教師らしい静かな表情を浮かべていた。


「カッコつけてんじゃないよ。あんた、本当に堕天使?」


「おうよ」


黒須は口元だけで笑った。


「ただ、救えるもんは救っときたいんだけさ」




 バスが学校の門をくぐる頃、ダニエルは友達と笑顔で別れを交わしていた。

その背を見送りながら、ルカは小さく呟いた。


「……今日の作戦、大成功ね」


「だろ?」


黒須は胸を張った。


「計画通りだ」


「でも、半分はわたしの奇跡の力だってば」


「それもある。それと、チームワークってやつだな」


そこで黒須は、何の気なしに言った。


「……それに、君みたいな相棒がいると、俺も悪くない教師に見えるだろ?」


「……相棒?」


その一言に、ルカは一瞬だけ呼吸を忘れた。

夕焼けの赤が頬に移ったのか、心の中まで熱くなった。


「相棒って言うな! たまたま手を組んだだけで……これはビジネスだ! ビジネス! 調子にのるなっ!」


「あー、そうだったー。ゴメン」


黒須はニコニコしながら謝った。


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