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姫、PR動画です
早乙女みちるが叫んだ。
文化課のモニターに映し出されたのは――
金色の甲冑をまとい、空を飛ぶ甲斐姫。
雷を操り、石田三成の軍勢を一撃で吹き飛ばす。
BGMは壮大なオーケストラ。
ナレーションは「姫、神話を超えて、今ここに」。
「……戦国女子アニメかよ」
鷹見迅は頭を抱えた。
「これ、誰が作ったの?」
「市民ボランティアの“忍城映像愛好会”です。平均年齢68歳!」
「元気すぎるだろ!」
みちるは真顔で言った。
「でも、姫の美しさは伝わってきますよね?」
「伝わるけど、雷は伝説じゃないだろ!」
そのとき、会議室のドアが開いた。
「出番ですぅ〜!」
甲冑姿のゆるキャラが、甲高い声で登場した。
頭に“忍”の文字、腰にラムネホルダー。
その名も――かいひめちゃん。
「TikTokで踊ってきましたぁ〜!バズってますぅ〜!」
「バズってるって、何が?」
「“姫、雷で三成を焼く”ってタグですぅ〜!」
鷹見は、ホワイトボードを見つめた。
そこにはまだ、あの式が残っていた。
姫=美人=勝てる
彼はマーカーを手に取り、もう一度書き換えた。
姫=語られぬ者=語る価値あり
「よし。姫、出番です」




