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《推し悪役令嬢に転生した私、今このゲーム配信されてます?》 〜ざまぁで投げ銭が飛ぶ世界〜

作者: 月白 ふゆ

第一章 目覚めたら配信スタート!?


目が覚めた瞬間、私は見知らぬ豪奢な部屋の天井をじっと見つめていた。

そこは、赤いベルベットの天蓋付きベッド、黒と金を基調にした家具、そして大きな窓から朝の柔らかな光が差し込むゴシック調の寝室だった。


「ここは……ユリアナ様の部屋……?」私の心臓は激しく鼓動した。数秒前まで普通の生活を送っていたはずなのに、いつの間にかあの乙女ゲーム『ロマンス・オブ・クラウン』の悪役令嬢、ユリアナ・バルフェットの部屋にいるなんて信じられなかった。


手元を見ると、透き通るような白い肌、長く銀色に輝く髪、鋭くも美しい瞳が映る鏡の中の自分があった。

「いや、私だ。私がユリアナになったんだ……?」



その時、突然頭の中に文字が浮かび上がる。

《現在の投げ銭:5ルビー》

《コメント:『おお!目覚めた!』『推し悪役が動いてる!』》


「え、えええええ!? なにこれ? 私、配信されてるの!?」

驚きで体が震えた。部屋を見回してもカメラはない。なのに、まるで誰かが私を見ているかのような感覚。


《コメント:『顔良すぎて朝から眼福』『表情の動き最高w』》

「なにこれ、どういうこと? これって……実況配信?」


頭が混乱する中、私はこの世界がただの乙女ゲーム世界ではないことを悟った。視聴者のコメントや投げ銭がリアルタイムで表示され、しかも私の行動に影響を与えているという不可解なシステム。

「はあ……悪役令嬢に転生して、しかも実況配信って……どうすればいいのよ!」

そう思いながらも、私はすぐに考えを切り替えた。

「……この配信、利用しない手はないわ。視聴者が喜ぶざまぁ展開を見せて、投げ銭を稼いで力をつけてやる!」


脳裏には過去のゲームの記憶が走った。ユリアナは最終的に断罪される運命。だが私は違う。視聴者と一緒に“ざまぁ返し”を成功させて、この世界での居場所を勝ち取るんだ。

ふと窓の外を見ると、学園の塔がそびえ立っている。

「まずは学園に行って、周囲の様子を探らないと……」

覚悟を決めて、私は重たい身体を起こした。

《コメント:『配信開始!ユリアナ様、応援してる!』『ざまぁ展開はよ!』》


ここからが新しい戦いの始まりだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


第二章 バズる悪役を目指して


学園の門をくぐると、すでに生徒たちの間で噂が広がっていた。

「あの悪役令嬢、ユリアナがまた何かやらかすらしいわよ」

「またざまぁ展開期待してるんだって」

囁き声が背中を刺すけれど、私はニヤリと笑う。これこそがチャンスだ。

「今日も主役は私よ」


教室の片隅、リリィが滑り止めを必死に探している姿が見える。

「今日もざまぁ演出、完璧に決めてみせるわ」

私は陰で滑り止めをこっそり撤去した。


「これで階段は完璧」

リリィが何も知らずに足を踏み出す。

「キャッ!」

途端に彼女は足を滑らせ、叫び声をあげながら階段を転げ落ちる。

心臓が飛び出そうになるのを堪えながら、私は冷静に見守った。

「池に落ちろ…池に落ちろ……」

祈るような気持ちで見ていると、リリィは最後の一段でバランスを崩し、池へドボン。

「ギャァアアッ!!」

悲鳴が教室に響き渡る。

《コメント:『マジざまぁww』『池ポチャとか最高w』『配信神回決定!』》


「……おやおや、リリィ嬢、そんなにお粗末でいいの?」

教室中の注目が私に向く。

「運動音痴もここまで来ると芸術よね」

視聴者の笑い声が頭の中に響き、私は心の中でガッツポーズ。

《投げ銭:+80ルビー》《バフ:自信+5》


王子・レオンも困惑しながら駆け寄る。

「ユリアナ、リリィは大丈夫か?」

「まあまあ、そう慌てないで」

私は優雅に振る舞いながら、次のざまぁ展開の準備を始めた。

《コメント:『新記録www』『王子じゃなくて池の鯉が受け止めたw』》

《投げ銭:+50ルビー》


会場は爆笑の嵐。私は視聴者の歓声を背に、ますます調子に乗っていく。

リリィ嬢が池に落ちた瞬間、私はすぐに配信内のコメント欄を頭の中でチェックした。

《コメント:『リリィ大惨事www』『まさかの水没w』『ざまぁだけど笑ったww』》

《投げ銭:+30ルビー》《バフ:自信+2》


「よし、このまま視聴者の期待に応えてやるわ」

私はにやりと笑い、次の計画を練った。


教室でさっそくリリィのファンである王子、レオン・カイザーが心配そうに近づいてきた。

「ユリアナ様、リリィは大丈夫ですか?」

彼の真剣な瞳に、私は悪役令嬢らしく微笑みを浮かべて答えた。

「心配ご無用、レオン殿。リリィ嬢の運動神経が悪いだけよ」

王子は苦笑いしつつも、私の言葉に納得した様子だった。


その直後、クラスの友人であるメイド長のエリザベートが小声で耳打ちする。

「ユリアナ様、さっきの池ポチャで大騒ぎになってますわよ。視聴者も盛り上がっています」

「いい知らせね。これで視聴者の注目は私に集中する」

《コメント:『ざまぁの女王降臨!』『配信見てるだけで面白いw』》

《投げ銭:+70ルビー》《バフ:カリスマ+3》



次のターゲットは、ゲーム内の親友だと思われていたリリィの秘密暴露計画。

私は学園の裏庭で、リリィが密かに不正な取引をしている証拠を押さえた。

「これを暴露すれば、断罪イベントも有利になるわ」

放送で証拠映像を流すと、コメント欄は大盛り上がり。

《コメント:『リリィ完全アウトw』『ユリアナ様さすが!』『ざまぁキター!』》

《投げ銭:+150ルビー》《バフ:影響力+5》

一気に立場が逆転し、私は視聴者の女王として君臨することに成功したのだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


第三章 断罪返しは華麗に決める


学園中が私の動向に注目していた。リリィの不正暴露で一気に流れが変わった今、彼女の断罪の日も近い。

「次は、あの断罪の舞台を逆手に取ってみせるわ」


式典の日。厳かな雰囲気の中、私は堂々と壇上に立った。視聴者のコメントが頭の中に流れる。

《コメント:『ユリアナ、神回くる!』『ざまぁ返し頼むぞ!』『断罪返し期待大!》》

宣言通り、私の口からは驚きの告白が飛び出す。

式典の厳かな空気が一瞬で凍りついた。

壇上の私が放った言葉は、学園全体を震撼させる衝撃波のようだった。


「実は、この断罪、すべては私の計画の一部でした」


ざわめきが走る中、私は冷静に証拠を示し始める。

「リリィが私の悪評を流し、王子陛下の信頼を得るために不正な手段を使っていた証拠を、私は掴んでいます」

教室の隅で震えるリリィの顔を、私の視線が鋭く捉えた。


彼女は必死に言い訳を探すが、口はつぐんだまま。

《コメント:『ざまぁああああああ!』『これが本物の断罪返し!』『ユリアナ様、最高!』》

視聴者の熱狂的な声援に背中を押され、私は一歩一歩、舞台を歩く。

「皆様、どうかこの真実を受け入れてください」

王子の表情も一変し、リリィから離れ私の方へと向きを変えた。

「これは正義の勝利だわ……!」

リリィの嘆き声が、まるで遠い雷鳴のように響き渡る。

《投げ銭:+500ルビー》《バフ:覇気+10》《視聴者の期待MAX》


私のざまぁ返しは、ただの復讐ではない。視聴者と共に作り上げる劇場のクライマックスだったのだ。

この告白が波紋を呼び、壇上は騒然となる。だが、私は冷静に計画を説明し、証拠を次々と提示。

《コメント:『え、ユリアナ有能すぎ!』『これはざまぁ通り越して伝説!』》

周囲のキャラクターたちは驚きと戸惑いの表情を隠せなかった。


「お前がそんなことを!?」リリィの声が震える。

「ふふ、これが真実よ」

式典の最後には、視聴者の盛大な投げ銭が飛び交う。

《投げ銭:+300ルビー》《バフ:覇気+7》

こうして、私は悪役令嬢としての断罪を華麗に返し、学園を支配する存在となった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


第四章 視聴者の女王誕生


学園の空気はすっかり変わっていた。かつての悪役令嬢ユリアナとして見られていた私は、今や“ざまぁの女王”として視聴者から熱狂的に支持されている。投げ銭は日に日に増え、コメント欄は私の名前で溢れていた。

「ユリアナ様、最高です!」「ざまぁの女王、今日も華麗に決めて!」そんな声が私の耳に心地よく響く。


そんなある日の昼休み。教室の片隅でリリィの取り巻きが密談しているのが聞こえてきた。

「ねぇ、ユリアナ、まだそんなに偉そうにしてられると思ってるの?ただの悪役令嬢よ?」

「ざまぁされる側のクセに調子に乗りすぎよ」

その言葉を聞いて、私はゆっくりと微笑んだ。内心は冷静だったが、もう次の一手を着々と準備している。

「おやおや、今日は誰が不運に見舞われるのかしら?」心の中でそうつぶやきながら、私は彼女たちをじっと見つめた。


その瞬間、私の視界に配信画面のコメントが流れ込む。

《コメント:『ざまぁの女王、今日も負けるな!』『ユリアナ様尊すぎ』『倍プッシュ希望!』》

《投げ銭+100ルビー》


歓声に背中を押され、私は堂々と立ち上がった。

「見てなさい。これが真のざまぁよ」

私は予め仕掛けていた罠のスイッチを頭の中で押す。教室の一角に仕掛けた仕掛けが音を立てて動き出す。


最初に狙われたのは、リリィの一番の取り巻きだった。床に仕掛けられた小さな油膜が彼女の足元を滑らせ、一瞬でバランスを崩す。

「きゃっ!」と悲鳴をあげて転倒し、机にぶつかる音が響いた。

クラスメイトたちは一瞬静まり返ったが、すぐにざわめきが広がった。


次に、不運はもう一人の取り巻きに訪れる。学園の秘宝を何気なく持ち出そうとしたところで、警備の巡回員が現れて彼女を取り押さえた。秘宝は落下して無残にも割れ、周囲の視線が一斉に集まる。

《コメント:『大惨事www』『ざまぁ祭り開催中!』『ユリアナ様の策士ぶりヤバいw』》

《投げ銭+300ルビー》


私はそんな混乱の中、冷静に一歩一歩教室の中心へ歩み寄る。誰もが私の動きを注視している。

リリィは顔を青ざめさせ、声を震わせて呟く。

「……これ、まさか……」

「そうよ。これが真実。あなた方が仕掛けた罠は、全て私の手の内だったの」


王子レオンも目を丸くし、私の言葉に耳を傾けている。


「ユリアナ……お前、まさか……」

「私を侮った報いね。もう、誰も私の前に立てないわ」


視線の先で、リリィは俯きながらも涙をこぼしていた。

配信のコメントは熱狂の渦と化し、投げ銭は画面いっぱいに溢れた。

《投げ銭+500ルビー》《バフ:覇気+15》《視聴者期待MAX》


私は静かに微笑み、王子の視線を受け止める。

「これが私の、新しい物語の幕開け」

彼の瞳に確かな敬意を感じながら、私は未来への覚悟を固めたのだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


【エピローグ 新たな物語の幕開け】


断罪を華麗に返し、学園を手中に収めた私は、ユリアナ・バルフェット――“ざまぁの女王”として不動の地位を確立していた。視聴者の声援と投げ銭は日に日に増え、私の配信は今や学園内外で話題となっている。


夕暮れ時、教室の窓から差し込む柔らかな陽光が、黄金色の光の帯となって学園の塔を染めていた。私は一人、窓辺に立ち、外の景色をぼんやりと眺めている。

「ここまで来たのね……」

心の中で静かに呟く。かつては忌み嫌われ、憎まれ、断罪されるはずの悪役令嬢だった私が、今は多くの視聴者に愛され、応援される存在になったのだ。


配信画面には次々とコメントが流れる。

《コメント:『ユリアナ様、最高の物語をありがとう!』『ずっと応援しています!』『次のざまぁも楽しみ!』》

その声が胸に沁み渡り、私は小さく笑みを浮かべた。

「これが、私の新しい居場所……」

視聴者との絆を感じながら、ゆっくりと深呼吸をする。

これまでのざまぁ劇場は、ただの始まりに過ぎない。これからもっと面白く、もっとド派手なざまぁを、みんなと一緒に作っていくのだ。


ふと、夜空に浮かぶ満月が目に入る。静かに輝く月の光は、私の背中を優しく押してくれるようだった。

「次は、もっと華麗に、もっと痛快に……」

そう決意し、私は視聴者に向かって微笑みを投げかけた。

「これからも、どうぞよろしくね」

画面には一面の投げ銭が舞い、コメント欄は祝福と期待で溢れ返る。

新たな物語の幕が、静かにそして確かに上がったのだった。


――終わり――



本作『《推し悪役令嬢に転生した私、今このゲーム配信されてます?》〜ざまぁで投げ銭が飛ぶ世界〜』を最後までお読みいただき、ありがとうございます!


悪役令嬢ものにざまぁと実況配信をミックスしたらどうなるのか?そんな思いつきからスタートした作品ですが、楽しんでいただけましたら幸いです。


もしよろしければ、感想や応援コメント、投げ銭(!?)をいただけると嬉しいです!皆様の声が次回作のエネルギーになります。

それでは、また別の物語でお会いしましょう!

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。


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