第1章:「卒業式と、ふたりの告白」
3月、卒業式の日。夕暮れに染まる校舎の屋上で、遥輝は1人、緊張の中にいた。制服の襟にはもらった花、手には握りしめた決意。
その日、彼は2人の教師に告白するつもりだった。
一人目は、高瀬美湖──24歳。Gカップの豊満なバストに、やわらかく揺れる茶髪のロングヘア。少し抜けた天然な一面と、時に母性を感じさせる優しい眼差しが魅力の数学教師。
もう一人は、荻原美咲──28歳。Iカップのしっかりとしたスタイルに、きりりとした黒髪ショート。知的で落ち着いた雰囲気と、ふとしたときに見せる微笑みが印象的な国語教師。
遥輝はずっと、2人を“先生”として尊敬しながら、心のどこかで恋をしていた。そして、卒業という大きな節目に、自分の気持ちに嘘をつかず伝えると決めたのだ。
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「……高瀬先生、時間いいですか?」
放課後の教室。美湖は振り向き、笑った。
「もちろん。今日で最後、だもんね。話したいこと、あるんでしょ?」
遥輝は深く息を吸った。
「俺……先生のことが、好きです。ずっとずっと、好きでした。先生としてじゃなくて、1人の女性として……卒業したから言えるんです。俺と、付き合ってください」
美湖の大きな瞳が驚きに揺れる。けれど、すぐにゆるやかな笑みに変わった。
「ふふ……嬉しいな。ずっと私のこと、見てくれてたんだ……」
彼女は立ち上がり、そっと遥輝の前に立つ。そして――
「おめでとう、卒業生くん」
頬に両手を添えて、唇を重ねてきた。
それは、優しくて、あたたかくて、甘く溶けるようなキスだった。
美湖の柔らかな胸が遥輝の胸元にふれ、ドキドキと高鳴る心臓の音が重なっていく。茶髪がふわりと揺れて、彼の頬をくすぐる。
唇を離したとき、美湖はそっと囁いた。
「卒業、おめでとう。そして……ありがとう。私も、好きよ」
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その夜、彼はもう一人、屋上に呼び出していた。
風に黒髪をなびかせ、荻原美咲が現れた。スーツ姿の美咲は、教壇に立つときよりもどこか柔らかく見えた。
「荻原先生……俺、あなたのことが……ずっと好きでした。今までは言えなかったけど、もう生徒じゃないから……本気で言ってます」
美咲は一瞬だけ驚いたように目を見開いたあと、静かに遥輝に近づいてきた。
「ずるい子ね。先生、こんな夜に呼び出されて、そんな真剣な顔で告白されたら……断れるわけないじゃない」
そのまま――美咲は遥輝の首に手を回し、強く引き寄せた。
「じゃあ、キスしてみて。本気だって、教えて」
遥輝はためらわず、彼女の唇を奪った。
黒髪が風に揺れる中、キスは熱を帯びていく。彼女の胸が押し付けられ、吐息が唇の隙間から漏れた。
「んっ……はぁ……本当に……大胆になったのね、遥輝……」
「先生のこと、誰よりも大事にしたいです」
「……私も、あなたにだけは、嘘つきたくない。好きよ、遥輝」
2人目のキスを終えた時、遥輝の心には確信があった。
どちらかなんて、選べない。――2人ともを愛している。
その想いが、やがて3人の未来を大きく動かしていく。