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「二つの苗字、僕たちの秘密の絆 〜遥輝と教師ふたりの約束〜」  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『ふたりの先生と、朝まで甘くてキケンな同棲生活』
19/21

第3話:初めての夜は、どちらの部屋で?



──ふたりの先生と、朝まで甘くてキケンな同棲生活



その夜、雨が降っていた。

静かに、しとしとと窓を叩く音。

いつもより少しだけ、部屋の空気が湿り気を帯びているように感じた。


大学の課題を終えた僕は、シャワーを浴びてリビングに戻ると、

そこにはバスローブ姿の美湖先生が、薄い眼鏡をかけてソファに腰かけていた。


「……シャワー、ありがとう。先にいただいたわ」


しっとり濡れた髪が、いつもより色気を増して見える。

肩から鎖骨へと伸びるラインが、思わず見惚れてしまうほどに美しかった。


「……何か、飲みますか?」


「ふふ、そうね。あったかいミルクが欲しいかな」


キッチンで温めたミルクをそっと手渡すと、美湖先生はそれを受け取って、ゆっくりと口をつけた。


「ねえ、遥輝くん……今日は、眠る前に……私の部屋に、来てくれる?」


その声は、まるで風が耳元で囁くように柔らかくて、だけど確かに僕の心を撃ち抜いた。


「……行きます。もちろん」



美湖先生の部屋は、落ち着いた香りがしていた。

読書灯だけが淡く灯り、ベッドのシーツがふわりと香水のように甘い。


「……こんな風に、あなたと向き合うなんて、在学中は考えもしなかった」


「でも、今は……?」


「今は……怖いくらい、愛しい」


ベッドに座る美湖先生が、そっと手を差し伸べる。

その手を握った瞬間、彼女の身体が僕の胸にすっと寄り添ってきた。


「触れてもいい?」


「……優しくしてくれるなら」


その一言が、すべての許しだった。


僕は彼女の頬に手を添え、そっと唇を重ねた。

初めは触れるだけだったキスが、次第に深く、熱を帯びていく。

唇を舐め合い、呼吸を合わせ、指先がバスローブの紐をほどいた。


露わになった白い肌が、柔らかな灯りに照らされている。


「……きれい、すぎて」


「恥ずかしいわ。そんなに見られると」


「だって……ずっと、夢だったから」


僕の声に、美湖先生は静かに笑い、両腕を僕の背中にまわして引き寄せた。


「……じゃあ、今夜は、夢の続きを見せて」


ベッドの上でふたりの身体が重なり、静かな吐息が夜に溶けていった。


──こうして、僕たちはひとつになった。



数日後の夜。


「ねえ、遥輝くん」


そう声をかけてきたのは、美咲先生だった。

お風呂あがりのパジャマ姿で、濡れた髪をタオルで包んでいる。


「今日、こっちで寝ない?」


「……いいんですか?」


「……ずるいよ。遥輝くん、先に美湖先生のとこ行っちゃうなんて」


「それは……」


「いいの。別に責めてるんじゃない。

 でも……ね? 私だって、我慢してたんだよ?」


ベッドにちょこんと座る美咲先生は、普段の快活さとは違う、少しだけ不安げな目をしていた。


「遥輝くんに、優しくされたい……

 甘やかされたい……

 そして、ちゃんと“私だけ”を見てほしいって……思ってた」


その言葉に、僕は近づき、そっと手を握った。


「今夜は……美咲先生だけを見てます」


「うん……」


頷くと同時に、美咲先生は僕の首に両腕をまわし、ぎゅっと抱きしめてきた。


「──キスして?」


唇が触れ合い、すぐに舌が絡まり合う。

呼吸が早まり、肌の温度が重なっていく。


「ねえ……遥輝くん」


「はい……?」


「……脱がせて」


その声に、心の奥が震えた。

ゆっくりとパジャマのボタンを外していくと、そこには無防備な素肌が露わになる。


「見ないでって言いたいけど……見てほしいの。

 ずっと、見て欲しかった」


頬を染めながら、恥ずかしげに笑う彼女が、とてつもなく愛しかった。


ベッドに押し倒され、やがてふたりは静かに、そして激しくひとつになった。

美咲先生の甘い声が、耳元で何度も名前を呼びながら、夜は深く溶けていく。



ふたりと、それぞれの“初夜”を過ごして思ったこと。


どちらかなんて、やっぱり選べない。

美湖先生は、静かで深く、心を包み込んでくれるような愛し方をする人。

美咲先生は、明るくてやわらかくて、こちらの心を自然と溶かしてくれるような人。


このふたりを、同じくらい愛してる。


そしてふたりも、僕を──愛してくれている。


そんな確信が、静かに胸に灯っていた。


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