第9章:「学校での視線と夜の報告」
昼休みの校舎の廊下。
美湖と美咲は生徒たちの注目を浴びていた。
「先生、ちょっといいですか?」
男子生徒の一人が声をかける。
「先生って、好きな人いるんですか?」
美湖は少し驚きながらも微笑んで答えた。
「うーん、それは秘密かな?」
その声を聞きつけた他の生徒たちも次々と質問を投げかける。
「先生って結婚してるんですか?」
「結婚指輪はしてないですよね?」
美咲は少し照れたように笑いながら答えた。
「結婚は…していません。少なくとも学校ではね」
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休み時間が終わると、2人の先生は教室に戻り、少し息をついた。
「最近、みんなの視線がすごいわね」
美湖がため息をつく。
「そうね。結婚指輪をしていないから余計に詮索されるのかも」
美咲も苦笑い。
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その夜、3人が静かなリビングで再会したとき。
美湖が遥輝に話し始める。
「ねえ、今日学校でちょっと…生徒たちに詰め寄られちゃったの」
「え?どんなこと?」
遥輝は驚いた表情で聞いた。
「好きな人がいるのかとか、結婚してるのかとか。指輪してないから、みんなすごく気になってるみたい」
美咲も続けて言う。
「学校では結婚してないことになってるの。だから余計に変な噂も立ちそうで…」
遥輝は二人の手を優しく握りながら言った。
「大丈夫だよ。外ではそうしておこう。でも、家では君たちと僕の家族の証があるから」
美湖が笑顔で遥輝の胸に顔をうずめる。
「そうね、私たちの秘密の絆が一番大切だもの」
3人は温かく抱き合い、外の視線よりも強い絆を再確認した夜だった。